【前編】赤表紙と国立国会図書館 連絡運輸範囲の見方
連絡運輸範囲の公表
JR東日本が「連絡乗車券の発売範囲」と称して連絡運輸範囲の公開を始めたと話題です。※この記事を書き始めて時は本当に話題だったのですが、下書きのまま休ませすぎたために、結構昔の話になってしましました。
誤植も大変多く(※その後順次訂正はされているようです)、運送条件を示すものとしてどうなのか……と思わないでもないですが公開がなされたことは多いに評価すべきことではないでしょうか。
ただ、本件はあくまでも連絡運輸範囲が示されたにすぎず、社線運賃等が掲載された「旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表」は未だ公表されていません。
私自身は、運送条件の最たるところである運賃・料金が規定された旅客連絡運輸取扱基準別表そのものが公表されていない現状には問題があると考えます。運送約款の一部として「旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表」が公表されることを節に願う次第です。
中央書院版「旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表」
さて、現在はWEB公開が基本となった旅客鉄道各社の運送約款ですが、かつては中央書院をはじめとする出版社により書籍として刊行されていました。残念ながら同社は2011年に倒産し、刊行されていた書籍は絶版状態となっています。
旅客営業規則・旅客取扱基準規程
旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表
「旅客営業規則・旅客取扱基準規程」は各社分がそれぞれその後も刊行されていますが、「旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表」(赤表紙・赤本などと俗称)については、民営化直後の1987年4月に中央書院が刊行したものが民営化以降最初で最後となっています。
実際のところ30年以上前の赤表紙など実際に運送約款を締結するにあたっては何の役にも立ちませんが、実際に規則がどのように定められているのか、どのように読めば発売可否が分かるのかを知るには有用な資料です。
しかし、本書はすでに出版者が倒産し品切重版未定の絶版状態です。国立公文書館(NDL)には収蔵されていますが、他は東京都立図書館や北海道大学附属図書館などにしかないようです(NDLオンラインおよびCiNii Researchによる。市町村の公立図書館等の収蔵状況は不明)。
都内にでも住んでいないと閲覧するのも大変ですが、2023年に導入された個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)の対象となっており、日本国内の自宅から閲覧可能です。
※サービスの詳細は適当に多摩美術大学図書館殿のnoteへのリンクを貼っておくので参照にされたい。
▼国立国会図書館HP「利用者登録(個人)について」
とにかく自宅で見れるようになったので、日本国内に居住している諸兄はしのごの言わずに一度旅客営業規則・旅客取扱基準規程を見てみようではありませんか。
NDLでの閲覧方法
まずはじめに、とりあえずNDLサーチで当該資料のページを開き、収蔵元データベースで確認するというオレンジ色のボタンをクリックします。
国立国会図書館デジタルコレクションにジャンプするので、個人送信サービスの欄からログインします。
利用者登録済みの方はログインしてください。そうでない方は利用者登録からです。登録には数日かかります。どうしても今日中に見ないと死ぬという方は、お近くの図書館に行けば図書館送信サービスで閲覧できる場合があります。
▼(例)横浜市
ログインすればもうあとは見るだけです。印刷(というかPDF化)も可能ですが、出力したデータには自分の名前がデカデカと印字されます。
それでは、順に本文を見ていきましょう。。。
(後編へ続く)