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PCR検査陰性と判断された場合の企業対応について(COVID-19産業保健コンサルティングチームより回答)

【質問】
新型コロナウイルスPCR検査後、陰性と判断された場合の対応について
(企業規模:1000名以上、業種:メーカー)
弊社(当本部)では、陰性になった場合でも偽陰性の可能性もあることから、原則該当者は2週間自宅待機とするよう、統括産業医より指示がございました。(家族に陰性がいた場合も同様の対応です)
やはり陰性でも、2週間の自宅待機は必要でしょうか?

現場の仕事が多く、2週間自宅待機になると作業がストップしてしまうため、希望としては陰性であれば、十分な衛生配慮(マスク着用、毎日の検温、手洗いの励行、十分な換気等)を行なった上で、陰性と判断された翌日から勤務させたく考えております。

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【回答】

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COVID-19産業保健コンサルティングチーム(※)より回答
※産業医を中心として結成された有志のチーム、画像は代表の小橋正樹氏

前提として、新型コロナウイルスのPCR検査は偽陰性が3割程度かそれ以上と考えられています(つまり本当に感染している10人に検査をしても、3人以上は誤って陰性=感染なしと、判定されてしまう可能性がある)。
従って、検査結果が陰性でも新型コロナに感染している可能性は否定できず、周囲への感染予防の観点からは、たとえ陰性であっても出社には慎重になった方が望ましいことを予めご留意ください。
しかし一方で、現場が回らないというのも大きな課題であるため、実際には事業継続と感染拡大防止のバランスを考えながら関係者が随時意思決定を重ねていくことが重要となります。
如何なる場合でも、風邪様症状がある場合は出社を控えることが鉄則ですが、風邪様症状がなく、かつ業務の性質上どうしても出社が必要な場合は、感染予防対応(マスク、咳エチケット、手指衛生など)を徹底させた上で、出社の可否を検討することがよいと考えます。
同時に、現場においても十分な換気、手を触れる箇所の消毒、現場内の他の労働者への手指衛生の徹底等の喚起も重要と考えます。

現場からもらった意見を統括産業医や人事スタッフなどにフィードバックして、今後の方向性について関係者で協議してもらうようお伝えしてみるのはいかがでしょうか。


具体的な出社の基準については、今回どのような経緯でPCR検査を受けたのか、また「該当者」というのが本人なのか濃厚接触者なのかという点が不明であるため、質問頻度の多いパターンについてお答え致します。

①社員に感冒様症状(風邪のような症状)があったため、PCR検査を行い陰性であった場合の当該社員への対応について。
→様々な機関が復帰基準を示しておりますが、日本渡航医学会・日本産業衛生学会ではヨーロッパCDCの隔離解除基準に準じて
a. 発症から8日が経過している
b. 症状を緩和する薬を服用しない状態で症状消失から3日が経過している

の2点を満たせば、職場復帰が可能としています。

②社員(もしくは社員の同居人)に感冒様症状(風邪のような症状)があったためPCR検査を行い陰性であった場合の濃厚接触者への対応について。
→前提にもある通り新型コロナの可能性は否定できないため、基本的には新型コロナ確定例の場合に保健所から求められる14日間の健康観察に準じた対応(自宅待機、在宅勤務など)が望ましいですが、実際には事業継続と感染拡大防止のバランスを考えながら関係者が随時意思決定を重ねていく必要があるかと考えます。
もちろん、出社する場合には前述の感染予防対策を十分講じることが望ましいです。

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https://sangyoui-navi.jp/corona.info/ask

※各分野の専門家からの回答につきましては、企業(団体)様の状況や、社会情勢などにより回答内容が変動する事があることから、本回答に関しまして、一切の責任を負いかねます。
あらかじめご了承ください。


参考:
厚生労働省「新型コロナウイルス情報 企業と個人に求められる対策」
国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)」
日本渡航医学会・日本産業衛生学会 「新型コロナウイルス情報 企業と個人に求められる対策(2020年4月20日更新)」