フライングタイガーの商品説明ポエムについて
フライングタイガーコペンハーゲンはデンマーク発の雑貨ブランドです。安くてかわいいグッズ自体もお気に入りですが、私が好きなのは商品の説明文です。
なんかすごい、フライングタイガーの商品説明
オンラインショップの新着商品を見てみましょう。ハロウィーンシーズンのグッズが並んでいます。任意のひとつをクリックしてみると、こちら。
すごくないですか?めちゃめちゃ定性的かつ抽象的。かろうじて長さと本数が書いてある。リズミカルで、ちょっとした歌詞のよう。
翻訳のせいなのか、企業の個性なのか、フライングタイガーの商品説明は全部が全部この調子なのです。
なお、オンラインショップには現在約2290点の商品が販売されていて、そのほとんどに固有のオリジナルポエムが付与されています。
75円のティッシュにだって、ちゃんとこのティッシュのためだけのポエムがあります。
ティッシュの商品説明を書けと言われて「イエーイ」から入れる人が日本にどれだけいるでしょうか。
「本気です」!何が?!
トートバッグは、ざっと見ただけでも50種類以上の柄違い・タイプ違いが展開中。その全てに全く異なる商品説明が書かれていることからも、フライングタイガーの本気度が伺えます。
私が好きなのは、このトンデモ飛躍具合。
深夜に管を巻く酔っ払いのような、ガバガバさの中にある謎に革新をついた表現が大好きです。
フライングタイガーポエムは、結局は愛に到着することが多いのです。
何そのストーリー性!?面白い!
この数行の世界観だけでも、フライングタイガーのデザイナー・マーケターは自社の製品ひとつひとつに愛着を持っているのだろうなということが伝わります。そうじゃなきゃ書けない。慈しみの心を感じます。
さらにパンチの効いた過去のお気に入りシリーズ
ぶっ飛んでるなー。最高!
フライングタイガーポエム構文
ただただ狂気を感じるようなものもありますが…、ここまでフライングタイガーポエムを見つめてきた結果いくつかの法則が見つかりました。
商品のルールやディティールなんて説明しない
その商品を使う時間や感情を描く
歌のように復唱する
概念をシーズンのスローガンに繋げる
「フライングタイガーコペンハーゲン」で締める
ここに挙げたポエムも全て、「その商品を使う時間や感情」に重きを置いています。仕様ではなく、相手の姿を見ている。これって、まさに「ベネフィット」を描いていますよね。
フライングタイガーに売っているのはほとんどが娯楽品・嗜好品で、生活に必需ではないものです。
私はキャンドルを買ったことがありません。そんな層に向けて「どれだけよく燃えるか、どれだけお得か」などを説いても意味がないのでしょう。ニーズがないところへ、ウォンツを想起させる。
そう考えると、このポエムは完璧なプレゼンテーションではありませんか?
これなんて顕著で、チェスの正統派な敷居の高さから来るためらいと憧れを見事に言い得ています。
また、とある花瓶の説明には、デンマークに浸透する「ヒュッゲ」という概念がよく表れていました。
これからもその調子でお願いします
チャーミング。
こんなふうに、世界観を言葉にできるブランドが、どれだけあるでしょうか?
チャーミング。
ずっと見ていると、口調が移ってしまう。
それは、唯一無二のブランディング。
突き進んで。
あなたにも、見てほしい。
だいすき、フライングタイガー コペンハーゲンポエム。
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