NFTと環境問題
前回の記事で紹介したNFTですが、作品をブロックチェーン技術で署名することでデジタル資産として扱うことができる反面、ブロックチェーン取引に伴うエネルギー使用量が莫大なカーボンフットプリントの原因になっているとして環境問題が指摘されています。
カーボンフットプリントとは?
カーボンフットプリントは、直訳すると「炭素(Carbon)」の「足跡(Footprint)」となり、一つの商品やサービスの原材料調達から生産、販売、使用され、最終的に廃棄やリサイクルされるまでの全体のライフサイクルを通して排出されている二酸化炭素などの温室効果ガスの量を「見える化」したものです。
カーボンフットプリントは個人の活動についても出すことができ、「The Nature Conservancy」によると一般人の1年で出すカーボンフットプリントは米国でみると16トン、世界で見ると4トンと言われています。
NFT1つのカーボンフットプリントは211KG
1つのNFTが作られ、販売され、所有者が変わるなどの全体のライフサイクルのカーボンフットプリントはデジタルアーティストの Memo Akten さんの記事によると211KG相当だといわれています。この量のカーボンフットプリントは米国市民の1人の5日分のカーボンフットプリント量に匹敵し、世界でみると一般市民の3週間分のカーボンフットプリント量に匹敵します。このカーボンフットプリントは1つの作品でも複数個販売すれば、その量だけカーボンフットプリントが増えるということであり、同じ作品でも10個NFTを作り販売すれば、それらのライフサイクルで2トンものカーボンフットプリント量になるということです。
なぜカーボンフットプリント量が多いのか
NFTは1つ1つに多大な取引が含まれます。まずはNFT化するためのミンティング、販売のための値段設定やオークションの設定、販売のキャンセル、販売されたときと所有者の変更。これらのすべての取引はブロックチェーンのブロックとして追加されます。この追加に「プルーフ・オブ・ワーク」の形式が使われているため莫大な計算を必要とします。これらの計算を行っているコンピュータの消費電力が多いため、NFTは大量のカーボンフットプリントの原因となってしまっているということになります。
カーボンフットプリントの解決策
今NFTで一番使用されているイーサリアムネットワークでは、エネルギー消費が少ないプルーフ・オブ・ステークへの移行を進めており2022年までには完了するとしている。また、イーサリウム以外のNFT技術では既にプルーフ・オブ・ステークを採用しているところもあり、エネルギーの消費量がプルーフ・オブ・ワークにくらべて大幅に削減されている。そのためNFT関係の環境問題の懸念は数年以内に解決されると思われる。
まとめ
今回は世界中で騒がれているNFTの環境問題について少し紹介しました。今まで一部の人しか使っていなかったNFT技術がだんだんと一般化されることにより、エネルギー消費の少ない効率的な方向にシフトしているのはとても良い傾向だと思います。次回は「プルーフ・オブ・ステーク」と「プルーフ・オブ・ワーク」の違いについて書きたいと思います。
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