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G1CLIMAX34 おもしろかった選手Tier表&寸評

どうもこんにちはさなりぃです。お久しぶりでございます。最近はnoteもpodcastもやらなくなってしまい、発信はほぼほぼツイッターとなってしまっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
G1CLIMAX34もリーグ戦は終了し、残すはプレーオフ及び決勝となりました。そこで格闘ゲームのキャラランクなんかでよく使われるTierMakerを使い、G1の試合がおもしろかった選手のTier表を作成してみました。

同じランク内での差はありません

本記事はそれの補足説明と言いますか、各選手のG1での寸評を書いていきたいと思います。
まず総評として、今年のG1、めちゃくちゃおもしろいです。選手層も人数もガラッと変わりどうなるかと思いましたが、新日の選手層で現トップ層+若手で20人に絞ってシリアスなリーグ戦を行うとこんなにレベルが高くなるのかと驚いています。
矢野及び他選手のファニーな試合がなくなって一抹の寂しさを感じたりするのかな...とも思いましたが、現状では一ミリもそんなことありませんでした。

全体的な打撃の威力もここ数年の新日のレギュレーションから鑑みると上がっていますし、長年いわれ続けていた予選実施によるブースターで開幕前からテンションもしっかり上げてくれました。
また本編のリーグ戦も今までは格による勝ち星の配点が露骨だったのですがそれもだいぶ壊れ、またいわゆる星返しのパターンも結構崩してきているため、勝敗予想含めてかなり楽しむことができました。

極端な外れ大会もなかったように思えますし、セミ・メイン以外でも重要な試合はがっちり時間を取っていて、新日内部の仕組みも色々変わってきているような印象があります。

さてここから寸評となりますが、一応最低ランクをD(☆2以下相当)としてみましたが、誰もいませんでした。Cランクもしいて言えば...的な部分はあり、それぐらい各選手が魅力を発揮できていたと思います。それではどうぞ。

Cランク(☆2.5~☆3相当)

〇ジェイク・リー
現場最高責任者(?)である外道さん直々の勧誘を受け鳴り物入りでG1に参戦したジェイクでしたが、初戦のSANADA戦こそインパクトはあったものの、必勝が求められた内藤戦でも敗北、最終的に4勝5敗と成績は振るわず。
NOAHや全日本でのジェイクを応援していた身からすると、ヒールターンがあったとはいえ求めていたものとは程遠い戦績や試合内容と言わざるを得ず、こんな条件でなんで新日に移籍(推定)してきたのかわからない状態でした。

とはいえ内容面でいうと登場人物としてのキャラクタライズ自体は個人的にはできていたと感じており、まだ新日におけるスタイル(戦法)が定まっていない故の問題だったようにも思えました。
それもラストの鷹木戦でのサイズ差からくる執拗なヒザ推しという解決策は見えたので、G1以降は内容面でもしっかり作り上げてくるような気がしています。

ベストバウトはゲイブ戦か鷹木戦。新日過激派のゲイブとはどうなるかと思いましたが、IWGPタッグを狙いに行くようで。なんだかんだプロレスに対する意識は非常に高い二人なのでベストパートナーとなるのかもしれません。

〇SANADA
このTier表は試合がおもしろかったランクであり、この位置に異を唱える方も多いと思いますし、自分でももう少し高くてもいいような気はします。
しかしながら今年の1.4まで最高位ベルトを所持していたレスラーという格とファン目線からすれば大いに物足りなかったように思えます。

技術レベルの高さは素人の私でも何となくわかるのですが、特に日程中盤まで熱量がついてこない印象が強く、やはりプロレスというものはキャラクタライズやシチュエーションというものが非常に大切なのだと思わずにはいられません。
とはいえ、中盤終わりの鷹木戦以降は1位宣言も伴って気持ちも見えてきましたし、最終戦のvsザックは大会ベストバウトをしっかり獲得し実力の高さを見せつけられました。

