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同じ過ちを繰り返さないことにこだわる功罪
年齢を重ねさまざまなことを経験すると、
ちょっとしたことでもどんな結果になりそうかが読めてくる。
相手の発言でその先の展開が読める。
自信がなさそうに話しているな、ミスの報告かな。
得意げに話しているけど、本当かな、信頼できるかな。
ニュースを少し見ただけであの政治家が悪い、このコメントはどうだと考える。
これは経験を重ねたことによる大きな武器だ。
何も考えずに進んでいくよりも、こんなことが起きそうだとあらかじめ想定できた方が、物事はうまくいく。これは間違いないだろう。
だから年長者は経験を活かし、この状況はどこかで経験したことがあるぞと頭を働かせ事前に対策を講じる。
「同じ過ちを二度と繰り返さない」、「歴史から学ぶ」。
人間にとって必要なことだ。これがAIならば同じ過ちは繰り返さないだろう。機械学習を繰り返すことで小さなリスクも摘み取ることができる。
しかし人間は機械ではない。だから同じ過ちを繰り返してしまう。そうならないために経験から学ぶことが重要になる。
同じミスを何度も繰り返すと「何回同じことをやっているんだ」「何回同じことを言えばわかるんだ」と注意される。
このような場面は誰もが経験してきた。
仮に経験していなくても他の人が注意されているのを見てきた。そして自分が上長になったら同じように部下を注意する。この連鎖により、同じ過ちを二度と繰り返さないということは組織において神格化する。これを守ることができない人は社会人として失格の烙印を押されかねない。
その結果、同じ過ちを二度と繰り返さないという格言がどんどん拡大解釈されていく。経験をしたものがえらい、経験の回数が多い年長者がえらい、若者は年長者の意見に従うべきだ、という間違った方向に進んでいく。このような考え方が蔓延した組織は成長のスピードが鈍くなる。
なぜ成長のスピードが鈍るのか。
このような組織は間違うことは少なくなるだろう。失敗することも減るだろう。しかし同時に挑戦することも減ってしまう。失敗することを恐れて挑戦をしなくなるからだ。
このような組織は失敗の回数が減ったのではなく、挑戦の回数が減っただけである。失敗は挑戦したからこその副産物である。もちろん失敗はしないほうがよい。しかし失敗を回避することが主目的になってしまうと挑戦をしないことが正しいとなってしまう。
挑戦をしない組織は成長しない。成熟した組織といえば聞こえはよいかもしれない。しかしこのような組織のほとんどは老化現象が始まっているだけである。
同じ過ちを二度と繰り返さないことと
経験したものがえらいということは、同義語ではないことに注意しなければならない。
組織の目的は失敗をしないことではなく、失敗の回数を減らすことであることを間違えてはいけない。この認識が欠けてしまうと組織は一気に老け込んでしまう。
そしてもうひとつ。
組織の構成員は全員が平等に年齢を重ねていく。年齢を重ねた人が上役になっていく。上役が意思決定をすることが多い。
その結果、経験が重視される組織が多くなる。このように組織は常に老け込みやすい体質を持っていることを忘れてはならない。
経験を活かしながらも新しいことに積極的に挑戦していく。この二面性を持つことが組織の強さにつながる。