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2025年に何作る?
今年も残すところ3週間を切りました。今年作ったものについては、noteで逐次その製作ストーリーをご紹介してきましたし、ファブアカデミー受講中に作ったものはファブアカデミーのドキュメンテーション用英文ウェブサイトにすべてアップしています。
ファブアカデミー卒業後、当面の目標として、とあるオープンソース機械の製作に細々と取り組んできました。それが未完成なので、せっかく新たに思い付いても未着手のまま放置しているプロジェクトがいくつかあります。前述の機械製作を今月中に片付けることを大前提に、来たる2025年になんとか開始し、試作品を作りたいプロジェクトの「To Doリスト」を今回はご紹介します。
1.実家の渡り廊下のリノベーション
これは母屋から離れまでの渡り廊下が老朽化したので作り直したいと、実家の母に言われたものです。今の渡り廊下は、祖母が被介護生活を送っていた2000年頃に父が作ったもので、すでに祖母は他界し、父も約4年前に亡くなってリノベできる家族がいなくなり、渡り廊下は老朽化が進んでいました。
母は、この離れに昔内職で使っていた業務用ミシンやアイロン台を置き、着物の着付けなどもここで行っているので、離れは今も現役です。しかも、この渡り廊下は、離れの奥にある物置小屋と昔私自身が使っていた勉強部屋への導線を横切る形で架けられているので、奧にに何か道具や本などを取りに行く時は、この渡り廊下に横から階段で上り、廊下を横切って奥に入っていく必要があります。その踏み台も朽ちてきています。
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既に採寸は終えていて、年内に踏み台だけでもこしらえ、廊下の板の張替えと塩ビ管レールの更新、それに屋根の張替えは来年3月に着手し、1週間以内で完成させるのを目指しています。
2.PETボトルからフィラメントを作る装置
これは、今働いている大学の4年生が卒業制作で取り組んでいるものの複製です。この学生は、下記のnote記事を参考にしつつ、この製作過程で初めて3Dプリンターやレーザーカッター、はんだごてなどを使っています。私自身が複製に取り組むのは、学生がどのような苦労に直面するのか、苦境に陥った時にアドバイスしてあげられるよう、あるいは伴走してあげられるようにという親心でもありますが、こうした形でのPETボトルの再利用は私が駐在していたブータンで興味を持っていた現地の人がいたので、制作のヒントでもあげられたらと思う気持ちもあります。
今年前半に受講していたファブアカデミーでは、2022年に受講していたブータンのグループがPETボトルからフィラメントを作る機械を製作した話を、ニール教授は二度ほど、アカデミーのグローバルセッションで紹介していました。この装置があまり使われないまま放置されている状況を現地で見ていた私としては、ちょっと複雑な心境で話を聞いていましたが。
今年のファブアカデミーでも、「フィラメントを作る」というテーマで卒業制作に取り組んでいた受講者は何人かいたと記憶しています(だから、ニール教授は2022年のブータンチームの取組事例に言及しました)。ファブアカデミーの同期や先輩方の製作物で、私が複製をやってみるとしたら、やはりこれかなという気もします。これで作れるPETフィラメントを使用する3Dプリンターも用意しておく必要があると思いますが…。
また、これとは別に、今働いているファブスペースで大量に出ているPLAフィラメントのゴミ―――取り外したサポート材やラフト、造形失敗で出た「スパゲティ」や作りかけの造形物の残骸など、利用する学生が連日大量に出している廃棄物を、ローカルで再利用するような仕掛けも、考えてみたいと思います。(「失敗を恐れず3Dプリンタをどんどん使え」と学生を焚き付けている先生方も、ちゃんと考えて欲しいテーマです。)
3.野球グローブを分解して、カットデータ化
私の著書でも書いていますが、私がデジタルファブリケーションは国際協力でもっと活用すべきだと確信し、のめり込むことになった「アハ体験」は、野球のグローブをローカルで作れてしまうかもと思ったからでした。
アフリカで野球の普及に取り組んでいる日本の国際協力NGOもありますが、たいていは中古の野球用具を現地に寄贈する形で運営がなされています。元々その国には存在しなかったスポーツを紹介し、新たに普及させようとする場合、必ず困るのが道具の確保なのです。
今年は皮革をレーザーカッターで切るという貴重な経験もしたので、グローブのパーツも作れるかもと思っています。ちょっと厚めの革を使うことになるのでしょうが、先ずはカット条件を探ってみるというところからでしょうか。そのうち、昔自分や息子が使っていたグローブでも分解して、カット用のデータを作ってみようかな。
4.非接触型ハンドサニタイザー
何かインプットデバイスとアウトプットデバイスをマイコンボードでつなげて、「AしたらBする」的な装置もたまには作らないと忘れそうだと思っていたので、とりあえず何か作ろうと思い、今考えているのが手をかざすと自動的に消毒用アルコールが噴射されるサニタイザーです。
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2021年12月以降、更新がない…
これは私のブータンの友人が2021年秋頃に大量に作っていて、これで王様からもお褒めの言葉をいただいた由。その時、ちょっとだけ生産を手伝ったことがあるので原理はわかっているのですが、それをちょっと複製してみようかと思った次第。
5.2024年に作ったプラットフォームの改良版
今年作ったものも、これで製作終了というわけでなく、製作過程でどうにも改善策が見つけられずに時間切れでロースペックで妥協したものや、作っていくうちに「こんな機能もくっつけたい」と欲が出てきたもの、さらには、実際に使ってみて新たな課題が見えてきたものなど、改良すべき点がいくつかあります。過去の記事でも書いていますが、つくづく、これらは自分の経験値を上げていくためのプラットフォームとして、引き続き大切にしていきたいプロジェクトだと思います。
