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tezomeya青木さんのアフタートークは、技術とプロダクトについて
東京校が6期目に入り、「新しいことやってこー!」と思い立って編集部を結成したり、朝活しようと言い出したり、思いつき散らかしてみんなに迷惑をかけている宮浦です。
産地の学校の公式ウェブでなく、新しくこのnoteで講義レポートを書きはじめたのは、noteにすることで受講生や修了生にも気軽に投稿してもらったり、肩肘はらずにいろんなコンテンツをつくっていこうー、というところから。
実験要素もあるけれど、今期は、講師でお越しいただいた先生とアフタートークをしてみることにしました。先生たちはぶっ続けで4時間ほど講義してもらったあとなので、だいぶ過酷なお願いかもしれません...。
これまでの講義レポートとは違う形なので、産地の学校の外の人も中の人にも楽しんでもらえたら嬉しいです!
さてここから先は、産地の学校note編集部の一員として活動してくれている受講生の渡邊さんにバトンタッチします!茶綿を持ってるコータローさんの先の後ろ姿が渡邊さん!
みなさん、こんにちは。6期生として産地の学校に参加している渡邊です。普段はアパレルと全く異なる業界で営業を行っております。
今週は京都で天然染料を活用した衣服を販売している
「tezomeya」の青木さんに繊維業界における素材と染色についての講義をしていただきました。今回の講義はファッションに関して門外漢の私からしたら沢山の学びがあったのですが、特に印象に残った2つの話をnoteに書きたいと思います。
まず1つ目は、
講義の最初に先生が教えてくれた、「アパレルは様々な学問とかかわりがある」というお話です。例えば数学や経済学、化学等の学問が大きく関わっているとのこと。
正直アパレル業界で仕事をするということは、アパレル業界で何らかの知見があることが重要かと思っていましたが、必ずしもそれだけではないということがわかりました。
例えば2000年代後半以降、英国を中心としたサステナブルなファッションの流れは、ハイファッションに影響を与えるようになりました。また、発展途上国で低賃金での労働搾取をしている工場とは取引をしないといったフェアトレードも意識が強くなってきました。
では、なぜそのような取り組みが最近になって活発になってきたのか。これは経済、社会背景とも強く関係してきます。これらの活動がただ単に倫理的に良くないから、労働者が可愛そうだからといった理由ではなく、必然的にそうしないと持続可能な社会が実現できないということが、過去、現在、未来の経済を俯瞰してみると、必然性が読めてきます。
2つ目は、現代における天然染料の魅力に関するお話です。
現在では染色をする際は「天然染料」にとってかわり、安価で安定性の高い「反応染料」が主に使用されております。青木先生は、手間がかかってかつ価格も上がってしまうのに天然染料にこだわったものづくりを行っています。
青木先生がそれでも天然染料にこだわる理由は、先生のお店で購入した肌に何かしらの問題を抱えているお客さんからは、「天然染めの衣服を着ると肌の調子が良くなる」という言葉をお聞きすることが多いからとのことです。
しかし、天然染料が肌に何らかの良い影響を与えることとは、科学的に証明されているわけではないそうです。
例えば、藍染めは虫よけや止血効果があるから日本の侍が愛用をしていたと聞いたことがある方が多いかもしれませんが、これも科学的根拠はないのです。ただし、太古の昔から天然染料にはこのような言い伝えが数多くあるので、科学的には証明はできなかもしれませんが、そういった効果はあるのではないでしょうか。
青木先生曰く「そもそも科学には不明なことのほうが多いのだから、そこに科学的根拠を求めすぎるのはおかしい」ということ。先生のように大学で化学を勉強されて、今でも研究をしている方がこのような発言をしていたのでとても印象に残りました。
近年の私たちは科学技術の発展により、人間はどんなことでも実現できると慢心しているのではないでしょうか。自然をも完全に人間の力で支配できていると。古くからある言い伝えや伝統的な技術には、科学的には証明できないからこそむしろ魅了される部分があります。
そして授業が終了した後にインタビューのお時間をいただき、青木先生が感じている「業界における課題とは何か」についてお伺いしました。
そこで先生が語ってくれて一番刺さった言葉は
「技術が先にあるのではなくプロダクトがあっての技術である」ということ。
これは天然染料にこだわる話にも繋がっていて、いくら伝統的な技術があってもそこから生まれるプロダクトが、今の社会でしっかりと顧客から評価をされないといけないということです。
私達は「伝統や文化は昔から長く続くものであるから守っていきたい」と、なんとなく考えがちですが、実際の現場にいる職人の方からしてみると、生産されたプロダクトが売れ続けないと生活ができません。
お話いただいた課題は普段の生活や本で得られる情報からは、
なかなかみえないので非常に勉強になりました。まさに餅は餅屋という言葉の通り、今の現場で起きていることは現場の方に聞くのが一番です。
下のリンクが青木先生との講義後のインタビューです。
渡邊