Remothered : Tormented Fathers 考察
Remothered : Tormented Fathersの考察ページです。ネタバレを多分に含みますので、クリア後にご覧いただければ幸いです。
登場人物
プレイアブルキャラクターから代名詞で示されているだけの人物まで、物語文や様々な要素から読み解いて把握していきます。
マダム・スべンスカ
「ただ年をとり、自分の幼少時代という質問に対する答えとして、成長する」
30年間スウェーデンに住み、イタリアに戻った老婆。その理由は、掘り起こさないといけない思い出があるから。
ローズマリー・リードが「Flemminton Girls」と書かれたタグがついたバッグを発見したシーンについて、アンニから「つまりは、彼女を見つけることを諦めなかったということでしょうか?」と訊かれたことから、マダム・スべンスカとローズマリー・リードは同一人物であると考えられる。
ローズマリー・リード
「個人的に研究したいのです」
明確な理由を述べないままリチャード・フェルトンに近付いた謎の女性。容易には知り得ない情報を持っている。
FLASH NEWSで報じられた事件の容疑者について、ジェニファーから「あの女あなたにそっくり」と言われるが真偽のほどは定かではない。
リチャード・フェルトン
「お前のおかげでジェニファーが原因だとついにわかったのだ、私の苦悩、病気の原因が」
一般的な臨床報告が難しい、器官の変化を示すUPP(潰瘍性増殖性寄生虫症)患者。
父に対して「私は…彼にとっては失敗作だった。弱虫だ!」という思いを抱えており、「意思に背いて男として生きることを強いられたんです」というグロリア・アッシュマンの言葉、「父さんが帰ってきた…そしてリチャードとして…生活することを強いるんだ!」という本人の言葉から、その人生のほとんどは苦悩に満ちていたものであったと言うことができるだろう。
ローズマリー・リードは、彼を回想するシーンで「セレステを守りたかっただけなのだ」と語っていた。リチャード・フェルトンは、愛する者のために自己犠牲を厭わないような純粋な人物であることは疑いがない。
ジェニファー(ジェニファー・リチャーディン・フェルトン)
「でも私のものに触れてはいけないわ…」
メイクを施しているシーンで、ローズマリー・リードが「彼女は自分の父が否定した自分を体現していたのだ…」と言っていることから、不健全な育ち方により性格分裂症を発症したリチャード・フェルトンの資性であると考えられる。
グロリア・アッシュマン
「彼女はまだ生きている…お前が見つけるの…世界のてっぺんで…」
ヘルパーを自称する看護師。クリスト・モレンテ修道院の火災を生き延びた、赤い尼僧。
邸宅から追い出したローズマリー・リードに「もう十分苦しんだのよ」と言い放つシーン、リチャード・フェルトンの舌を切る直前に「もう黙って!」と喚くシーン、屋根裏へ向かっているエレベーターを阻止しようとしたシーン。それらのシーンに加えて、収集品「グロリアのメモ」に書かれている「博士の催眠治療を見ることは、ただ精神的な健康を損するだけでしょう」という内容。これらのことから、リチャード・フェルトンの人生に寄り添うパートナーのような存在であったのではないかという印象を受ける。そして、ローズマリー・リードの「ここに来るんじゃなかった…全部私のせいだわ」という言葉によって、その印象は確信に変わるのではないだろうか。
フェルトン夫人(アリアンナ・ガッロ)
フェルトン夫人の寝室へ訪れて遺体を確認したあと「フェルトン夫人に会え」の目標が完了になること、医務室で告げられた「フェルトンさんが奥さんを殺したんです…」という証言、寝室に横たわる遺体の顔貌(別添資料)と収集品「記事 - 汚染された畑」の写真(右上)が相似していること。これらのことから、寝室の遺体がフェルトン夫人であると考えられなくもないが、定かではない。
G・アッカルディ
リチャード・フェルトンの医療診断書および医療検査通知を作成した、サンタマルゲリータセンターの医師。
セレステ・フェルトン
白人、明るい金髪、青い目の女性。
グロリア・アッシュマンが、彼女の家出を「フェルトン家が永遠に忘れられない悲劇でしたからね」と言っていること、さらに、リチャード・フェルトンが「セレステは妻と私の唯一のかすがいだったのだ」と言っていることから、フェルトン夫妻にとって宝物のような存在であったと言える。
やつら(テープレコーダー)
テープレコーダーに録音されていた証言の内容に含まれていた、複数人を表す言葉。
セレステ・フェルトンが「ママが言ったの…みんなやつらのせいで…そして帰ってこない方がよかった」と言っていること、そして、収集品「赤い修道女たち」に「あの尼僧…(中略)セレステと共に私を家に、その小さな寝室へと監禁するよう、リチャードを説得した」と書かれていることから、グロリア・アッシュマンおよびリチャード・フェルトンに対して卑しめて呼んでいると考えられる。
