展示「たぬきのパティシエ」のネタばらし
この夏、初めて一人で5日間の個展を開きました。
お忙しい中足を運んでくださった方、Twitterでリアクションいただいた方、とても励みになりました。御礼申し上げます。
前半で展示の内容、後半でアーティストではない<ただの素人>が個展をするということについて書きます!
展示「たぬきのパティシエ」について
展示物は大きく分けて2つありました。
① 葉っぱの写真(240枚)
② たぬきの架空のお店
①は②の世界観を演出するコンテンツでもありますが、単に①だけ観賞しても楽しめるようにしました。
葉っぱの形は枯れて乾燥して割れるほど、エッジの効いた個性的な輪郭になります。反り返ったり、虫に食われたり、ひとつとして同じものはありません。
でもそこらへんに落ちている葉っぱ一枚をじっくり見ることって、日常で滅多にありませんよね。
この面白さをただ共有したく、2年間のお散歩で撮影した葉っぱをInstagramで投稿してきました。今回はお気に入りの240枚を厳選し、1枚ずつ個別のパネルにしました。
みなさんが選ぶ好きな葉っぱが聞けて、私の好きな形や色や影の話を聞いてもらえて、葉っぱについてこれだけ語り合えるなんてそれだけでめちゃくちゃ幸せな時間でした!
②が実際に現地で見ないとわかりにくいので解説します。
(作者自ら説明するのはダサい?という気持ちは、圧倒的な外国人比率によって初日に通り過ぎました!)
明らかに葉っぱや小石なのに、キャプションがこちら
会場のどこにもたぬきの姿はなく、ガラスケースに枯れ葉を展示しました。
たぬきは葉っぱを使って人間を化かしますが、このたぬきは未熟なため、化け術が不完全なまま、それに気づかないままお店を出しているという設定です。
化けそこなった枯れ葉から、そこにいない「小悪党」のたぬきを表現しました。
"たぬきが運営しているテイ"のWebサイトとInstagramもあります。
チョコとケーキのお店と言い張っていますが、もちろん飲食物の提供はありません。ただ「食べ物っぽく」「こんな雰囲気の店ありそう」に作りました。
またお客様が実際にご来店いただいた後の「たぬきのお店に行ってきた」というツイートも、お店を実在たらしめる要素のひとつになっていたと思います。これら含めてたぬきのパティシエの世界観を作り上げることができました。
たぬきのお店では、卓上メニューにある「スイーツっぽい何か」を注文してもらい、枯れ葉プレートをご提供しました。
おしゃれなお店でどう見ても葉っぱが出されたらどうする?
暑さで自分の頭がおかしくなったかと思う?
周りの様子を見てみんな食べてたら食べちゃう?
本当の高級創作料理店でも付け合わせや飾りどこまで食べていいのか困惑することあるよね~…みたいな気まずさを再現する「体験」の展示でした。
お店の中に一角だけ、作者の「私」によるコーナーを設けました。企画意図を書いたフリーペーパーとお土産シールを用意しました。外国人のお客様と会話が通じなくてもシールは相当数もらわれていったので、少なくともポジティブなリアクションだと捉えています!
要約するとこんなメッセージが込められています!
容れ物によって変わる価値…ガラスケースに仰々しく飾られてるってことはすごい価値があるのかな?と思ってお金を払ってしまうことない?けどこれただの道端に落ちてる枯れ葉だよ。
見ての通りがあなたにとっての価値だよ、デパートの買い物でもあなたの直感を信じてね人間も商いにおいて化け術を使ってるのではないか?ゴミをさもすごい良いものらしく演出して見せていない?デザインに携わる者の力と罪
それがゴミだとわかったところで、じゃあ一切価値がないのか?というとそうではない。枯れ葉ひとつとってもこんなに面白いし美しい!雰囲気に惑わされず自分の審美眼でそれをよく見よう
それはそうと、おままごとの魔法は尊いもの。大人が本気でやってみた
展示を見に来ていただいた方からの感想の一部
風刺にしては作り込みが至らない点が多かったですが、それでもみなさん色んな事を感じて話してくださって、楽しかったです。
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