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【星座夜話 かんむり座外伝 イカロス墜死】

 優れた大工であり職人であったダイダロスは罪を犯し、母国から追放され、クレタ島で暮らしていました。ミノス王はこのダイダロスに巨大な地下迷路(ミノタウロスの迷宮)を作らせました。

迷宮が完成し、ミノタウロスが閉じ込められた数年後のこと。

 王女アリアドネーは一目惚れしたアテナイ国の王子テセウスを助けるため、迷宮からの脱出方法をダイダロスから聞き出しました。迷宮を設計した本人ですから、脱出方法も心得ています。

 その方法とは、糸玉の糸を入口に結び付け、その糸をほどきながら進み、戻る時はその糸をたどって戻ってくる、というものでした。アリアドネーに脱出方法を教えたダイダロスはミノス王の怒りを買い、息子イカロスと共に塔(迷宮とも)に幽閉されました。

 ダイダロスは鳥の羽を集め、ロウで固めて翼を作りました。そしてその翼で空を飛び、息子イカロスとともに塔から脱出しました。さすが職人、匠の技です。

 イカロスはダイダロスから、太陽に近づくとロウが溶けて翼が壊れるから太陽に近づいてはいけない、と注意されていました。ですがイカロスは空を飛べるようになった自分に過信し、より高みを目指して太陽に近づいてしまいました。

 ダイダロスの言葉通り、ロウが溶け羽は無くなり、翼を失ったイカロスは地上に落ちて死んでしまいました。イカロスの死は、人の過信や傲慢さを戒める逸話として語り継がれるようになったそうです。

 ちなみに迷路を脱出する確実な方法は、どちらかの手をその方向の壁につけて歩き続けることです。右手なら右の壁、左手なら左の壁に手をつけて歩き続けると、壁や道が変化しない限り、必ずどこかで入口か出口にたどり着きます。それまで生きていられるかどうかが問題ですが。

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