個人的にはせっかくオカダから譲り受けたベルト戴冠という名の「格」を持っているのですから、新生代の大きな壁になってほしいですし、感情を表現するのが苦手なら、リング上でのプライドを見せるだけでもストーリーが生まれてくると思います。なによりSANADAが活躍しないと内藤の負担が一向に減りません!頼む!
ベストバウトは鷹木戦かザック戦。

〇海野翔太
海野翔太という賛否両論ある選手を語るうえでまず表明しなければならないのですが、私はこの選手については比較的「賛」の立場にいます。どれくらいかというとパーカー買って応援するぐらいには「賛」です。

しかしながら今回のG1では試合のアラが目立つというか、うまく説明できなくて申し訳ないのですが、リズムがとにかく合わない。
相手を待つ技が多すぎるのも一因だと思いますが、STFに行くときの間、カウンター前の間、フォールを取りに行くときの間、あらゆる間が中途半端で高揚感もなければ重厚感もないように感じています。そこのところうまくカバーしてくれる選手だと問題ないのですが...。

私個人としては海野のキャラクターや言動はやり切ってくれれば別にいい、むしろプオタから「ダセェ」と言われがちなポジションを進んで選びに行くのは凄いとさえ思っています。究極的に言えば100のプオタから嫌われても100のプロレスファンから支持されれば何の問題もありません。実際会場人気がないわけではなさそうです。

ベストバウトは強いて言えばEVIL戦でしょうか。推されてるという印象をファンから持たれてる中で(様々な意味で)権力の象徴たる棚橋とレッドシューズを連れてくる図太さはやはりエースの器なのかもしれません。少なくともスターダスト時代の内藤にはその図太さはなかったように思えます。

Bランク(☆3~3.5相当)

〇内藤哲也
Dランク扱いされても文句は言えない内藤哲也ですが...はい、私が内藤哲也ファンなのでこの位置になってます。大変申し訳ありません。

正直に言えば、ジェイク戦までは休養かベルト返上か引退しろと思ってました。思ってましたよ。ジェイク戦までの3戦は私個人の感想としてはともかく、最高位のベルトホルダーとしてはありえないコンディションとクオリティであり、なんなら内藤を止めない会社にも同様の責任があるとすら思っていました。
しかしながらバックステージの内藤の言葉には何というか、神輿に乗ったものの責務を何とかして果たそうとうする姿の悲哀がありました。説得力がないことなど自分が一番わかっているでしょう。それでもオカダが去った今、時代のバトンを託す側にいるのは内藤哲也しかいないのですよ。

とまぁお気持ち文になりましたが、EVILの深い深い罵詈雑言に晒されたのち、内藤が編み出した各種丸め込みフィニッシュ、これが非常によくデスティーノの失敗すら「味」に変えてしまった内藤に私は痺れてしまい、「内藤哲也というレスラーの結末を全部見届けたい」という気持ちになって以降はかなりポジティブかつ楽しく試合を見られるようになりました。
つくずくプロレス観戦というのは思い入れで評価が上下するものだと思わざるを得ません。
G1後、誰にベルトを落とすのか、いや託せるのか。見守りたいと思います。
ベストバウトはEVIL戦かな。

〇カラム・ニューマン
比較される対象がボルチンだったのが運がなかった...と言いたくなってしまうようなカラム・ニューマンでしたが、内容的にも初めてのG1、というかリーグ戦?の中では粗さは目立ってしまっていましたが、スピードという特色がある分、無個性になることはなく鷹木も撃破と取れ高は十分。
帝国の若きエースとして一歩を踏み始めたといったところでしょうか。ベストバウトは...鷹木戦かな?やべえな、あんまりカラムの試合をまじめに見てないのがバレてまう。

〇エル・ファンタズモ
ベストバウトマシーンにもなれる逸材ではありますが、今回のG1はストーリー優先で特に前半はそのポテンシャルをあえて活かさない方針となっていたようです。

