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【星座夜話 22/88 おひつじ座】
黄道十二星座の一つ、おひつじ座です。2等星と3等星の二つ星の並びがわかりやすく、比較的見つけやすい星座です。秋の四辺形の左側を眺め、二つの星の並びが見つかれば、それが羊の頭です。
現在の春分点はうお座にありますが、古代ギリシャ時代には春分点はおひつじ座にありました。春分は夜の長い時期から昼の長い時期に移り変わる瞬間であり、古代では再生の象徴とされていました。
このためおひつじ座は十二星座の中でも重要な位置付けだったそうです。源流を同じくする占星術で、占いの最初におひつじ座が来るのは重要な位置付けの名残りなのだとか。
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夜9時に見やすい時期:11~1月
有名な天体:特になし。
ギリシャ神話では、金色の毛皮を持つ空飛ぶ羊とされています。(というか、強烈にジャンプする羊です)
プリクソスとヘレの兄妹は、テッサリア国王と雲の精霊ネペレーとの間に生まれた子供でした。後に国王はネペレーを離縁し、後妻を迎えます。この後妻、かなりの実力者で、悪知恵にたけた女性でした。
ネペレーの子供達が邪魔になった後妻は、様々な陰謀を企て、幼い兄妹を生贄に差し出すことに成功しました。これを知ったネペレーは大神ゼウスに兄妹を助けてくれるよう懇願しました。
ゼウスは兄妹を助けるようにと、金色の毛皮の羊を遣わせました。ネペレーは羊と仲間の雲を引き連れ、子供達が引き出された生贄の祭壇へと舞い降りました。
雲たちが目くらましをしている間にネペレーは兄妹を羊の背中に乗せ、祭壇から飛び立たせ、遠いコルキス国へと向かわせました。
ところが羊があまりに高く飛びすぎたため、後ろに乗っていた妹が目がくらみ、海に落ちてしまいました。
後ろをふり返り妹を探す羊。ですが妹は見つかりません。羊は妹を探すのを諦め、やむなく兄だけをコルキス国へと送り届けました。
コルキス国に無事到着した兄は、大神ゼウスへの感謝を込め、羊を生贄にして神の国へと返しました。当時は神の家畜は生贄にして返す習慣だったそうです。またこの時残った金色の毛皮は、後のアルゴ探検隊の冒険談に繋がります。
妹は失いましたが、兄妹を助けた功績により、羊は空に上がりおひつじ座となりました。そして星座絵には、後ろをふり返り懸命に妹を探す羊の姿が描かれるようになりました。
ところで海に落ちた妹ですが、海で溺れて死んだという話と、海の精霊に助けられ海の国で幸せに暮らした、という二通りの話が伝わっています。この兄妹は人間の男性と雲の精霊の間に生まれた精霊の子供なので、海の精霊達がきっと助けてくれただろうと、私はそう思っています。