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平和国道案内物語。③

数々のおっちょこちょいで下界に落っこちてしまった神様。下の人々に思惑の全てを筒抜けにしていたことにようやく気付き、焦りました。しかし、ここは神様が作った中で一番平和な世界。自分たちを面白半分で支配しようとしてきた相手にも優しく接してしまう始末。神様はお言葉に甘えて青年の道案内を受け入れます。

まずは腹ごしらえ。

これから支配しようとしていた世界の住民に道案内をしてもらえるなんて、僕はなんて良い世界を作ってしまったのでしょう。それはそうとお腹が減ってきたな。上ではお腹が減らない仕様にしてるから初めての感覚だ。とりあえずこの少年に案内してもらおう。「あのさあ、お腹が減ったんだけど、良い料理屋さんに連れて行ってくれない?」「もちろんです!神様!おいしいレストランを知っているので、ぜひ来てください。」

初めての感覚。

神様は青年に連れられるまま、青年の言うおいしいレストランに赴きました。着いたそこは何ともいえない独特の雰囲気があり、豪快なマンガ肉が出てくるのではないかという粗暴さをも持つ、レストランというより酒場でした。

世間話。

うわぁ。なんか盗賊が入るようなお店に案内されちゃった。大丈夫かなぁ。でも、今まで何も食べたことなかったし、これも経験だよね。挑戦しなくちゃ面白い人生なんて歩めないっしょ。まぁ、僕寿命ないけど。「あの、神様。この世界に来るのは初めてなのですか?」「うん、そうだよ。いつも僕が作った世界を眺めて遊んでたんだけど、諸事情でここに来たってわけ。」「そうなんですね!いやあ、僕のところに落ちてきたとき、夢かと思いましたよ。」

ギャップはうまさを加速する。

そんなとりとめもない会話をしていると、豪華な料理が運ばれてきました。湯気が立ち込めるそれは、光り輝くスープに、粗暴さなどみじんも感じない肉汁滴るステーキでした。どうやら、この店の外観はこの店の店主の趣味だったようです。

舌が肥えちゃう。

うわぁ。すんごくおいしそうな料理が出てきた。思ってたのと違って、すごく上品、ビューティフル!!こんな荒くれが来そうなお店なのに、なんでこんな煌びやかな料理が出てくるんだろう。まぁそんな細かいことはどうでもいいか。早速食べよう。「いったっだきまーす!!」なにこれとんでもなくおいしい。肉がほろほろとろけてく。これがおいしいって感覚かー。今まで数えられないくらい上に存在していたけど、早く落っこちてくればよかった。人生半分損してたよ。

次はどこへいこうか。

そんなのんきなことを考えていた神様ですが、そもそも、今回作った世界がたまたま平和でのんきだったおかげで助かっただけなのです。今まで作った世界のどこかだったら、間違いなく消滅しています。だって、面白半分に世界を支配しようとしていた奴なんて、だれがどう見ても極刑対象だから。そんな自分の運の良さに助けられたことなど微塵も知らずに、神様は出された料理をおいしそうに元気いっぱいに食べているだけなのでした。 つづく。

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