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「みちのり」を通した自分との出会い  (その1)

2023年度 山岳新校みちのりプログラム 参加者コラム
:30代、女性、東京在住


 “今の働き方を続けたり、従来の学歴主義の教育を子どもに施した先には創造性と永続性の欠如が待っていることは分かっている。けれどもそこから降りても、行き先が見つかっていないので怖くて降りられない。”
そんなことを、子育てが始まり、両立出来るような仕事をし始めてから数年間思っている。

 昨年転職してから、現在の仕事で自分が求められておらず、また仕事の内容はやればやるほどブルシットジョブだと感じ、日々やる気が削がれていた。また、孤独な育児や長男が小学校でいくつかトラブルを起こすことに心労が絶えず、兎にも角にも今の状況から逃げ出したかった。

 そんな時たまたまみちのりのことを知り、“何か解決の糸口が見つかるかもしれない”と思った。有難いことに子連れで参加できることになった。

 みちのりで様々なゲストの話を聞いて私がしていたのは、自分にとって実現可能性があるか、自分の心が前に動くかということだった。伊藤さんのナリワイや岡田さんの活動等々から思ったのは、やれば何らかの形には出来るかもしれないけれど、心が後ろに動いた。課題解決を分かりやすい形で表現したい訳ではないこと、また頑張らないと出来ず、多分やればやるほど元気にはならならず苦しくなりそうだと感じた。自分にはその才能はなさそうだ改めて分かった。そうは言っても凄いゲストの活動を聞くと、不思議と「自分もそうしなければ。」みたいな脅迫感も出てきた。

 それを緩めてくれたのは青木さんで「起業は興味ないのですか?」と伺った時「無理無理、そういうの向いてない。」と聞いた時、何だかホッとした。また柿農家さんへ伺う道中、岡田さんとの会話で「色んな場所に友達を作りたい。」と、仕事する理由を聞いた時、私は「ただただ皆と仲良くしたいし、皆で仲良くあってほしい」と思った。仲良くの部分を自分の解釈で説明すると、心の内にある物(感情や気づきや考え)を打ち明けられる関係性や、また打ち明けなくても相手を信じ、安心し合える関係性を築きたい。それを対話で実現していきたいと思った。それが自分が仕事をする理由であり、また自分の望む世界の在り方とも気づいた。


 自分の本音に気が付いたこともあり、実際色んな人に話しかけたり沢山質問もした。それが出来たのも、スタッフ・参加者の方々皆さんがとても温かかったからだ。参加中は色んな方に気に掛けてもらえた。そういう大人が沢山いることで、子どもものびのび過ごせたし、吉野川に向かって石を投げて遊んだり、宿泊施設の古民家では、大学教授と一緒に本気のかくれんぼをしていた。そこでは、今まで子どもの責任を一人で負い過ぎていたこと、また助けてくれる人は大勢いたのに、自分しかいないと思い込んでいたことに気が付き、少し肩の荷が下りた。
(その2につづく)

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