とはいえ、そのバレクラから追放され、やっと見つけたチームであるGoDがみんな立て続けに去っていくという、ハートブレイク状態の表現も的確にこなしつつ、試合中盤のかりそめの復活でのキレのある動きの二面性はお見事でした。
そして爆発するTAKESHITA戦。フィジカルモンスターのTAKESHITAに対しても米インディーらしさ(適当に言ってます)全開で対抗するファンタズモの復活劇は非常に溜めが効いておりシリーズ通しても屈指のベストバウトとなりました。

しかしながらそれでも前半戦はどうしても内容面では物足りなさを感じざるを得ない場面はありこの位置としております。最終戦では邪道さんとの仲違いも発生しているようで。GoDの実質的な解散に伴い、ファンタズモがどこに向かうのか注目したいと思います。
ベストバウトは上記の通りTAKESHITA戦!

〇辻陽太
春夏連覇がかかり、新生代組の中では実績面でもクオリティでも一歩リードしていた辻。というか正直Aに置いてもいいと思うんですが、G1前から先行してクオリティのアベレージが高かったのが裏目というか、今回G1で明らかに評価を上げた選手たちと比べてやや印象に残りにくかった&見慣れて来た故のこの位置といったところでしょうか。NJCとの時と比べると連戦が多かったからなのか、若干動きのキレのなさが見受けられるシーンもありました。

とはいえ、辻の売りというか長所はフィジカルもそうなんですが、いちばんはリング外での期待値の高め方、自身のキャラクターを定め、シチュエーションに対する言語化を行い、ファンに応援する(=応援されないも含む)理由を作るのがうまいところで、この部分はヤングライオンの頃から非常にしっかりしており、多くのプオタが質実剛健な上村派を表明する中、私が辻派だったのはこれが理由でした。
やはり私はプロレス視聴における比重が技術よりお話や感情に寄っている気がしています。

まあいろいろ書きましたが、その部分ががっちりしてる限りはそう無味無臭になることはないと思っていますし、会社側からの信頼も厚いのではないでしょうか。
なんとかリーグは突破しましたが、待ち受けるのはTAKESHITAとの再戦。果たして春夏連覇なるのでしょうか。

ベストバウトはTAKESHITA戦か後藤戦。成田戦もよかったですね。上村戦は終わりまでしっかり見たかった。...やっぱりAでいいのでは???

〇ジェフ・コブ
TAKESHITAやボルチンとはまた違った方向のフィジカルモンスターことジェフ・コブ。今回は遂にというか、遅すぎたような気もしますがシングル王者としての参戦となりました。

試合内容自体は非常に安定しており、常にその怪物性を振り回しながら相手を制圧していく姿は圧巻で、リーグ戦におけるバリエーションとクオリティを担保する重要なファクターでありました。...あったのですが、なんというか、やや安定志向に寄りすぎていたような気があり、またコブ自身が強い上昇志向やプライドを見せるタイプではない故に、モンスター性以外の部分である情感での訴求力がやや足りていなかったような印象です。

そこに加えて新日本のキャラクター性を大切にするプロレス、もっと言うと万能ではなく特化を見せるプロレスが悪い方向に行きサプライズ感がやや失われてしまったように思えました。
コブはもっと上の格を狙っていっていい選手だと思いますし、新日もやや便利屋として扱ってしまっている感もありますので、もう少しわがままなコブを見たい気がします。
ベストバウトはTAKESHITA戦かな?ボルチン戦もよかったですね。

〇デビッド・フィンレー
新世代組の中ではユニットリーダーということもあり圧倒的な格を持っているフィンレー。グローバル王者として堂々の参戦&1位突破は見事で、要所要所の破壊的な暴力性と外道さんのアシストを崩すのはトップ層の選手でも容易ではなくなっています。

ただこれはジェイ・ホワイトの時もそうだったのですが、本人単体の能力がもう必要十分以上となったこともあり、最早外道さんはいなくてもいい...少なくとも手は出さなくてもいいような気がしてきています。
とはいえ、ヒールというポジションを考えると、「ベビーフェイスが負けていい理由づくり」として外道さんの存在は重要でもあり、EVILほど極端なヒールファイトではないところが余計に事を難しくしてますね...。なので試合内容や勝利自体に納得感は非常にあるのですが、エクスキューズがついてしまうのがややもったいないような気がします。

またWAR DOGS特有の怒り要素に関しては同チームのゲイブが途轍もない火力を見せてることもあり、感情面でやや薄まってしまった印象もあります。
しかしながら、自身の格故の敗北による爆発を見せた後藤戦、なんだかんだ新日に対してプライドを持ち「よそ者」を見事に仕留めて見せたTAKESHITA戦などいい試合も多かったです。...Aでよくねえか!?