①パスポート盗難防止アラームのサイレン強化
ファブアカデミーの卒業制作で作ったシステムですが、7月にメキシコ渡航に出発する直前にスマホを変えたところ、誤作動を頻発するようになりました。この問題は未解決のままです。
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また、当時時間切れで未着手で残してしまった課題として、デバイスの方のサイレンが100均の防犯ブザー並みの音量で鳴らないという問題があります。防犯アラームは、壊れたら買い替え推奨ぐらいの割り切り方で、抵抗などは一切付けておらず、マイコンは何を使っているのかもパッと見でわからないような状態になっています。だから100円でも売れるのでしょう。
とりあえず、100均の防犯ブザー並みに鳴らして、盗っ人をびびらすぐらいの音量が出せるようにしないとです。
②野菜無人販売所の防犯
これまた防犯がらみですが、そこまでの音量が出せるようになったら、今年10月に義母の依頼で作った野菜の無人販売所についても、手提げ金庫を無理やり引きはがそうとする輩がいたら、勢いよく防犯ブザーを鳴らすような仕組みをインストールしたいと思わずにはいられません。
10時から18時までの間だけスリープモードが解除されて、その間に手提げ金庫の上蓋が開くような挙動があった場合は防犯ブザーが鳴るとか、電源はソーラーで取るとか、考えていることはあります。
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義実家の無人販売所のアップグレードのことばかり書いていますが、自分の実家の方でも、冒頭1でも述べた渡り廊下のリノベーションに始まり、母が満足すれば次の要望が出てきそうな気がします。実家のリノベも、自分のスキルを向上させるためのプラットフォームの1つだと思います。
③釣りゲーム"The Lone Angler"の改良
おかげさまで、Ogaki Mini Maker Faire(OMMF2024)の後、12月15日には新潟県小千谷市のひと・まち・文化共創拠点「ホントカ。」のファブスペースでも展示する機会をいただき、短い間でしたが20~30人ぐらいの方々に釣りゲームをご体験いただきました。
OMMFからホントカ。での展示までの間に、ホントカ。のファブスペースでUVプリンターとレーザーカッターを使わせていただき、カラーのおさかなを釣り堀のラインナップに加えたり、ステッピングモーターとリミットスイッチを制御する3枚のマイコンボードを固定する台を作ったり、JavaScriptをちょっとだけ勉強してUIを改善したりと、少しだけ改善させて展示に臨みましたが、新たな課題も見えてきて、このゲームのバージョンアップは展示機会をいただくたびに進めていかないといけないと改めて思いました。
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やっぱりタブレットかスマホの方がUIは良さそう
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MDF板に彫刻したさかななど、ラインナップを増やしてみました。
原価がかかっているので、釣って「これ欲しい」と言われた時は悩みました
6.3Dプリンター、作ってみようかな…
釣りゲームで用いた「Core XY」という機構は3DプリンターがXY平面上を移動するのに応用されますし、今作っている別の機械も、Core XYではないですがX軸上をソレノイドが動くという点では、それがエクストルーダーに変えるだけでも一層だけの積層には使えそうな気がします。
そう考えると、次は自分なりに3Dプリンターを作ってみたくなります。どこかで作例を探してきて、それに従って1台作ってみたいです。
7.Python習って何に使う?
noteではカミングアウトしていなかったのですが、ファブアカデミー受講中、グローバルセッションでニール教授が「Python習っておけ」と言っていたので、6月頃からPythonの勉強を始めました。基本文法はだいたい覚え、今はデータ分析に活用できるよう、応用編のプログラミングの勉強をしているところです。どのように勉強しているかは、いずれ書きたいと思います。
こうなると、分析に使えるデータが取りたくなるわけです。ネット上で公開されているオープンデータの活用もさることながら、いっそ何かのインプットデバイスからデータを集めて分析に使うようなこともやりたくなり、そうなるとセンサーと通信機能を搭載したデバイスを自分で作ることになるのだろうと思っています。
ただ、具体的に何を作るかはまだ考え中です。いずれにしても、頭が固い私はゼロから新しいコードはとても書けないので、どこかの作例を参照することから始めようとは思っています。
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子どもにも理解してもらえそうな組み込みデバイスって何がいいだろうか…
8.結局、作った奴がエライのです
いろいろ書いてきましたが、結局今のところこれらはウィッシュリストに過ぎません。「そう思っているんだったらとっととやれ」とツッコミを受けそうです。自分自身も重々承知しています。還暦をまたぐ頃からめっきり物忘れがひどくなったので、自分がその場その場で「やりたい」と思いついたことを、ずっと覚えていられる自信がありません。こうしてメモしておき、時々思い出すようにします。そして、それぞれの取組み、区切りのいいところで、時々アップデートさせていただきます。
創造性の欠片もない文系バックグランドのオジサンです。プラットフォームとなるプロジェクトのアップグレードを主軸に、人の作例を参考にさせてもらい、多くの人が作りそうなものを実際作ったことがある、多くの人が操作したそうな工作機械や道具を実際使ったことがあるといった「ひき出し」を、少しずつ増やしていく1年にしていきたいですね。