初めてのギターが響かせたのは、淡い友情の算段
20年ぶりに友人に再会した。
SNSの普及で、中学の時「親友」と呼び合っていた友人と連絡を取ることに成功し、居酒屋で向かいあった。
「こうやってお酒飲む日が来るなんてねー。」
「信じられないよね!」
「「乾杯!!」」
・・・・
私とレイカは親友だった。
こんなに気が合うやつ二度と現れないと思えるほど、毎日一緒に過ごした。
「おはよー!親友!」
「おはよ。やっぱ親友同士は着く時間も一緒だね。」
朝、学校に着くなり『今日も私たちは親友だよね』と確認しあって席についた。
当時大人気だった「ゆず」に憧れて2人でバンドを組んだ。
2人で楽器屋さんに行き、アコースティックギターを買った。1万円くらいのとにかく安いやつ。
わくわくしながら、アコギを背中に背負って自転車で川に向かった。
「バンド名なににする?」
「ゆず……だから、みかん?」
「ださ!」
「えー何がいいんだよー」
「Eveとかどう?」
「どういう意味?」
「意味とかないけど。」
「ないのかよ!」
足元の石をじゃりじゃり踏みながら、川べりに座った。買ったばかりのアコギをケースから出して2人で顔を見合わせた。
「せーので弾く?」
「いいよ。」
その日、初めてのギターが響かせたのは淡い友情のジャンジャンだった。
・・・
適度に酔いがまわってきたころ、私はレイカにずっと聞きたかったことを尋ねた。
「ねぇ、あれ覚えてる?」
「何?」
「レイカが私に【私たち親友じゃないよね】って手紙くれたこと」
「何それ!!覚えてない!」
「覚えてないの!?ほらEve組んだじゃん。それからしばらくして、急に手紙渡してきてさぁ。」
「Eve!!懐かしいね。それで?」
「手紙読んだら【本当の親友って口にだして親友っていうもんじゃないと思うんだ。ウチらって親友親友って言ってる間は親友じゃない。】って書いてあってさぁ。」
「……待って。思い出した。」
「あ、思い出した?あれからなんか、ね。」
「あーー思い出してきた。そうだ、姉ちゃんが言ったんだよ。【親友って言わなくなってからが本当の親友だぜ?】って。」
「なんじゃそれ。」
「それな。」
「けっこー傷ついたんですけど?」
「ごめん?」
「いいけど。」
「親友だしね。」
「それ言う?」
「言っちゃうねー。」
その日、レイカとの昔話は深夜まで続いた。
ジャンジャン🎸
・・・・
#下書き再生工場 でコニシさんのこのタイトルを見た時、懐かしい思い出が蘇りました。
【初めてのギターが響かせたのは、淡い友情の算段】
コニシさんありがとうこざいました!!