Aランク(☆3.5~☆4相当)

〇鷹木信吾
年始のモクスリー戦から始まりHENARE相手にNEVER陥落と今年は意外と負けてる印象のある鷹木ですがなんのその、無事にリーグ突破と相成りました。
会場支持率も非常に高くまた戦績も若手にいい感じに負けつつ、内藤、EVIL、ザック、ジェイク...つまりSANADA以外の現世代には勝利と確かな実力と信頼を見せつけています。当時のオカダを撃破し世界ヘビーを奪取した男の実力は伊達ではありません。

最早高値安定過ぎて言うこともないよう気がしますが、以前のG1では何度か勝利に繋げていたグラウンドコブラは今回ほぼ使用せず、その代わりのクイックとしてパンピングボンバー固めを多用しており、引き出しの多さと言いますか、飽きさせない工夫に感心してしまいます。試合自体のテンションも相変わらずでそれこそ飽きるような気もするのですが、流行り廃りの範疇は越えて、定番の域に達してしまっており特に地方会場だとその強みがよくわかります。

今年デビュー20周年を迎え、山梨での記念大会もチケット完売、初戦で内藤も撃破し鷹木vs内藤のIWGP世界ヘビー戦もファンの意識の中に強くあるでしょう。その中でG1のプレーオフに挑むことになるわけですがどうなるのか非常に楽しみです。

ベストバウトはザック戦!この2人はこの数年でもシングル戦を結構やっているのですが、すべてがベストバウト候補なきがしますね。なお私は鷹木王者時代のパワストの鷹木vsザックを見ています。いいでしょお~()

〇グレート-O-カーン
発言も行動力も実力もあるのにいまいちそれが試合のおもしろさに反映されない、KOPW王座での変則的な試合もなんだか空回りと考えすぎてドツボにはまっていたような印象を受けるオーカーンですが、G1では終始一貫したシリアスなファイトスタイルで強さを見せつけ、さらに「羊殺し→コンプリートショット→エリミネーター」という明確なフィニッシュへの道筋をつけたことで試合のおもしろさや勝った際の納得感を強めています。モンゴリアン連打→フェイント地獄突きも好きです。

オーカーンは競技者からプロレスへ転向したわけですが、凱旋帰国して以降は特に「強さ以外に何が見せられるのか」をものすごく考えていた選手だと思います。それが数々の行動に繋がっていたと思うのですが、上記の通り空回り。一周回って「強さ」を見せることで自分の濃すぎるキャラクター性と今までの行動をより引き立たせ、G1後半の圧倒的民意に繋がっていたと思います。

特に最終戦のvs内藤はもはや完全制圧といった趣かつ、あの内藤相手にオーカーンが勝つことに疑問を感じさせないほどの支持を集めておりました。「強さ」と「それ以外」のバランスがとても大事であることを痛感させられます。浜松での歓声もすさまじく鷹木戦が楽しみでなりません。
ベストバウトは迷いますがEVIL戦か内藤戦!

