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44.武器を持った奴と議論するな。

 ベルギーが核兵器禁止条約に理解を示す発表を行ったとのこと。世界の反核団体にはこれを歓迎する向きが多いし、私自身も核兵器やその他の大量破壊兵器が使われることのない世の中であってほしいと願っている。

 しかし、このベルギーの発表はそう手放しで喜べるものではないのもまた事実である。この発表と合わせて、NATO加盟国としての責務は果たしていくという発表も行っており、ここに注目する必要がある。

 このベルギーという国はオランダ語圏、フランス語圏、ドイツ語圏の3つの言語が地域でくっきり分かれている国であり、その歴史を見ればヨーロッパで戦争が起きるたびにどこかに占領されては独立を回復するということを繰り返しており、言語圏の問題から国内では格差が大きく分離問題もくすぶるなど、立憲君主制で王様がいるとはいえ、一枚岩な国ではない。その辺の流れもあって、NATO本部はベルギーの首都に置かれているともいわれている。

 そもそもNATOとはヨーロッパ西側諸国とアメリカによる軍事協力条約機構であり、その中の一つの枠組みとして核の共同所有というのがある。つまり、有事になれば、各国はその使用を要請したり融通したりすることができるということであり、ベルギーは共同所有に名を連ねており、事実上の核保有国なのである。

 事実上の核保有国が核兵器禁止条約に理解を示すのは、要するに「俺たちは核を持っているが、お前らは持つな」という意味ととらえて差し支えないと思う。核拡散防止条約にしても、国連の常任理事国以外は核保有禁止という内容であり、しかも、その後複数国が核保有している。これは保有国側から出た条約なので反発が大きいという面もあったかと思われる。今度の核兵器禁止条約は、非保有側からの「我々は核兵器持たないぞ」という宣言であり、そりゃ保有国からすれば立場の増強につながるんで、参加はしないが理解はする、となる。

 保有国は、持っているという事実を示し、いつでも使える状況であることを見せていはいるが、あえて再度言及することはない。知られた事実というだけで十分効果を発揮するからだ。

 さて、私もかつては武器を持った相手との取引というものもあったが、これはなかなか緊張感がある。ただ、ちゃんとカネを払うというのが前提で、脅し取りに来られたことはない。あくまで議論をしないだけで、商談はまた別だからな。「我々は正義、信念のためにやっているので安くしろ」みたいな話はままあるが、その時にどうするか、という話はまた後日。


※助手からひとこと
 でも、武器構えた人との商売というのはしたくはないな。特にハイリターンというわけでもないしね。

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