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読書感想文「人間力をフリーズさせているものの正体」

『人間力をフリーズさせているものの正体』藤田英夫著を読みました。


人間力をフリーズさせているものの正体 それをいかに解凍し、育てていくか | 藤田 英夫 |本 | 通販 | Amazon

人間力という観点から、リーダーのあり方、組織の在り方について深く突っ込んだとても素晴らしい書籍です。
今の時代、数字が見えやすくなったり、調べることが楽になったり、情報が氾濫しているので、テクニックを習得することである程度のことはできるかもしれません。
もちろんテクニックはないよりもあるほうが良いに決まっています。テクニックがないとできないことはたくさんあります。
でも、テクニックだけではできることが限られてくる、ある程度まではできるがそれ以上はできない、とも思います。

特に、人の上に立つ人はテクニックだけでは周囲は反応してくれません。「あの上司は何ができるではなく、あの上司はこんな人間だ」という思いから周囲の人は自発的に動いてくれます。
「できるできないではなく、どんな人物である」ということです。

リーダーも最初からその立場にいたわけではありません。
その立場になる前には、結果を出して、上司に評価されて、その繰り返しで立場が上がっていきます。自分の成長と出世がイコールで結ばれるととても楽しいでしょう。自信を深めさらに上に立とうと思うのは人間ならば当然です。
でも、リーダーがずっと同じような心持ちで動いていてはいけません。リーダーが人間であるようにメンバーも人間です。
自分の人間力を高めることは重要ですが、同時にメンバーの人間力を尊重して、メンバーの人間力が育つようなフォローをしなければなりません。そのためには自分だけではだめです。自分を中心に考えてはいけません。メンバーが主体的に動くような取り組みをしなければなりません。
しかし、先ほども述べたようにリーダーが出世するにあたり、自分の成長が自分の出世と結ばれていたので、多くのリーダーは自分中心で考えてしまいます。さらにひどい場合はメンバーを道具として使ってしまいます。
こうなるとメンバーはどんどん自分で考えることをあきらめて、人間力を育てることができなくなります。

この本で人間力とは「主体性、創造性、個性的」と著しています。これらは「心の働きから発する力」です。
この力は問題に出会ったときに育てることができます。小さな時から人間はこれらの力を自発的に習得しています。無意識のうちにたくさんのことを学んでいます。それが社会に出るとリーダーの在り方次第で学ぶ機会を失ってしまいます。リーダーが無用の教えを施したり、メンバーを操縦しようとするからです。
リーダーの親分意識や先生意識がメンバーの人間力成長を妨げてしまいます。リーダーがメンバーを操縦しようとすることでメンバーはロボット化してしまいます。そして人間力が十分に育っていないメンバーが数年後にリーダーになり、同じようなメンバーを育ててしまいます。この負のスパイラルに陥っている組織はたくさんあると思います。

リーダーとメンバーは上下関係ではなく、ともに働く仲間である。という意識を持てるリーダーがどれだけいるのか。これからの組織はそこにかかっているのかもしれません。
リーダーが人間であるならばメンバーも人間である。
人間であるメンバーを尊重することは当たり前のことです。
人間であるメンバーの成長はそれそれです。
リーダーはメンバーに真正面から向き合っているでしょうか。

そんなことを考えさせられるとても勉強になる書籍でした。

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