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排卵痛と着床痛ー着床痛はない?

着床痛について質問があったのですが、私は「着床痛」という言葉を実は初めて聞きました。

着床に痛みを伴う?

排卵痛は聞いたことがあるのですが、着床痛・・・?
気になったので調べてみました。

まずはメジャーな排卵痛から。


1.排卵痛

排卵痛とは、文字通り、排卵に伴って起こる痛みの事。
生理が28日周期で来る場合、生理開始日から数えて約14日後に排卵日が来ます。

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           https://www.arax.co.jp/babymachi/what.html

卵子は排卵されるまで、卵巣にある卵胞という袋の中にいます。
卵子が卵巣の壁を破って外に排出される過程で、卵巣の破れた部分から卵胞液と血液が流れ出て、腹膜を刺激することで痛みを生じます。

この時期は卵巣が炎症を起こしていて、お腹が張ったような痛みが出たり、下腹部に痛みを感じたりすることがあります。

痛みの程度や感じ方は人それぞれなので、痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で痛みの軽減をはかりましょう。

2.病院へ行くのはこんな時

痛みが強く、耐えがたいとき(市販の内服薬では効かない場合)
毎月のように激しい排卵痛があるとき

こんな時は排卵痛ではなく、別の婦人科の病気の可能性もあるため、病院へ行きましょう。

3・卵子と精子が出会う長い旅

排卵された卵子の寿命は約24時間(受精し、発育可能なのは約6~12時間と言われています)
この間に精子と出会わなければ受精しません。

①Sexもしくは人工授精によって、女性の体内に精子が入ります
  1回のSexで女性の体内に放出される精子の数は、1回に2~4億個といわれています。

②精子は子宮の中まで泳ぎ、卵管を通り、卵子と出会いますが、子宮内・卵管と進むうちにどんどんその数が減っていきます。
卵管の卵子の所にたどり着ける精子は300~500個ほど

③卵子の所にたどり着いた精子の内たった1個の精子が、卵子と出会って、受精卵という1つの細胞になります。

このように、たった1個の精子とたった1個の卵子が合体・癒合して新たな遺伝子情報を持つ細胞が発生することを「受精」といいます。

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受精後、1つの細胞だった受精卵は卵管の中をゆっくり移動しながら最初の数日を過ごし、その間に2個、4個、8個とどんどん細胞分裂してゆき、胚になります。

胚は順調であれば着床できる胚盤胞に育ちます。
胚によっては胚盤胞まで育たないこともあります。
そのため、受精はしても、妊娠できないことは珍しくありません。

胚盤胞は受精してから5~6日くらいで子宮の中に到着し、安住の地と栄養を求めて子宮内膜の中へもぐり込みます。こうして「着床」が完了します。

着床の時期は、おおよそ受精後7日目。
生理が28日周期の方の場合、大体次に起こる生理の1週間前ぐらいに該当します。

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                      https://y-lc.net/funin-3/

4.着床痛はあるのか?

今回、@あおいさんからご質問をいただきました。

”09.22(火)が生理予定日でしたが、
20(日)の夜、21(月)の朝のほんの一瞬だけ生理痛のような下腹部痛が起こり、もう生理がくるな〜と思っていました。子宮がキューっと引っ張られるような痛みでした。
(今思うと着床に伴う痛みだったのかな?と思います。)

下腹部の痛みは着床痛の可能性が高いですか?”

着床に痛みを伴うのか?という意味では、私は「着床に痛みは伴わない。」
と思います。
排卵は、卵子が卵巣の壁を破って外に排出される過程で、卵巣の破れた部分から卵胞液と血液が流れ出て、腹膜を刺激することで痛みを生じます。

排卵準備が出来た卵胞の中の卵子の大きさは、直径100~140μⅿ(=0.10~0.14㎜)また、精子の長さは約0.06㎜

その小さな卵子と小さな精子が出会って受精し、胚盤胞に育ったとしてもその大きさはとても小さい細胞の塊です。
そのため、胚盤胞が子宮内膜の中へもぐり込む際に”痛み”を感じることはほとんどないと思われます。

しかし、この着床が起こる時期に、下腹部に違和感や痛み、頭痛、吐き気などの症状を感じる人もいらっしゃいます。
あおいさんも
「生理痛のような下腹部痛が起こり、もう生理がくるな〜と思っていました。子宮がキューっと引っ張られるような痛みでした。」
と言われています。

では、あおいさんが感じた、この下腹部痛と子宮が引っ張られるような痛みはなんだったのでしょう?
この症状、生理前に起こる月経前症候群(PMS)の症状に似ていると思います。
PMSの原因はよくわかっていないのですが、黄体ホルモン(プロゲステロン)が関わっていると言われています。

5.月経前困難症(PMS)とは

月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。

原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。
排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。
着床が起こるころは、黄体ホルモンの分泌がちょうどピークを迎え、妊娠していない場合はそこから」減少していき、生理が来ます。
妊娠すると、妊娠していない時のピークからさらに黄体ホルモンが増えていく時期になります。

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あおいさんが着床の時期に感じた下腹部痛と子宮が引っ張られるような痛みは、妊娠により増加し始めた黄体ホルモンが影響していた可能性があるのではないか。と思います。

6.結論

排卵痛を感じる人はいるが、着床する痛みを感じることはない。

着床のころに感じる様々な症状は、着床によるものではなく、黄体ホルモンによる影響である。妊娠している人は黄体ホルモンの増量に伴う症状であり、妊娠していない人は、生理前に黄体ホルモンが減少することによって症状を感じる。

疑問は解決しましたでしょうか?

お読みいただきありがとうございました。

 




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