【64】まん延期における感染疑い者の職場復帰時期の目安
企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2022年2月21日
企業の経営者・担当者のみなさま、新型コロナウイルスのまん延期において、感染者・濃厚接触者・感染疑い者の対応に追われる事業場も少なくないことと思います。今一度、それぞれの職場復帰時期の目安について整理しておきましょう。
1.課題の背景:
本情報配信において、発熱者・濃厚接触者(要管理者※)への対応や、同居家族が濃厚接触者となった場合の対応などについて、これまでトピックとして取り上げてきました。
オミクロン株による感染拡大が続く中、事業場内でも感染者・濃厚接触者・感染疑い者の対応に追われる事態が起きていることが考えられます。加えて、濃厚接触者の自宅待機日数の変更、検査キット不足等による検査受検のしづらさ、濃厚接触者対応等に伴う労働力不足など、現場での混乱に拍車をかけている可能性も否めません。
三点目の労働力不足に関しては、企業独自の厳しすぎる基準により、職場復帰までの期間が長くなり、事業継続への影響を大きくしてしまうといった可能性も考えられます。例えば、症状があった場合など、検査結果がわかるまで職場復帰を認めないことにすると、なかなか検査を受検することができずに職場復帰の時期を判断できないといった事態も起こりうるかもしれません。また、同居家族が濃厚接触者となった場合も一律出勤停止とすると、まん延期においては多くの従業員に影響が出てしまうことでしょう。指定の隔離期間を終えた後も独自の待機期間を追加で設けたり、復職前の検査(陰性証明)を義務付けたりする企業も未だにあるかもしれません。
ここでは、感染者・濃厚接触者(要管理者)・同居家族が濃厚接触者・検査未受検者について、それぞれの職場復帰時期の目安について改めて整理したいと思います。
※要管理者:まん延期に保健所機能がひっ迫し、企業内の濃厚接触者対応は企業の判断に委ねられる地域も生じております。濃厚接触が疑われる該当者については、企業内では「要管理者」くらいの呼び方とし、保健所が指定する「濃厚接触者」とは区別します。
2.企業でできる対策:
以下の対象について、それぞれ職場復帰時期の目安を整理しておく
2-1.感染した従業員の職場復帰時期の目安
基本的には保健所等の指示に従うことになりますが、職場復帰時期の目安としては以下のようになります。
〇症状ありの場合:
次の①②の両方を満たすこと
①発症から10日が経過
②すべての症状が消失してから3日が経過
〇症状なしの場合:
検査をした日から7日が経過していること
2-2.濃厚接触者(要管理者)の職場復帰時期の目安
オミクロン株の潜伏期間等を考慮し、濃厚接触者の自宅待機期間は次のようになっております(令和4年1月28日改正)。会社で指定した要管理者(濃厚接触者相当)の場合もこれに準じて職場復帰時期を判断すべきでしょう。
〇感染者との最終接触日から7日が経過していること
※社会機能維持者の場合、2日にわたる検査を組み合わせることで、5日目に解除可能
なお、感染者と同居する濃厚接触者においても、①感染者の発症日(無症状の場合は検査をした日)か、②感染対策をとった日のいずれか遅い日から7日が経過すれば解除可能となっております(令和4年2月2日改正)。
2-3.同居家族が濃厚接触者となった従業員の職場復帰時期の目安
同居家族が濃厚接触者となった場合、同居家族(濃厚接触者)または従業員本人の症状の有無で職場復帰時期の目安を考えていきます。
〇同居家族または従業員に症状ありの場合:
検査結果あるいは医療機関での診断結果が確認できるまでの間は自宅待機を求める
〇いずれも症状なしの場合:
従業員の出社を見合わせる必要はない
検査あるいは医療機関での診断を受けることが困難な場合は、次項(2-4)に準じた対応を行っていくことになります。
2-4.検査未受検者の職場復帰時期の目安
全国的な検査キット不足等により、症状はあるのに医療機関等で検査をなかなか受けることができないという状況も少なくないものと思われます。また、同居家族全員に症状があるのに検査では陰性だったという悩ましい状況も想定されます。このように検査結果が不明(あるいは疑わしい)な場合の職場復帰時期の目安は以下のように考えます。
〇症状回復から72時間経過するまでは自宅待機を求める
※咳など症状が長引く場合でも、発症から11日以上自宅待機とする必要はありません
数日の症状を経験した後なので、この目安だと発症から6~7日程度が経過しており、ウイルス排出の可能性も下がっていることが想定されます。ただし、発症から11日目までは「マスクを外して会話する場面」などリスクが高い行動を慎むよう注意しましょう。
2-5.自宅待機期間中の就労について
「感染者や濃厚接触者に仕事をさせてよいのか?」という質問をよく受けますが、あくまでも周囲への感染拡大を防ぐ意味で自宅待機等を求めていることになります。このため、特に本人の体調に問題がなければ、自宅待機中に在宅勤務を継続することは可能でしょう。
3. 関連情報リンク:
1)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部. 新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について
https://www.mhlw.go.jp/content/000892312.pdf
2)企業向け新型コロナ対策情報配信【50】「社員の同居者が濃厚接触した場合の対応」(7/12配信)
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/050.pdf
3)和田耕治. オミクロン株の流行下で、診断されていない有症者やその濃厚接触者の復帰について.WEB医事新報
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=18992
文責:今井 鉄平(OHサポート株式会社)