2013年のこと⑤
何とえずき感を身体的努力によって抑えていたのに、えずいてしまった。もう嘔吐反射が限界だったのだと思う。
一度えずき出すともう止まらない。とにかく原因は分からない。えずいた瞬間は楽になるが、ものの10分ぐらいでえずき感をもよおし、えずくの繰り返し。1日に何度となく打ち寄せる波のように繰り返される。
えずくと体力を使う。分かりやすく体力が奪われて何もできない。
このえずきが原因で初めて体調不良で会社を休んだ。新卒として社会人になって9年目、有休以外で会社を休んだのは初めてだった。
9年の間には風邪をひいて発熱したり、腸炎で苦しんだこともあったがそんなことでは休んではいけないと思い込んでいたので自分的には這ってでも出勤していた。
しかし、えずくことの繰り返しのツラさは熱や腹痛の比ではなかった。体力が消耗し気力も奪われ何もできない。ひたすら横たわって時間が過ぎるのを待った。それしか対処のしようがなかった。
それでも全く良くならないのでまずはかかりつけの内科へ行き、血液検査をしてもらうが何も異常が見つからない。だからとりあえず眠剤と抗不安薬、そして胃薬と吐き気どめを処方された。
胃の不調ではなかったので予想はしていたが、胃薬も吐き気どめも効かない。おもしろいぐらいに全く効かない。だから日中はえずき倒すことが延々と続く。食欲も全くなく、食べられないからフラつきも起こる。とにかく就寝前までは耐えるしかなかった。
就寝時間になって、眠剤と抗不安薬を飲む。するとえずき感が和らぐ。喉の筋緊張や違和感がスッと消える不思議な感覚が嬉しかった。薬のおかげで寝入りは良くなったが、やはり効果が切れると夜中にえずき感で目が覚め、またえずく。しかしこの眠剤と抗不安薬のセットで苦しさが和らぐと覚えたので、しばらくはえずき感への対処の方法を知ることになった。