スライドデザイン直しが炎上してローテクDXが喜ばれるのは表裏一体?

大規模なシステムを入れなくても発想転換で課題を解決するローテクDX」について投稿したら、大好きです!と共感してくれる人がとても多かったです。

まったく関係ない話で、(私ではなく)とあるスライドデザイナーの方が企業のスライドを勝手にブラッシュアップしたところ、燃えすぎなくらい批判されていました。

このふたつはもしかしたら表裏一体の現象かもしれないと思った話です。

「勝手にスライドデザインを直してみた」が批判される理由

「勝手に」「意味が変わっている」等の内容的理由は既出なので省略して、なぜそんな画一的な批判がここまで盛り上がるのかの理由を考えます。

そもそも、デザインとは<ハイセンスで学のある特別な人が、何かパソコンでちょちょっとやるだけで大金を稼ぐ仕事>だと思われている気がします。
けど、そんな細部にこだわることに本質的に意味があるんだろうか?と日ごろから懐疑的に思っている人が多いのです。

高品質たる実益を感じにくい

価値がわからないもの、ましてや自分に直接利益が還元されないことに税金や会社のお金が投入されてきた経験を経て、デザイナーという職業全般はうっすら敵意を持たれている前提があります。

それが、やっぱり意味がないものだと証明されれば「ほら自分の疑いは間違っていなかったのだ!デザインなんて空虚なんだ!」と大喜びします。

BAD UI」や「デザインの敗北」が盛り上がるのもそう。小難しいことを言ってるインテリデザイナー、おしゃれなだけでなにもわかってないじゃん!という盛り上がりです。

ノンデザイナーは、見た目のスタイリッシュさよりも機能性を求めているんだ!(け、決して何がおしゃれなのかわからないわけじゃないぞ!)というメッセージです。

まったくそんなことないんだけど、上流階級の机上の形骸を叩いているつもりなのです。
いや「上流階級」「机上」「形骸」…何もかも違っていて、自分で書きながらくだらないのですが…、大袈裟に言えばそんなニュアンスで捉えられているように思います。
PCでパワポこねこねしてる仕事より足を使って実質的な仕事をしている方が価値があるのだ!という人もあるかもしれません。


私はインターネットは意見と意見があるべき派なので、間違っているものは適切に批判されて良いと思っているのですが、
でも一通りリプや引用を見て既に同じ事が先に書いてあれば普通自分ではコメントしません。しかしこのような事例で同じ批判が延々と過度に繰り返されるのは上記背景から「自分で言ってやりたい」人が大量発生するからでしょう。

本件への批判の態度は<うわべや見た目に惑わされずに本質をわかっている私>の証明になります。実際、そうなのでしょう。だからこの機会に証明しておきたくてたまらないのです。Xには慧眼を持った人がたくさんいて頼もしいですね。

私も過去別件でわざわざそんな批判投稿をしたことがありますよ。


「ローテクDX」が喜ばれる理由

一方の「ローテクDX」の話では、そもそも「DXとかいうやつほんとに必要なのか?」つまり自分が理解できない分野に懐疑的である点がさっきのデザインと同じですが、
市井の工夫で解決できてしまうことはシステムへのカウンターパンチです。しかも大幅に節約できているのでお得感があり「ほら大金かけたシステムなんていらなかった!」と一矢報いるような心持がするのでしょう。
デザイナーやエンジニアではない<我ら側の一般人による発明>というストーリーも胸熱ポイントです。

アイデアはシステムより高い?

「上流」「机上」「形骸」とは真逆の、
「下流」「現場」「実用」となんとなく再現性がありそうで喜ばしい要素が揃っています。しかしこの捉え方も大間違いです。
医師が移動しながらワクチン接種をすることで、平均の8倍ものスピードを可能にした「宇美町式オペレーション」は産業医・医療コンサルタントというめちゃくちゃ頭の良い先生がロジカルに考案したもので、一般人がぽっと思いついたものではないし、
ホームドアのQR制御も部分的に物理的なだけで大規模なシステムです。サイゼリヤもスーパーホテルも大企業です。

何より「こういうのでいいんだよ」どころか、こんな風に課題を課題として発見しローテク改善アイデアを考えることこそきっとめちゃくちゃ難しいのです。

ただとにかく、業務に改善意識をもって工夫を凝らすことはかっこいいし、ニュースにならないだけで日本のあちこちでいろんな仕事でこのような発明が行われているかもしれないと思うとわくわくしますよね。


追記

ローテクDXリストの話

「アナログDX:アナログデジタルフォーメーション」というアイロニックな命名が好きと言ってくれる人も何人かいました。
しかし引用先で「アナログ」じゃない「ローテク」だと指摘されていたので確かにと思い呼びなおしています。
最初DXに対しAXと言おうとしたんですが一般的にAX:アプリトランスフォーメーションを指すらしいです。

ともかくこれらの、膝を打ちたくなるような美しいアイデアをちゃんと抽象化して、ほかの事例にも応用できないか考える訓練をしようと思いました。

ブクマ数が異常に多いのですが、一般公開するリストだと思われていたら騙しているようで申し訳ないです。ただ好きで、他にもあったら教えてって話なのに…ちなみにまだ10件しかないので公開もしないです。

ちなみに知財図鑑さんは、集めるものが真逆のハイテクですが、技術やアイデアをシェアし事業にマッチングしたいという理念にめちゃくちゃ共感します。私も「知財ハンター見習い」に入れてもらえました!

皮肉の話

私が「BAD UI」が好きなのはやっぱり一周回って自分のしっぽを噛んでしまうような皮肉ユーモアが好きだからだと思います。シンプソンズとかモンティ・パイソンとかジャック・タチのような、風刺と自虐で人間の至らなさを突くような笑いが好きです。でもBAD UIは笑わせようと思って作ってるわけないんですよね。ちゃんとすごい人が大真面目にやっているはずなのになんでそんなことになってしまうのか。これはまた今度言語化します!


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