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【星座夜話 27/88 かみのけ座】
一つの星団をもって星座としている珍しい星座です。夜空にたゆたう髪とされていますが、しし座のすぐ後ろに位置しているので、元はライオンの尻尾の毛だったとか。星座として設定されたのは意外に新しく、16世紀のことだそうです。
かみのけ座星団としても知られる散開星団Mel.111(メロッテ111)は、肉眼でもそれとわかる大きな星団です。双眼鏡で眺めると、大粒の星が散らばっているようで抜群の眺め。しし座のお尻の先に星のかたまりが見つかれば、それがMel.111です。ぜひ双眼鏡で眺めてみてください。
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夜9時に見やすい時期:4~6月
有名な天体:散開星団Mel.111
以下の「美しい髪をもつエジプト王妃」の話が伝えられています。
エジプトの王妃ベレニケは戦場に行った国王の身を案じ、神殿にお祈りにきました。そして、
「夫を無事に帰してもらえたなら、かわりにこの髪を捧げます。」
と神殿に祭られた女神アフロディーテに誓いを立てます。
ほどなく国王が戦場から無事に帰るとの連絡が届きました。ベレニケは喜び、約束通りその美しい髪を切り、神殿の祭壇に捧げました。
翌日大変な事が起こりました。ベレニケが供えた髪が無くなったのです。髪が無くなったことを知ったベレニケはたいそう怒り、神殿の神官達は死刑を覚悟しました。
そこへ一人の天文学者が現れ、
「ベレニケ様の髪は、神殿の女神様がたいそうお気に入りになり、持ち帰られて星となりました。あそこです。」
そう言って、かみのけ座を指さしました。
もちろん嘘ですが、それを信じたベレニケは、
「女神様が私の髪を星になされた。なんと光栄な。」
とすこぶる機嫌を良くし、神官達は許され、誰も死刑にならずにすみました。
帰ってきた国王はベレニケの髪が短くなっているのを見てがっかりしましたが、事のいきさつを聞き、妻への愛を深めたそうです。
ちなみにベレニケは実在の王妃です。星座の日本語訳はかみのけ座ですが、正式名はComa Berenices(コーマ ベレナイシス)といい、Comaは髪の毛、Berenicesはベレニケの意で、「ベレニケの髪の毛」を表しています。