〇HENARE
下積みが非常に長かった選手ではありますが、ほかの新世代組と比較してチャンスの数が明らかに少なく、またHENARE自身もリングネームやキャラクタライズの変更を度々行うなどやや迷走気味でしたが、去年のG1で改めてマオリ族の誇りとファイトスピリット(マナ)にフォーカスを当てた結果、それがキレイにハマり遂に今年は満場一致でのNEVAR王座獲得となりました。

G1でも戦績こそ負け越しだったものの石井智弘イズムを感じさせる突貫ファイトと場面場面での的確な打撃はリーグ戦のクオリティの底上げにつながっていましたし、今の己に強い自信を漲らせる姿は負けてもなお非常に頼もしく映り、初戦のvsファンタズモでの言動と完勝っぷりからは貫禄も出てきたように思えます。

個人的には次代の石井智弘枠を期待してしまいますし、今のHENAREであればNEVAR戦で好試合を量産できるほどの実力があると思います。目指せ、マオリ製ベストバウトマシーン。
ベストバウトはコブ戦かな。

〇ゲイブ・キッド
新日本への愛が強すぎる故に全てを敵に回し続ける男、ゲイブ・キッド。今年以降では一番支持率を上げた選手かもしれません。

とにかくその破天荒な試合内容が目につきますが、元々は柴田勝頼に徹底的に基礎を叩き込まれた選手であり、ベーシカルなバックボーンがその破天荒さだけではない説得力を持たせており、常に怒りと激情をまとわせ対戦相手に火を向ける姿はWAR READYをまさに体現しています。WAR DOGS...というよりBullet club自体がそうかもしれませんが、彼らの元々のキャラクタライズは「軍人」なのです。単なるならず者や半グレではありません。軍人なんだから基礎があって当然、強くて当然なのです。

NOAHでの清宮戦後もその戦意は衰えることなくG1でも発揮。ラリアットで試合を決めるパターンも増加していますが、オーカーン戦でも見せた通り説得力も十分、なんならエメラルドフロウジョンからのムーンサルトなどNOAHでの経験を生かしたチョイスもされており試合の幅を広げてきています。ゲイブだけはノア(全日)!

ザック戦ではそのスタイルを逆手に取られた上での敗北でしたが、己のストロングスタイルを貫く一戦に闘魂を見ました。ノア(全日)じゃなくて新日!
ジェイクとの関係性もどうなるかとは思いましたが、大荒れ試合の末にお互いに実力を認め合い和解。ハイボールとストロングゼロが相変わらず似合い過ぎる男です。今後はIWGPタッグを狙いに行くなど今後の動向も注目されます。
ベストバウトはザック戦。上記の通り鷹木戦、ジェイク戦、オーカーン戦もよかったですね。

〇上村優也
基礎技術を重視しそれをリング上に強く反映させる、その志向する方向性こそよかったもののイマイチ試合のおもしろさにつながっておらず苦戦していた印象のある上村でしたがこのG1にて一気に開花しました。G1爆上げ勢その1。

これは技術的な部分の話は正直私にはわからない、技セットも大きな変更はありませんし、もしかしたら細かい部分も然程変わっていないのかもしれません。ただリング上での立ち振る舞いが明らかに主役の人のそれになっていた気がします。
何というか今まではアーティストを目指していたのが、アイドルに変わったというか...。陽の気が強まったといいますか...。なんとも感覚的な話で申し訳ないのですが、G1以前とは変わったこと自体は明らかなのです。

そして私がもともと上村をあまり評価してなかった理由であるキャラクターの弱さと言葉を持てない(持たない)部分も、この主役属性の獲得と、拙さが残りながらもそれが味になっているマイクやバクステなど、試合との相乗効果で一気に乗れる要素が増えました。掌クルックルですよ。
それだけに最終戦手前での離脱は非常に痛かったのですが、今の上村であればこの悲劇性さえ味方に付けてくるかもしれません。復帰後に期待したいと思います。

ベストバウトはTAKESHITA戦。ALL TOGETHERでは最早TAKESHITA(とシュンスカ)のハンデみたいな扱いをされており、本人もかなり悔しかったと思いますし、この試合でも総合力では完全にTAKESHITAに上回れていましたが、新日本の誇りを賭けて激勝したシーンはG1名場面の一つであることは間違いありません。辻戦と後藤戦も非常に良かったですね。

