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学会報告:産業精神保健学会2024北九州その3

 シンポジウム5「スティグマ軽減とメンタルヘルスリテラシー向上による健やかな職場作り」を聴いてそのまま大ホールに残り、教育講演3「トランスジェンダーの事例から考える、職場のジェンダー・ルッキズム」を聴きました。 

▼トランスジェンダーの事例から考える、職場のジェンダー・ルッキズム

 演者の立石結夏先生(弁護士)は、経済産業省のトランスジェンダー職員のトイレ使用が一部制限されたことの違法性などが争われた事件の原告代理人の一人です。改めて事件の詳細を聞くと、報道では知り得なかった事実がわかりました。その背景には我々の心に根付くジェンダーとルッキズム(外見差別・外見至上主義)の問題が大きく横たわるのだということを認識させられました。そしてこのルッキズムは、「見えないものはないもの」として精神障害者の理解を諦めてしまうようなことの裏返しに思えました。懇親会でも立石先生とお話ができ嬉しかったです。立石先生、ありがとうございました。

▼産業保健における生成AIの具体的な活用可能性を探る 

 2日目はシンポジウム8からスタートしました。株式会社パパゲーノの田中康雅先生の話が聞きたかったからです。田中さんがある学会で自殺の研究発表するのを聞き(コロナ禍でオンラインでした)、若いのに凄いなと思ったのです。その後Twitterでつながり、直接お会いしたのは彼が就労継続支援B型「パパゲーノWork & Recovery」を立ち上げた直後だったと思います。それが今では40名もの障害者が働いており、生成AIを活用しているというのですから、ChatGPTなどに振り回されている私からしたら目が白黒してしまいます。
 その活用方法は、たとえば業務マニュアルをすべてAIに読み込ませチャットで動く「仕事相談BOT」を開発し、上司や産業保健職がそばにいなくても即時に回答ができるようにしたり、長文が苦手な人、情報の優先度の重み付けが苦手な人には、長文の要約や見出しの改善案を自動作成できるシステムを用意したというのです。生成AIを活用することで「コストとしての障害者雇用」から「戦力としての障害者雇用」に変革できるかもしれないと知りました。田中さん、ますますのご活躍を祈念しております。

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