見出し画像

文学的な彼氏とわたし #毎週ショートショートnote

「月が綺麗ですね」



そんな彼の言葉から付き合うことになった。


私たちは全然似ていなくて、そこに惹かれあった。いつも難しい本を読んで、詩みたいな言葉を紡ぐ彼。おっちょこちょいで、難しいことが苦手で、本を読めない私。



今日もシーツの上で、一緒に空を見上げた。

月夜の寝ぐせ。」



「え?なんて言ったの?すき家の牛丼?」



「違うよ。君と巡り会えたこの一瞬は、まるで星々の奏でる一夜の交響曲に似て、私の心深くに響いている。同じ寝ぐせをつけられる日々こそが、私の魂の最も美しき絵巻であり、この月夜の下で君と出会えた奇跡を永遠に讃えたい。今日も月が綺麗だ…って言ったんだよ。」



彼の横顔を見つめながら、よく分からないな、と思った。



「牛丼、食べに行かない?」


「君のそういうところが好きだよ。」




牛丼を食べ終わったら続きを読もう。あと少しで『夏目漱石全集』を読み終える。「月が綺麗ですね」の意味は、まだ分からない。


(本文375字)


▷同じお題の方はこちらの方もおすすめ!

みゆさんの作品に登場する女の子はかわいい。ショートショートという短い文字数なのに好きになっちゃう。きゅん。

「月夜の寝ぐせ」というお題からこういう世界に発展…?心して読んでください…!!👻コメント欄が、阿鼻叫喚。


美しい満月の夜。静かで、深くて、目の前に夜空が広がってきます。



▷こちらも


いいなと思ったら応援しよう!

本田すのう │   書いて読む主婦noter
この記事がよければサポートをお願いします。iPhone8で執筆しているので、いただいたチップは「パソコンを購入するため貯金」にさせていただきます。