〇成田蓮
G1爆上げ勢その2。昨年のG1は打ち出したストロングスタイルというワードに対して割と散々な出来で、迷走が続いていましたが年末にヒールターン。HoTへ加入しIWGP世界ヘビーを賭けてモクスリーとも戦いましたがこちらも低評価となってしまいどうなってしまうのか不安視されておりましたが蓋を開けてみるとまぁイキイキしていること。

特に試合中の動きのよどみなさや迷いのなさが際立っており、解説陣からも言及がありましたがここは同ユニット内の金丸の指導が身を結んだ結果となったのではないでしょうか。かつてデスペラードが金丸の隣に立つことの恩恵を語っていましたがその通りの結果となりました。
そもそもとしてEVILやSHOがヒールとしてある程度の完成を見せるまでにしばらく時間がかかったことを鑑みても、現時点での成田の成長スピードは2人に比べて明らかに早く、本人の適性の問題はあるにしろ団体内で育成のフィードバックがしっかり活かされている気がしています。これがもし当たっているのであれば、新日のヒール役はしばらく安泰なのでしょう。

足攻め+凶器攻撃+断頭台というスタイルをテンポよく迷いなく実行していく姿は次代のスターヒールを感じさせる素晴らしい戦いぶりでした。バクステの「バーカw」もシンプルながらウザさ100倍で素晴らしい。やはりヒールはキャッチーかつツッコミたくなるワードが大切ですね。

ベストバウトはTAKESHITA戦でしょうか。ここまでほぼ上記のスタイルを一人で実行してきた中、最終的には敗北してしまいましたが、介入含め今持ち得るすべての手札を総動員して戦略戦術両面で圧倒し、「外敵」であるTAKESHITAを仕留めに行く姿は新日本であることへの誇りと勝利への拘りを感じさせてくれました。辻戦も非常に良かったですね。昨年散々だった清宮戦も、いまならかなりおもしろくなるんじゃないでしょうか。

〇ボルチン・オレッグ
規格外のフィジカルとパワーを見せる驚異のヤングライオン。年齢的な部分もあり早期の躍進を求められていましたが、予選で矢野、棚橋、タイチを撃破。圧倒的ポテンシャルと成長スピードを見せつけ、コブ、TAKESHITAに続くG1の3人目のフィジカルモンスターと相成りました。

試合を見てみるとやはり粗さはあるんだろうなというのは感じられるのですが、そのフィジカルとパワー、そしてそれが新日本の生え抜きから生まれてきたという背景こそがファン(クソデカ主語)がボルチンに酔わせられている要因なんだと思います。私も割と生え抜き信者的な部分はあるので、こういう選手が新日本育ちで出てきてくれたことにはうれしさを感じてしまいます。

試合内容としてもとりあえずまずは定番メニューをしっかりこなすことに注力していた気がしますが、その中でもTAKESHITAから殊勲の勝利を挙げるなど怪物性は際立っていました。とはいえベルトホルダーからの勝利にまでは至らず、しかしながらトップ戦線に十分加われる力を示したボルチンがどこへ向かうのか注目です。
ベストバウトはTAKESHITA戦でいいでしょう!

A+(☆4~4.5相当)

〇EVIL
個人的にはもうとっくに新日本のトップスターヒールであり、日本全体でみても唯一無二の立場になっていると思います。というか他団体含めてもこういうヒールの存在自体が新日とドラゲーぐらいでしか見かけておらず、なんだか寂しい気もしてしまいますが、新日のリプ欄というこの世の地獄を見ているとリスキーな存在でもあるのでしょう。
何より見事なのはここまでくると最早愛されヒールやダークヒーローになってしまいそうなところを、そこそこの頻度でマジのクソ試合やウンコ展開を挟むことでギリギリその域に届かないように調整してるのが逆にプライドみたいなものを感じさせます。

G1中は普段の興行と比較すると介入頻度は低めの構築であるため、好試合の印象は強く特に終盤における東郷排除後の展開はLIJ時代を彷彿とさせる力強さで満足感を高めつつ反則込みのフィニッシュでイラつかせる流石の仕事。またヒール同士の対決となるジェイク戦とゲイブ戦はきっちり「悪の王」として格の差を見せつけ、内藤戦での完勝っぷりと圧巻のマイクは時代を代表するヒールであることを示し、充実のG1だったのではないでしょうか。

