ウーバーイーツ青年昔話

第1章

昔々あるところ、ウーバーイーツ青年は漕いでいた。彼の鼻と口は呼吸するためだけにあって、下り坂でも構わず膝を回した。

ウーバーイーツの箱を待ち望む地点まであと5kmある。開けた瞬間に湯気が上ることを考えてギアを上げた。

第2章

ベタ塗りの夕日が彼を含む街の一角を囲う時、ウーバーイーツ青年は信号を待っていた。赤の次が紫に光ればいいなと思った。

橙色に染まりながら微かな便意を感じた。

漕いだ太ももの疲れと便意を同時に感じる取ることができた、嬉しかった。
自転車にはじめて乗れた時よりも嬉しかった。

自転車の仕事をして3年が経った。
滑らかに歳を取ってしまうことが憎い。


第3章

白い香りが鼻腔を通り抜けて振り返った。花束だった、誰かの思い出がこびり付いた香水瓶からではない。
祝いの空気を運ぶ人を見て羨ましかった。腕に包まれた花束は三角で、自分が背負っているのは四角の箱だった。

陽が落ちて最後の窓が青ざめた頃、とうとう着いた。

彼は自転車で便意を運んでいた

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