まさか大工さんに感謝を伝えたくなるなんて。

キナリ杯にチャレンジしてみて良かった。

キナリ杯をはじめようと思った、ほんとうのこと|岸田 奈美 @namikishida #note https://note.kishidanami.com/n/nc3b926e4e440

私の文章は選外だったし、受賞作を読んで自分の出したものを丸っと書き直したくなるぐらい恥ずかしかった。
でも文章を応募し、そのあとの岸田さんのnoteを読み、きづいたのだ。彼女に気に入られる文章を書こうとしていた。28歳の女子を想像し、子育ての部分を省いた。
でも受賞した方々は、そんなのお構いなしにまるごとの自分を身を削って出していた。
そして、今もっとも私が身を削ることができ、興味を持っているのは、やっぱり子育てなんだと改めて思い、原点に帰ってきた。
そのあとの記事の方が……じつはジワジワと多くのかたにいいねをつけていただいている。

娘との暮らしのなかで、気づいたこと。自分の今までの生き方や、考え方を変えられたできごと。
等身大の私を隠すことなく、いつもより少ししつこく掘り下げて、丁寧に表現すること。
ああ、それだけで良かったんだ。今までのそれで。

面白い文章なんて書かなくていい。

岸田さんの言葉が、身に染みた。

最近の娘(3歳)は、「誰が作ったの?」と聞くことが多い。

先日も娘から放たれた。
「このトイレは誰が作ったの?」inトイレのなか。

我が家は賃貸。なので、私たちの意向がまったく反映されていない、つまりは私たちが作ったとは口が避けても言えない、床も壁もなぜか全面タイル張りのトイレ。
私は聞かれて、初めてちゃんと辺りを見回した。
「大工さんかなぁ。デザイナーさんとか、タイルやさんとか?あと、totoの人とかも?水道の人もかな???」
考えているうちに、いろんな人が寄ってたかって我が家のトイレを作ってくださっていたことに、改めて気づかされた。(大家さんも、か!)

「タイル貼ったんじゃない?」なんて、娘がタイルをシールみたいに簡単に言うもんだから、
「一つ一つ、壁に並べてはくっつけて回りを固めて……」
なんて話し始めたら、自分タイルの貼りかたなんにも知らないなと思った。3歳に全然説明できない!
それでも、つたない想像のなかで、タイルをものすごく美しく並べ、きっちり壁に平行に貼っていく職人さんが思い浮かんだ。

ざっと見積もって500枚、いや1000枚……???どんだけ大変なんだ。私だったら30枚でタイル割る……。

タイルだって、大量生産だったとしても、一枚一枚、土?から固められ焼かれ、何日もかけて作られたのかもしれない。

色を選び、決めた人もいる。

何気ない、トイレのタイルひとつに、何日も何時間もかけた方たちがいる。
恐れ入る。

その上、畳み掛けるように「昔は、ここは森だったの?」と娘が聞くのだ。
私はまた、太古の森から、田んぼから、家々がたち、町ができ、この住宅ができ、トイレが作られるところまで、思考が及ぶ。

なんという気の遠くなる作業。一人ではけしてなし遂げられない偉業。

娘がいなかったら、通りすぎていた感情。
それは、作った方々への感謝の気持ちだった。

ありがとう、大工さんたち。

わが家を作ってくださり、ありがとうございます。

娘が、おむつを卒業できたのも、快適なトイレがあったお陰です。

また今日も娘は、私なんぞがわかったふりして分かっていない、そんなところに『素朴な疑問』を突っ込んでくる。
ぼーっといきてんじゃねぇよっ!!

周りに感謝するもんめっちゃあるぞ!

そう。
この、私の何気ない文章を読んでくださったり、フォローしてくださったり、そんなかたがいるということ。

こうして読みに来てくださったそこのあなたにも、本当に本当に感謝です。

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