ママ
テープレコーダーに録音されていた証言の内容に含まれていた人物。
フィルムの映像を観たあとにリチャード・フェルトンが言っていた「彼女がそこにいたんだ!セレステではなかった。ジェニファーだった!」という内容と、ボイスレコーダーの「私が何者かだけでも知りたかった…なぜ私がジェニファーなのか」という音声の内容の意味するところが一致していることから、声の主はセレステ・フェルトンであり、ママと呼ばれているこの人物はアリアンナ・ガッロであると考えられる。
最愛の夫・あなたの恋人
収集品「ベストローズ」の「私達のかわいい娘、ジェニファー・R・フェルトン」という書かれ方から、リチャード・フェルトンの両親であると考えられる。
薬
人間関係を複雑化させた要因と言える、ワイマンの非認可医薬品実験。フェノキシルプロジェクトで権威ある医学賞にノミネートされたものの、悲惨な副作用をもたらしたことで、医薬開発は市場から引き上げられました。
収集品「記事 - 汚染された畑」に「医薬開発に(中略)フェルトン自身が促進し、資金を調達した」と書かれています。これが真実なら、その真意は測りかねます。
フェノキシル
心理的トラウマの障害に苦しむ退役軍人に与えられる抗精神病薬として開発された。
リチャード・フェルトンは、フェノキシルの試薬ナンバー1を服用していた。これには、大脳皮質損傷、幻覚、記憶喪失、記憶変化などの副作用がある。
修道女たちは、フェノキシルの試薬ナンバー2の乱用が疑われている。なぜなら、突発性線維性角膜炎(光感受性発作および弛緩性神経損傷)を引き起こす可能性があるコルチゾンに対するアレルギーを示していたからだ。
出典:収集品「記事 - ワイマン氏の自殺」
コルチゾン
修道女であるグロリア・アッシュマンは、コルチゾンの摂取および幻覚角膜症の急性の悪化により、極端な視覚的光感受性発作を引き起こしたと診断される。結論として、即座に患者の視力を失う可能性があり、潜在的に致命的でもありうる即時的なアレルギー反応を誘引するため、コルチゾンの摂取は避けることとされた。
出典:収集品「診療記録」
年表
物語に関係の深い出来事を年月日の順に記載しています。一部、収集品の写真を載せています。
表
写真
考察
Remothered : Tormented Fathersは、主人公であるローズマリー・リードが、追跡者となるリチャード・フェルトン、グロリア・アッシュマン、そしてジェニファーの追跡を掻い潜りながら、セレステ・フェルトン失踪の真相に迫っていく物語である。
真相に迫っていくと言ったが、ローズマリー・リードは素性が不明であり、謎に包まれた女性だ。言動の目的、意図も、明確には描かれていない。しかし、彼女に自覚があるか否か、実直に、向こう見ずに突き進んでいく。機械的な人間であると言えるかもしれない。追跡者に対してしばしば見られる利己的な言動は、さながら羅生門の下人のようである。
グロリア・アッシュマンは、リチャード・フェルトンのヘルパーであるが、それのみならずパートナーの役割を果たしていると考えられる。なぜなら、彼女は「もう十分苦しんだ」(*1)と彼の苦悩に寄り添い、尚「精神的な健康」(*2)を気にかけて行動していたからだ。
実父に否定され続けたジェニファーが性格分裂症を発症し、リチャード・フェルトンとして苦悩と病気の人生を歩まされた挙句に、それは「ジェニファーが原因だ」(*3)という考えに至ることはいかほどの惨苦か、千言万語を費やしても表現し得ないだろう。
複雑に絡み合って解けなくなってしまった彼らは、悲運の道を辿った。起こるべくして起こった追跡者たちの死によってローズマリー・リードは悲嘆に暮れ、「ここに来るんじゃなかった…全部私のせいだわ」(*4)と呟く。しかし彼女は、グロリア・アッシュマンから託された希望によって、セレステ・フェルトン失踪の真相に近づいたのである。
これまで述べてきたように、Remothered : Tormented Fathersは、複雑な人間関係が描かれている物語であり、主人公と追跡者の関係も、味方と敵、正義と悪、といった単純なものではない。結果的に、ローズマリー・リードは失踪の真相に迫ることができたと言えるが、彼女の心中は穏やかでいられないだろう。
*1 ローズマリー・リードを邸宅から追い出すシーン *2 収集品「グロリアのメモ」 *3 フィルムの映像を観るシーン *4 グロリア・アッシュマンが死亡するシーン
おまけ
Nintendo Switch版
Steam版
別添資料
フェルトン夫人の寝室のベッドに遺体が横たわっていました。その遺体の顔貌と酷似した亡霊を、セレステ・フェルトンの部屋にて発見しました。