現状SANADAがあんなことになってしまっているため、EVILは内藤に匹敵しえる数少ない格の選手となっています(G1後はどうなるかわかりませんが)。全試合安定したおもしろさを提供いただいておりましたが、ベストバウトは内藤戦でしょうか。海野戦もよかったですね。

〇後藤洋央紀
今年のG1のMVP候補の一人でしょう。人によっては最高評価となるでしょうがそこに何も異論はありません。個人的にもSにするか非常に迷いましたがSはリーグから1人かなぁ...という拘りからこの位置に置かせていただきました。

内藤までを現世代とするのであれば、旧世代に分類されるであろう後藤ですが、なんと今回のG1では最年長。そしてその旧世代から唯一の出場とのとのことで、そもそも勤続疲労が著しい旧世代の中では随一のコンディションを保ち、元々の試合クオリティは安定した選手でしたが、NJCでの準優勝を超えた上でのこのシチュエーションというのはファンの見方も変わり注目度も高い状態でした。

そしてこのG1ですが、辻戦でのリベンジから始まり、上村との激闘、TAKESHITAを粉砕し、フィンレーを制裁し、成田に教育的指導と新世代の壁、いや、最早優勝候補といっても過言ではないほどの勢いを見せつけていました。特に最初の山場となった辻戦におけるGTRの進化は後藤自身がまだまだ先のある選手であることを示し、ユークス時代あたりからのファンに対する唯一の拠り所となっていた節もあり、その世代からの期待を一身に背負い戦いながらも進化を続ける姿は、過去の亡霊ではなく今を戦う後藤洋央紀の生きざまを見せつけてくれたと思います。

最後はHENAREとの真っ向勝負の末に残念ながらリーグ敗退となってしまいましたが、やはり後藤のIWGP戴冠は見たいのですよ。それだけの力は見せたと思います。現実的には後藤革命の成就は厳しいのかもしれませんが期待せずにはいられません。
ベストバウトは辻、TAKESHITA、フィンレー戦とどれもよかったので決めかねてしまいます。それ以外の試合も好勝負続きなのでぜひ全試合見ていただきたいですね。

S(☆4.5~5相当)

〇ザック・セイバー・Jr
今年はG1優勝、もしくはIWGP世界ヘビーの戴冠を必達目標として挙げていたザック。オフィシャルの優勝予想からもわかる通り確かな実力と試合のおもしろさ、そしてインタビュー等で見せる高い知性とレスリングへの意識など、誰もがすでにベストレスラーの一人とみなし、完全に気も熟した中でのG1参戦。しかしながらそんな期待をぶっ壊してくるのが新日...という不安がよぎっていましたが、蓋を開けてみれば最終日前に余裕の1位通過。最終日も勝ち点的には不要ながらもSANADAにきっちり勝利と油断も隙も全く無い、まさにパーフェクトな状態のザックがいました。

試合クオリティもすさまじく、わずかに内藤戦のみ不満が残る試合内容だったように思えますが、まあこれは内藤が悪いので致し方がなし。関節技やロールアップを主体としながらも鋭い打撃がその強みを支え、一撃必殺の意を強めた感のあるザックドライバーを選択肢として持ち、何よりもこの観客が理解するのがやや難しいスタイルをケレン味を強めてうまくチューニングし、試合で自身のスタイルのおもしろさや強さを示し続けた結果、ファンの支持を得たことが何よりの強みであるといえます。ものすごい極端なことを言うと、一見極まってなさそうに見えてもザックが極まるといえば極まるのです。それくらいのものを見せ続けてきました。

プレーオフでは鷹木とオーカーンのどちらかを待ち受ける立場となりますが、どちらを相手にしようとも激闘は必至。どうなるのか楽しみで仕方がありません。そしてぜひともザックの優勝を期待したいと思います。
ベストバウトはゲイブ戦か鷹木戦。それ以外も全部おもしろいので全部見ましょう。

