
受注産業
昔々に作られた美術品や工芸品、建物が
火事や地震や洪水や戦争から生き延びて
今の世にも残っているのはスゴイことだと思う。
だがしかし
実は一番スゴイのは
色々なスゴイものを作った人たちがいたことで
いやちょっと待て!
そこで忘れがちなのは発注した人がいた、ということ。
作品展に出したいとか、ただ作りたいとか
そういう理由で作られたモノもあるとは思うが
大多数の「作品」は、発注されたモノだ。
で、それだけじゃない。
誰かが何かを作り上げて・そこでお終いになったとしたら
その後、それを作れる人がいなくなってしまう。
何かを作る技術というのは、伝えられなければ続かないものだ。
中には、自分の技術を門外不出にしたまま亡くなって
誰も再現できずに絶えてしまった技術も。
そんなものすごい技術じゃなくても・需要が少なくなってきて
作る人がいなくなってから
残念ですねえ、寂しいですねえ、なんとかなりませんかねえ
と外野がぶつくさ言ってもね。
だって、誰にも必要とされなくなった、ってことですから。
技術や生産のつながりを維持するには
発注する人がいる、ということを忘れてはイケナイ。
求める人がいるから・作る人がいて
対価を払う人がいるから・それで生活できる人がいる。
需要と供給。
例えば、畳も床柱も掛け軸も存続が厳しい業界だが
これらは座敷が欲しい人がいるから生産される。
座敷が必要とされなくなったら、博物館で見るものになる。
使う人・使いたい人がいてこそのモノ作り。