日本・アメリカ・ドイツそれぞれの政治模様
この10月後半と11月は、自分の中で、政治という分野の中でとてもホットな一ヶ月だった。
すこし振り返ってみようと思う。
日本
まず、日本で衆議院の解散が行われ直後選挙が行なわれた。結果はご存知の通り、自民公明の連立与党が過半数割れに追い込まれたというものであった。
ここでの注目ポイントは、いわゆる裏金問題なのだろう。派閥主催のパーティのチケット販売の売上金において、その超過分が(要は期待以上に売れた分が)課税対象にもならず政治家の懐にはいっていたというものである。これに関して、自民党としては総裁自身が政治倫理審査会に出席したことと、総裁選挙を行なったこともあって、もう終わったという気持ちだったのかもしれない。しかし、国民の審判は、「そんなものは禊でもなんでもない」というものだった。石破さんが、選挙中に主張したことを翻し即選挙に動いたことと、非公認議員の都道府県連にも無条件に資金を配ったことも不信の一端だった事は間違いない。
ともあれ、今日11日、国会では首班指名選挙が行なわれる。石破さんか野田さんか、目が離せない。国民民主党はどう動くだろうか?
USA
一方大統領選挙が行なわれたアメリカでは、事前の予想に反し、トランプ氏が圧勝した。トランプ勝利自体はあまり驚きではなかったし、果たしてハリスはどうアピールできるんだろうとちょっと斜に見ていた。
「私はこれをやるんだ」と主張しても、「過去の3年間でなぜやらなかったのか」と突っ込まれればそれまでなのだ。貧乏くじを引いた気がしないでもなかったが、彼女以外適任はいなかったのだろう。オバマ夫人のミシェルが出るなんて推測もあったけど、やはりそれは無理筋であった。
さてこれでアメリカはまた唯我独尊モードに入っていく。世界はどう対応するだろうか。
ドイツ
さて、お待ちかね、ドイツである。
事実は一つ。ショルツ首相が、財務大臣のリントナーを解任した。
これは連立相手のFDPの閣僚の解任であり、すなわち、連立解消を首相が宣言したのである。現政権はCDU、緑の党、FDPの連立で連邦議会の過半数を握っている。FDPは約90議席を握っていて、これが連立を離脱するという事は、少数与党に転落することを意味する。ドイツの首相に解散権はないので、議会の内閣不信任決議があって初めて解散総選挙なのだが、このスケジュールは年明けだそうだ。日本の衆議院解散と比べるとなんとものんびりしているが、目下議論されている事は、最後まで話し合いを尽くすという姿勢の現れにも感じるし、その点、国会の都合で廃案が多数発生する日本とは大違いだな、とも感じる。
とはいえ、こうした事態はドイツでも久しぶりで、常に連立している割に長期政権が続いていた、とふりかえることもできる。メルケル政権は16年続いたが、彼女はある意味節操がなく、最大野党のSPDと組むこともあれば、FDPと組むこともあり、緑の党とも手をつないだこともあった。是々非々で各党の主張を取り入れた一方、所属政党のCDUの立ち位置が「超中道」となり特徴がぼやけた一面もある。
彼女の評価は、まだ一定しない。ドイツの国力を持ち上げ、その存在感を揺るぎないものにした一方、ロシアに甘かった面もある。無条件でのシリア難民を受け入れて国内がとてつもなく混乱したことはまだ国民の記憶には残っているし、その影響、特に反動は今も大きく影を落としている。
ドイツの政治用語にKonsensというものがある「議論を徹底的にすすめ、関係者が等しく納得できる落としどころを探る」というものだ。彼女はこのKonsensの名手だった。(移民政策は除くが) これにより、ドイツ国民は安心して先を見据える事ができたのだと、個人的には感じている。ただ、そんな時代はもう終わった。
2024年はまだ一ヶ月残っている。ふり帰りはその後がいい気もするが、この10月11月はかなり世界が動いたと感じたので、簡単にまとめてみた。