〇KOUNOSUKE TAKESHITA
DDT及びAEWからの刺客。世界で活躍するKOUNOSUKE TAKESHITAが遂に国内最高峰である新日本に上がりことになりました。直前のALL TOGETHERでも同世代相手に圧倒的な実力を見せつけ、名実ともに世代のトップランナーであることを示しており、G1参戦に伴い新日本が完全破壊されることにマジでビビっていました。

そもそもTAKESHITAに関してはDDT内で実績はトップではあるものの人気はない選手...との認識を持っていました。あまりDDTには詳しくないのでアレなのですが、DDTという(当時は)メジャーではデビューできなさそうな人たちの反抗基地のような団体において、どう考えてもどの団体でも採用されうる逸材であろう竹下はそもそも場違いであるように端から見えていました。

しかも飯伏やケニーが他団体にも積極的に出撃し「メジャーにも負けないDDT」としてのプライドをファンに持たせていたと勝手に思っているのですが、竹下は団体の方針もあったのか他団体には然程出ず団体内でひたすら無双しており、なんかこう、DDTファンはそういうの望んでなさそうだなーという雰囲気は感じていました。少なくとも現在におけるクリスや上野ほどの支持はなかったと思います。

そんな竹下がAEWに渡りTAKESHITAとなって満を持してG1に参戦と相成りました。全勝突破が現実的、というか一番可能性が高い未来であるとすら予想してましたが、実際の戦績は5勝4敗の2位通過。では期待外れだったのか?全くそんなことありませんでした。

まずはその日本人とは思えないフィジカル。ヒクレオ等が去った今、純粋なサイズで対抗できるのは新日内でもボルチンだけかもしれません。このフィジカルからくる運動能力とパワーの暴力がすさまじく、よほど対抗できないと印象で完全に上回れてしまい挽回が難しくなります。
そしてAEWでの経験と年齢以上のキャリアからくる絵力の強さ。決めるところをガッチリ決めてくれるので点での見せどころが非常にうまいと思います。
そしてこれは結構意外だったのですが、献身性の高さ。いろいろな部分でエゴの強さが見える...と言われがちなTAKESHITAのプロレスであり、DDTで見ていた時は何となくそれを感じていましたが、少なくともG1ではそれよりも相手を引き立たせる意思が見え、思ったよりも新日のリングをリスペクトしてくれていたような気がします。もしかしたら単に舐められていただけかもしれませんが...。

TAKESHITAに関しては「インディーのお坊ちゃんがメジャーに勝てるわけねえだろ!AEW出て認められた気分になってたか?横一線になったつもりだったか?甘えんだよここは新・日・本なの!DDTでシコってろや!!」ぐらいに思ってたのですが、リーグ戦を通して「世界ヘビーはともかくG1ならいいかな...」ぐらいに思えてきてしまいました。掌が持たんぞ。

リーグを突破し、辻との再戦となり、新日の星返し的なアレを考えるとやや不利な予想をせざるを得ませんが、そういうものすら吹っ飛ばす様な怪物性、そして新日本への「復讐」を掲げるTAKESHITAはG1優勝、世界ヘビー奪取、棚橋撃破と果たして本懐を遂げることができるのでしょうか。
ベストバウトは全部。この記事で何回TAKESHITAって書いたかわからないよ!全部見て!!


こんな感じで長いことお読みいただきましたが、今年のG1のリーグ戦は本当におもしろかった!また他団体含め怪我人が続出している中で、非常に濃いリーグ戦を行いつつも上村のわずかな離脱のみで済んだことが何よりもよかったと思います。
本日の夜にはTAKESHITAvs辻と鷹木vsオーカーンが行われ、G1も最終章に進みますが最後まで楽しんでいきましょう!!

下記に有料エリアを設けておりますが、特に何も書いてません。珈琲かコーラおごってくれる方がいらっしゃれば恵んでいただければ幸いです。

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