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一月が八月 #私と思い出バンド その2 SleepInside/八月のニュース



1月12日、初めて多摩美術大学に訪れた。
多摩美では二日間を通して卒業制作展を開催していたが、私の目的は八月のニュースさん(SleepInsideのギターボーカル)の作品だった。

八月のニュースさん(以下八ニュ氏)を知ったのは、昨年7月に八王子みなみ野で行われた弾き語りライブだった。この時は、もともと好きだったひとひらの山北せなさんが出ていたので取り置きした。その時初見だった八ニュ氏の出演前でかかっていたSEが「リサイクル」という楽曲。

コーラスのかかったギターと八ニュ氏の歌声が、ふと思い出した景色と夏の八王子みなみ野の夜を混ぜ合わせた。心に水が流れていくような感覚になった。そういえばこの日はバスの車窓から現地の小学校のお祭りの様子が見えて写真を撮ったっけ、北野駅で乗り換えて45センチくらいの大きさのナンを食べたなとか、思い出すだけで色んな細かな楽しさが蘇る。

インスタの個人垢にあげたこの日のストーリー

それ以降、気づけばSleepInsideのアルバムを聴くようになった。
八ニュ氏の歌は聴いていると意識ごと遊泳しているような感覚になる。同じ世界に住む人がやっているバンドの楽曲というより、意識とか脳内とかのもう一つの世界で鳴っている音のように思っていた。とにかく声が大好きだった。他のどのバンドより好きだと思う。
そのため、SNS等で彼のイラストを見る機会はあったものの、私の八ニュ氏のイメージは聴覚情報が中心だった。だから彼のSNSで卒展開催のお知らせを見た時、すぐさまYahoo乗り換えのサイトを開きバス停「多摩美術大学前」までの道のりを調べた。


そして迎えた当日。
キャプションによると、鑑賞者に自身の脳内を歩いてもらうことをイメージした展示らしい。絵は一枚一枚が違う方向を向いて並べられていて、一目では全てを見られないように設置されている。どこを見ても鮮やかな色彩が並ぶが、裏返っているものが必ず数枚あるため自然とそちらも見たくなる。そして移動した後はまた元に戻りたくなったり、そこから見える裏返っている絵を見ようとしたりの繰り返し。確かに生活って、脳に考えが浮かんでは消えたりめぐっては戻ったりするものだな。

所々見たことのある顔もあった。下の画像中央の黄色い絵にある顔は、彼のSNSによく登場する天使ちゃんに似ている。左下部の絵にいる細長く目が大きいスパイダーマンのような体形のキャラは、バンドTシャツに若干似たロボットがいたような?これでああ、あのSleepInsideの八月のニュースの頭の中か、と再認識。他のキャプションも読み、大学に在学している彼、葛藤を感じている彼、SleepInsideとしての彼、様々な側面が混ざり合って八ニュ氏ができていると実感。そのとき、彼の存在が目に焼き付いた気がした。別の世界で鳴ってる音楽じゃない、八ニュ氏はしっかり同じ世界に存在しているんだ。そしてこの脳内からあの楽曲たちは生まれている。
まるでコピーするときにルート音が一個特定できたときのような感覚になった。
ちなみに、この日は卒展を肉眼で目で見れた幸せを誰にも教えたくなくてインスタの個人アカウントに写真をあげなかった。(害悪オタク過ぎる)いつも必ずあげるのにね。

この一枚がお気に入り。教室の光景を匂いまで思い出せる!

1月31日は、前から取り置きしていたイベントへ向かった。

Sleepの出演順は2番目 (←この略称は独自に使い出した…他のファンの方も使ってるかな?)

インコを飼っている八ニュ氏だが、ステージ上でのオーラは猛禽類のようだ。SEのART-SCHOOL「シャーロット」が流れ終わり、1曲目「カルト宗教」が始まる。脳ごと持っていかれそうな爆音と幻想的な歌声。ジャガーを鳴らす手を見つめ、楽しさと痺れでぼんやりする意識の中で12日の記憶を思い出そうとしていた。2曲目はSleepの中でも好きな楽曲、apartment。歌詞も相まってここではない別世界で煌めいている音のようにも思えたが、2番Bメロのギターと歌だけになる場面では観客と同じ空間でジャガーをかき鳴らす彼の姿があった。ストローク越しに弦の質感が伝わるようだった。
この日のMCで八ニュ氏は、憧れの人と共演できた喜びを語っていた。NUMBER GIRLのジャケ写をパロディした楽曲もあるし、この日出演していた元ナンバガの田渕さんのバンド・toddleへ向けた言葉だろう。最後はこのバンドといえばの楽曲「飛べない天使の羽を切った」で締められた。アウトロでは彼の楽しそうな笑顔が見えた。


1月を通じて、八月のニュース氏が前より少し鮮明になった。幻想的な声や楽曲が魅力的なのはもちろんだが、あの楽曲たちは自分と同じ世界のどこかで生まれて鳴っている。
そう思うと、コードや音作り、歌い方、歌詞に登場する言葉一つ一つをもっと味わい見つめたくなった。これまでとはまた違う楽曲の楽しみ方ができるかもと思った。

https://youtu.be/b6z0J6_lfVY?si=2n-3sr0FMF5J80TF

↑hachigatsu_newsの楽曲ではユニークな一面が垣間見える。


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