【星座夜話 31/88 ぎょしゃ座】
黄色の1等星カペラと4つの星でできる大きな五角形の星座です。オリオン座の頭の上あたりを見回すと見つかります。
ぎょしゃは漢字で馭者と書きます。古代の戦車を駆る戦士の意で、馬車を走らせる御者とは違うそうです。
夜9時に見やすい時期:12月~2月
有名な天体:散開星団M36, M37, M38
ぎょしゃ座は古代メソポタミアでは馬が引く戦車がモチーフだったそうですが、その後いろいろな話が加わり、現在その伝承は幾通りにもなって、繋がりがなくなっています。
主要な伝承はアテナイ国の王となるエリクトニオスの話と、山羊の乳で育つ大神ゼウスの話の二つです。星座絵も馭者とは違い、子山羊を抱いたおじさんの絵が描かれることが多くなっています。
では馭者であるエリクトニオスのお話を。
アテナイ国は戦いの女神アテナを信奉する国です。ある日のこと、女神アテナが国王の前に現れ、「決して中を見てはならない」と言いつけ、木箱を渡しました。
国王はその言いつけを守り、木箱を預かりました。ところが国王の3人の娘達は、言いつけを破り、箱を開けてしまいました。中に入っていたのは、蛇に巻きつかれた赤ちゃんでした。国王はその赤ちゃんをエリクトニオスと名付け、自分の子として育てました。
成長したエリクトニオスは、アテナイ国の国王となりました。エリクトニオスは足が不自由だった(蛇に巻きつかれたため足が悪くなったとか、足が蛇だったという話もあります)ので、自分で運転できる4頭立ての馬車(後の戦車)を考案し、王として勇敢に振舞ったそうです。これが馭者と呼ばれる所以です。
エリクトニオスは女神アテナに尽くしたため、死後天上に昇ることを許され、星座となりました。それがこのぎょしゃ座です。