【48】濃厚接触者・感染者が安心して職場に戻るために

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年6月7日

経営者・総務人事担当者のみなさま、新型コロナウイルス感染が治まらない中、感染者や濃厚接触者が安心して職場復帰できるように準備はできているでしょうか?

1. 課題の背景:

緊急事態宣言などの制限によって一時的に感染拡大が抑えられても、その後に感染が拡大することが繰り返されています。いつ、誰が感染してもおかしくない状況の中、感染者や濃厚接触者が職場復帰する際に、周囲の従業員から復帰に反対するような声が出ることがあります。感染や濃厚接触となった従業員が安心して、気持ちよく職場復帰できるようにしましょう。

2.企業でできる対策

○ 濃厚接触者や感染者が職場に復帰する基準を日頃から周知する
〇 濃厚接触者や感染者に対する差別や中傷をしないよう教育する
〇 感染のハイリスク者など、不安を強く感じる社員に配慮する

1) 濃厚接触者や感染者が職場に復帰する基準を日頃から周知する

濃厚接触者や感染者が職場に復帰するのは、他の人に感染させる可能性がないからであることをあらかじめ周知することで、実際に復帰する場面で混乱が起きないようにします。

<濃厚接触者>
□最後に濃厚接触(マスクなしで1m以内、15分以上の会話など)をした日から14日間の健康観察期間経過中、発熱などの症状が出なかった場合

<感染者>
□発症後(ないし診断確定後)に少なくとも10日以上経過している
□解熱後に少なくとも72時間経過しており、発熱以外の症状が軽快傾向である
の両方を満たしている場合を目安としつつ、保健所の指示に従います(参考資料1)。

これらの目安は、ウイルスが他の人に感染しないよう、安全域を見込んだものです。必要以上の休業を求めることで従業員の働く権利をいたずらに阻害することのないように気を付けましょう。

なお、感染拡大地域においては、保健所の積極的疫学調査は
①重症化リスクのあるものが多数いる場所・集団との関連
②地域の疫学情報等を踏まえ感染が生じやすいと考えられる(三密や大声を出す環境その他濃厚接触が生じやすい等)状況
を優先して行うこととなっています(参考資料2)。したがって、職場の濃厚接触者への調査が遅れる可能性があり、職場において積極的に濃厚接触者の把握と外出制限、健康観察を行うことが望まれます。その際は保健所の指示が充分に得られない可能性がありますから、上記の基準を参考に健康観察期間を設定します。

2) 濃厚接触者や感染者に対する差別や中傷をしないように教育する

感染者等についての情報はプライバシーに配慮しながらの発信となるため、情報の内容や伝達する範囲を限定することになります。そのことによって、事実とは異なる噂話として広がる可能性があります。日頃から従業員がお互いを尊重しあえるように働きかけます。

□社内での感染防止ルールを徹底し、感染が拡がらないようにする
□プライバシーに配慮するため、開示される情報は内容・範囲とも限定的になることを事前に周知しておく
□事実と異なる噂話や感染者等への直接の差別や嫌がらせは職場のハラスメントとして厳正に対処することを周知する

3) 感染のハイリスク者など、強く不安を感じる従業員に配慮する

持病を持っているなど、感染に対して強く不安を感じている従業員もいます。そのこと自体を批判するのではなく、丁寧に対応しましょう。

□産業医や保健師に相談できるようにするなど、不安を感じる従業員のための相談窓口を作る
□不安を感じていることを受け止めつつ、そのために社内で感染防止対策を講じていること、感染者等は他の人に感染させる危険性がなくなってから出勤していることを説明する

3.関連情報リンク・参考情報:

1) 職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第5版https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=416f

2) 積極的疫学調査における優先度について 令和2年11月20日 事務連絡(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)https://www.mhlw.go.jp/content/000697364.pdf

3) 職場でコロハラを起こさないために(日本産業カウンセラー協会)https://www.counselor.or.jp/covid19/covid19column10/tabid/516/Default.aspx

文責:櫻木 園子(一般財団法人京都工場保健会)


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