秋近し 479-0/21Ⅳ
和紙のよに貼り付く雲や秋近し 暦
最初に「和紙のよに空にとどまる夏の雲」と詠んだ。これだと、和紙のようにとどまっていると捉えることもできると思い、「和紙のよな雲とどまりて夏の空」に変えて、何が和紙のようなのか明確にした。それから次に、雲は空にあるに決まっているから、空の代わりにいつのことなのかを入れてみようと考えて、「和紙のよな雲とどまりぬ夏の朝」とした。
布団を干すときに見た雲が、和紙に散る繊維のようだった。自分としては、主役は、和紙のような雲にしたかった。そして、窓からは風が入るのに、上空は風が止まっているようで、雲が空に張り付いていた。なんとかして季語を夏の雲としようと、「和紙のような夏の雲とどまる朝」とか考えた。すごく説明的である。「布団干し和紙浮く朝や夏の雲」、いや、これだったら、「布団干し和紙浮く朝や夏の空」、こっちだろう。布団の件いるか。この雲って、晴れているのか、曇りなのかわかるだろうか。気持ちのいい晴れた空である。ならば布団の件入れた方がいいような気がする。
ちなみに、浮くと浮かぶの違いを調べたら、「『浮く』は、浮力などにより、底や地面から離れて上へ移動することに表現の重点があり、『浮かぶ』は、物が底や地面から離れて水面や空中に見えることに表現の重点がある。」とある。ならば、「浮かぶ」の方が適切である。だったら、「布団干し和紙浮かぶ空夏の朝」だ。
「布団干し和紙浮かぶ空夏の朝」にしようか、それとも「和紙のよな雲とどまりぬ夏の朝」がシンプルでいいかなと迷う。「和紙浮かぶ空」の比喩はどうなのだろう。「和紙のよな雲張り付きぬ夏の朝」、これはどう。「貼り付く」かな。調べたら、「『張り付く』は『ぴったりとくっつくこと」』『そこから離れないこと』で、『貼り付く』は『薄いものが何かに接着すること』」だった。では、貼り付くにしよう。
主役にしたいものを諦めて脇役にした。いや、主役になっているかな。二転三転して、七転八転の末、表記の句となった。
歳時記が教えてくれた。そういうことだったのか、あの雲は。そうだよな、もう土用に入ったのだ。
異存・難色の発声(4回でアウト)
アウトだった。
きょうの日の出時刻はきのうより1分遅くなった。日の入りはきのうと同じ時刻だ。