仮説①ZiDolは侍ジャパンである
あの5人のメンバーを最初に見た時は、「全然アイドルっぽくない人も混ざってるし、どういう人選なんだろう」と少し疑問を抱いた。
しかし、その理由が今回の合宿、ワンマンライブで強く浮かび上がってきた。
全ては考えに考え抜かれて集められた5人なのである。
ZiDolは、オールスターではなくWBCにおける侍ジャパンなのである。
人気者を集めたお祭りではなく、世界に通用する最も強いチームを作る上で、本当に勝つために必要な重要な要素を満たしているのである。
全員4番打者だけを並べるのが名将ではない。
全員4番打者のチームでは勝てない。
1番、2番、6番7番8番9番それぞれに必要な役割があり、それが集まって初めてチームとして勝負に勝てるのである。
ZiDolの5人は、今自分は1番を打った方がいいな、2番を打った方がいいな、と思ったときに打てるメンバーを揃えているのである。それでいて、誰が4番に入っても違和感がないのである。
要は4番選手を集めたのではなく、実戦を想定した上で、意図的に集めたメンバーであり、その全員が場面に応じて様々な打順を打てるメンバー、いわば栗山監督が集めた侍ジャパンなのである。
野球に限らず、ゴールデンのテレビのバラエティでも、視聴率が取れるように人気者を…という考えから、4番タレントばかりを並べたキャスティングをした結果、各々が活躍しきれずに思ったほど跳ねないということも少なくない。
ZiDol、ひいてはkfPは全員が持つ力を最大限発揮した上で活躍できるチームを作っているのである。
さらに選抜したメンバーで戦っていく上で重要な、様々なポジションを守れるという点もWBCの選手選抜と共通する。
全員、ボケとツッコミの両面を兼ね備えているのである。
限られた人数で勝負するには、攻撃だけではなく、守備のポジショニングも重要。
ZiDolにおいては、笑いを取るだけではなく、メンバーのパフォーマンスに対するリアクションや企画自体へのリアクション、ツッコミ、それらを全員が無意識のうちに振り分け、いつの間にか別々の場所を守っているのである。
それはテレビでよくある、リアクターや観客、ナレーションによるフォローを一切必要とせず自分たちでできてしまうような、完璧なチームなのである。
正直、全てのテレビ番組の出演者はZiDolだけで成立するだろう。
キャスティングを決める総合演出を目指す者は、ZiDolのチーム編成を参考にするべきだ。
そして何より重要なメンバー同士の連携。
チームの中での芸歴を統一することでチームでの結束感を強めている。
侍ジャパンにおいても経験は少なくとも、同世代や年齢の近い、若い選手を集めることで結束感を作り出している。
しかもその中で年齢差を作っているという点も実は重要である。
高見雄登(38)という年上のメンバーを置くことで、一見同列のようなチームの中で、「見えない統率」を作っているのである。
侍ジャパンにおいてはダルビッシュ(36)である。しかも緊張感を作るのではなく、和らげるような働きをしているという点においても、ダルビッシュ選手と共通するのである。
そしてもう一つ。
あのメンバーの2泊3日のスケジュールを抑えられるプロデューサーはkfPのみだろう。この仕事をしている僕の体感的に、どんなゴールデンの番組でも難しいと思う。
侍ジャパンにおいても同じで、シーズン前の大事な時期に、プロ野球から、そしてメジャーリーグからWBCに参加したのは「栗山監督の頼みならば」という経緯があったらしい。
これまでの選手との関わりの中で培ってきた信頼、この人を世界一の監督にしたいという思いから集まってきてくれた選手。
その信頼関係こそがスター選手がWBCのために集まる、忙しい芸人がZiDolのために集まるということに共通した強い絆なのだろう。
吉本のアイドルを振り返っても、吉本印天然素材やWEST SIDEなど、会社の方針で集められた例はあっても、プロデューサーとの信頼関係で集まってきた例というのはこれまでにない。
この強い絆こそが最も必要なものであり、先人たちが辿り着けなかったところまで我々を連れて行ってくれる、本当のスター集団になるのではないか。
ZiDolはいずれ世界で勝負することになるだろう。
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