アイドルの現場でとんでもなく号泣した話
4年前のコロナ禍、無観客ライブで解散してしまった「ENGAG.ING」
でんぱ組.incのエンディング前のこのタイミングで、ENGAG.INGが復活するという奇跡のような1日があり、ライブ中に私はしくしくしくしく涙が止まらなくなってしまいました。
涙が一筋流れる…とかでなく、ずーっと泣いてる、という有様です。
どうして35歳のおじさんが、こんなに泣いてしまったのか、考えてみようと思います。
旧ENGAG.INGメンバーは現在は別のグループだったりフリーランスだったりするので、各グループ3曲ずつ、最後にENGAG.INGが3曲、というライブ構成でした。
泣き始めたのは推しの小鳩りあさんがソロのパフォーマンスをし始めてから。(小鳩りあさんは現在はでんぱ組.inc所属、年始でアイドル終わり)
小鳩さんは今回のライブのために、リリースする予定もない曲を、1曲作ってきてくれていました。オタクへの手紙のような内容の曲。
私は歌唱や歌詞を真正面から受け止めて感極まってしまったのですが、本人が心の底から歌詞のような想いをオタクに対して持っているとは限りません。
オタクに見せるふるまいや発信すらも仕事だから表現している、と考える方がむしろ自然です。
ですが、私はそういう考えにはまったくならず、まっすぐ受け取ることができました。
それは何故だったのでしょうか。
私は職業としてアイドルをしている、人間としての小鳩りあさんを推しているわけではなく、アイドルとして表現されている小鳩りあさんを推しているから、というのが答えです。
前者を「中の人」、後者を「小鳩りあさん」とします。
オタクは、中の人と共同して小鳩りあさんを推します。
中の人は、ありのままの自分ではなく、アイドルの表現として小鳩りあさんを表出させているはずです。
そしてその小鳩りあさんは、中の人単独で作っている訳ではありません。
オタクは、SNSでのテキストのやりとりや、短い時間の会話の中、客席としての景色等として、小鳩りあ像に影響を与えたり、ストーリーの参加者になったりします。
小鳩りあって、こういうアイドルだよね!めっちゃ推せるよね!
ということを中の人と薄く交換しあうような感覚です。
今回、ENGAG.INGが解散してから4年の月日がたち、ENGAG.INGとしての小鳩りあさんに会えたわけなのですが、その場で手紙のような曲を受け取る、という時間は、
4年前に交通事故で死んで会えなくなった人に、1日だけまた会えることになった。その時に、手紙を用意してきてくれていた。
ということと意味としては近いと思います。
「ENGAG.INGの小鳩りあ」は解散したら一生会えなくなるはずですから。
そしてそれは突然の無観客の解散ライブで訪れたものです。
普通、4年もの月日がたてば、昔こんなアイドルを推してたなー!
という昔の記憶になりそうなものですが、私は今でも曲を聞いては普通に悲しくなっていました。
そんな中、今回のパフォーマンスで、
「ENGAG.INGの小鳩りあ」をもちろんオタクと同じくらい大切に考えているよ。と実感できたことは本当に嬉しかったんです。
中の人と共同して信じていた小鳩りあさんが、その通りだった、という。
自分一人での思考や夢は、一人で考えているから、気分や時間経過で変わったり、忘れたりします。
ですが、中の人の共同して信じた小鳩りあさんというアイドル像は、共同したという事実から、変わり得ず、美しさがあります。
あくまで偶像なのですが、生きているところがおもしろくて、儚いです。
家族や友達を信じる、ということとは、偶像であることから性質がまったく違います。
2次元のキャラクターが裏切らないように、信じるということにコストがかかりません。圧倒的に真実で永遠です。
中の人が本当はどう考えているか、ということからも完全に切り離されています。
小鳩りあさんを信じさせてくれることに、心から感謝しますし、素敵すぎる表現にも感謝です。
もう全部良すぎ!!!!!!!
小鳩りあさんはライブ中、
「これが最後だと思ってる?」
と言いました。
「約束をした、という事実が大切だと思うんだ。」
とも。
中の人は年始にアイドルを辞めますが、共同した結果存在しているアイドル小鳩りあさんは、心に永遠として住みます。
思いだしたら小鳩りあ生きてるな―――!!!と実感できます。
今もちょっと泣きそうですが、涙の理由は悲しいから、ではなく美しすぎるから、という表現が近いです。
中の人はアイドルを辞めても歌は続けたい、と言っているので、もちろん現場にはいきます!中の人だって推しです!!!!
ですがそこで出会うのは、名前は小鳩りあだとしても、アイドル小鳩りあではあり得ません。
今回作ってきてくれた「アイドルになる」の歌詞への返答として、アイドル小鳩りあさんを絶対に殺さないと誓います。