kawauso編集長のぼやきVol.20「風雲児たち」
編集長です。
編集長は煮詰につまると漫画喫茶に行くのですが、
今、ハマって読んでいる漫画、風雲児ふううんじたちについて
感想を書いてみようと思います。
kawausoのお気にいり「風雲児たち」
風雲児たちは、みなもと太郎原作の歴史大河漫画です。
正確には、kawausoが読んでいるのは、2001年から連載されている
風雲児たち幕末編です。
この漫画のどこが面白いのか?と言うと、
もう17年も連載しているのに、ペリー来航辺りから開始して、
まだ生麦事件の直前というペースの遅さです。
この調子だと、みなもと太郎先生の存命中に、
明治維新までいくのかいな?と心配になります。
脱線ばかりで遅れ続ける風雲児たち
どうして、そんなに遅れてしまうのか?
もちろん、某ハンター×ハンターのように
作者が描かないからというわけではありません。
実は、風雲児たちが遅れ続ける最大の要因は、
みなもと太郎がサービス精神から脱線しまくり
本筋と関係ない主人公達の誰も知らないような逸話を
次々と出してくるからです。
どんな風に脱線するかと言うと、
ペリーの次に来航したロシアのプチャーチン艦隊が
どこでどうして、何をしていたのかを
つぶさに書いてしまうのです。
そんな所に関心はないので、さっさと日露交渉を
描いてくれと思うのですが、そんな事はどこ吹く風で
徹底して書いてしまいます。
読者は幕末史を読んでいるように見えて、
同時代のロシアやオランダや、清の内情の一部を
垣間見てしまうのです。
でも、その脱線が楽しいので、
進行が遅れるのもやむを得ないです。
サービス精神旺盛みなもと太郎
風雲児たちを読んでいると、作者のみなもと太郎が、
サービス精神旺盛な人である事がよく分かります。
自身でも古文書を調べて、それまで知られていない事を見つけると
それが来月には漫画になってしまうわけです。
歴史が好きで、何か分かるとすぐに読者に開陳しようとします。
かと思うと、ハリスと幕府の間で結ばれた不平等な、
金と銀の交換比率については、
「こんなの描いてもつまらないでしょ」の一言で、
簡単に説明してさっさと終わらせてしまいます。
あくまでも読者が興味を持ちそうな面白い部分だけを
飽くなき好奇心でどんどん書くんですね。
あ、みなもと太郎先生、71歳ですよ。
こんなサービス精神旺盛な70代、そうそういませんよ。
特定の主人公はいない風雲児たち
もうひとつ、風雲児たちに共感するのは、
歴史は一人の人間が動かしているわけではないという哲学が
全編を通して流れている事です。
私達はえてして複雑な歴史を簡単に理解する為に、
特定の英雄を持ち上げて、すべての功績をその人に与えて
ともすれば神聖化してしまいますが、
本当の歴史には、全知全能の英雄なんかいません。
風雲児たちでは、多くの天才が出てきますけど、
一人の人間の力で全てが動く事はありません。
また、ある時点では有効な政策も数十年すると足枷になる様子も
描かれていきます。
明らかな悪政が敷かれても、有能な人が権力の座にいない為に、
それを是正できなかったり、無駄だとわかっていても、
諸般の事情で大金を掛けて、とある事業をやらざるを得なかったり
すべての登場人物は、荒れ狂う奔流のような歴史に飛びつき、
取っ組み合い、自分が正しいと思う事を実行し
その結果を受け入れて死んで行く
風雲児たちを見ていると、幕府だから悪だとか、
攘夷派だからダメだとか簡単には言えません。
そこが素晴らしいのです。
はじ三は風雲児たちに通じる
読んでいて思いましたけど、風雲児たちは、
はじめての三国志に通じるんですね。
はじ三も「三国志はこうだ!」という固定したものを、
いかに崩していけるか、いかに新しい事を発見できるか?
どうすれば、新しい三国志の魅力を提供できるかで、
ほとんど本筋ではない部分まで調べて掲載しています。
例えば、趙雲の地位がどうして低いのか?
こんな事は正史にも演義にも書いてありません。
当たり前で、そんなの物語には関係ないからです。
でも、だからこそ調べたい、
それで調べて調べて、趙雲が主騎という劉備の本陣を守る
親衛隊のような存在である事に思い当たり
それなら、そうそう前線に出られないから、
必然的に手柄を立てる機会は減るだろうと考えました。
もちろん仮説ですよ、でも、そこから趙雲について深く考えられる。
それは無駄じゃないと思います。
おススメです
幕末の歴史が好きで、まだ風雲児たちを読んでいない人には、
是非お勧めしたい作品です。
kawausoは、そこそこ幕末の話は知っているつもりでしたが、
風雲児たちを読むたびに知らなかった事が出てきて無類に楽しいです。
それでは、今回は、こんな所で、また来週!
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