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#117.「イヌ友」は必要か?
こんにちは!
15年以上【犬の保育園】の先生を行っている尚ちゃん先生と申します。
前回は、【シェパードと口輪】をお届けいたしました。
さて、今回は
「イヌ友は必要か」
ということをテーマに、お話をしていきたいと思います。
「イヌ友」というのは、
①「イヌの友達」
②「犬の飼い主さん同士の友達」
という、2つの「友」の種類があると思います。
1つずつ、私自身の意見を述べてみたいと思います。
今回は①「犬の友達は本当に必要か」についてお話していきます。
①の「イヌの友達」つまり、愛犬のお友達という事に関して、
「必須か、そうではないか」と聞かれたら、私は
必須ではない。
と答えます。
私に限らず、多くのドッグトレーナーさんや訓練士さんに共通の認識だと思うのですが、基本的にこういう職業をしている人は、飼主さんに「イヌ友は必要ありません」と応える方が多いと思います。
それはなぜか。
犬のトレーニング・しつけ・訓練を行う上で、
「犬を見たら遊べると思う」という思考回路を犬に植え付ける、
「犬同士の遊び」は、注意しなければならない事項だからです。
私はといえば、当然そう思ってきましたし、
イギリス人師匠にも、
「仔犬による「社会化を学ぶ」為の遊び以外は、犬同士を長く遊ばせすぎることは注意しなさい。成犬同士の過度な遊びは、セックスの仕方とケンカにしかならない」と言われたものです。
犬のトレーニングに携わる人間にとって、
犬はどんな状況においても指示を出す人、
飼主の方に注目をし、その一挙一動に意識を向け、
言葉や手指示を瞬時に理解して動くということは一番の理想です。
犬同士で長く、激しく遊ばせすぎることで、
特に若く体力のありあまる中~大型犬は、同じようなスピードで走ったり、咬みつきあって遊んでくれるわけではない人間の飼主よりも、
犬を見ると「遊ぼう」と興奮するようになります。
犬同士が沢山集まる場に訪れることの多い、
トレーナーや訓練士にとっては当然、
犬を見て興奮して指示が届かない犬はコントロールが難しいです。
ですから、トレーナーの犬は、犬同士の遊びを一般家庭の犬たちよりコントロールされていることが多いと思います。
この
「コントロール」というのは、遊びの主導権を、犬ではなく人が持っているということ
で、それは複数が遊んでいても一緒です。
例えば数頭の犬が遊んでいるときに、一頭だけ待たせたり、
ついて横をあるいたり、呼び戻しをする。
時には複数が一緒に遊んでいるときに、呼び戻しや、
「ストップ」で動きを抑制する。
などといった
「遊びのコントロール」のトレーニングをしていきます。
これが出来ていないと、仲良しの犬同士の遊びは次第に熱中したり、
時には本気モードのケンカになったりして、
異変に気が付いた飼い主さんが慌てて両者を引き離そうとするも、
どちらも興奮しすぎていて、挙句に飼い主さんが咬まれる・・・といったことは珍しくありません。
「犬同士の遊び」が必要な時期はあります。
それは仔犬の時期で、犬同士の遊びを通して、犬社会のルールやマナーを学ぶことができるのです。
また、自分と違った姿かたち、大きさ、動き、スピード、動きの癖などの犬と出会うことで、「犬」という生き物に対しての見分を犬自身が広げていくことができます。
つまり「経験値を得る」という意味での「犬同士の遊び」はとても必要であるということです。
また、「犬という誘惑の中でも、人に意識を集中することができる」トレーニングとしても有効です。
動物は「遊び」を通して成体の模倣をし、
そこから社会ルールやマナー、条件的行動パターンを学んでいきます。
ですから、幼児期の動物はどの動物にかかわらず、よく遊びます。
犬たちも、幼児期にはとにかくよく遊びます。
人とも犬とも、何ともでも遊びます。
その経験が、大人になったときの「他の犬たちへの対応の基礎」になるのです。
野生動物において、幼児期の遊びの対象は多くは親兄弟親戚であり、
姿かたちの異なる動物ではありません。
そして、姿かたちがたとえ似通っていたとしても、
集団生活を送る動物にとっては、
家族のテリトリーに近づいてくるものは「敵」としてみなすことが多いのです。
と、ここまでのご説明で、近所の小型犬がなぜ、うちの大型犬に吠えるのか。想像ができると思います。
その小型犬さんにとって、
「大型犬」はおなじ犬かもしれませんが、
おなじテリトリーである「家族」に帰属するものではないので、
「テリトリーや家族に近づく敵」とみなされても、
全く不思議はないのです。
小さなころに、「大型犬」に馴染む学習経験が無ければ、なおさらです。
ですが不思議なくらい、飼主さんたちは
「お散歩中に出会うワンちゃんと、上手に挨拶や遊ぶことができない」
とおっしゃることが多いです。
また、「犬のお友達を作るために、積極的にワンちゃんの集まりに参加したり、ドッグランに連れて行った方がいいでしょうか」というご質問も良く受けます。
トレーナーや犬業界の人はおそらく「犬友達は必須ではない」という方が多いでしょう。
けれど、そういう専門家の意見はおいておいて、
飼主さんたちは「うちの子にお友達を作ってあげたい」とおっしゃるのです。
この奇妙なすれ違いは、どこから生まれるのだろう、
と私は常々思っていたのですが、
自分が子供を産んで、1つの事実に思い当たりました。
ああ、飼主さんたちは、ご自身やお子さんをワンちゃんたちに投影されているのだ。ということに。
(こんなこと言うと、フォロワーさんが減ってしまうかもしれませんが。)
おなじ「犬」という社会で、上手くやっていけない我が愛犬。我が子。
どんなワンちゃんとも、スマートに挨拶して、仲良くして、遊んでほしい。
それができないことは、「犬」として「失格」なのではないか。
「犬」として、「犬と上手く遊べない」ことは、寂しいことではないのか。
そんな気持ちが、「犬の友達を作ってあげたい」「犬の友達がいない」という願いや不安がわき上がる根本のところではないかな、と思っています。
これは、自分に子供ができて、その子が社会生活を集団の中で送るようになり、初めて「実体験として」感じたことです。
自分の子供が、保育園で、お友達とトラブルなく楽しくやっていけているのか。
いじめられたり、いじめたり、優しくされたり、優しくしたり出来ているのだろうか。
子供たちの輪に、溶け込めているのか。寂しい思いをしていないのか。
それは、親であれば誰しも我が子に感じることではないでしょうか。
その気持ちをそのまま、我が子である犬に対して、
抱いている方が多いのではないかなと思います。
私はドッグランにはほとんど行きませんが、ランの外から、
中の犬模様、人間模様を見るのは好きです。
そこで、犬同士の小競り合いがあったり、片方が片方にしつこすぎたり、
数頭で1頭をおいつめたりすることがあるとき、
飼主さんから出る
「も~、ダメでしょ!お友達と仲良くして!・・・・うちの子がすみません」。
これ、公園で聴く子供連れのママさんたちと同じセリフだなあ・・・・
親が子に、「集団のなかで上手くみんなと仲良く、楽しく遊んでほしい」ということは、
日本独自の「平和を好む」という一面もあるかと思いますが、
子供は親からいつか独立していきます。
独り立ちした先の社会で、その子が周囲や社会や環境と上手くスムーズに馴染めるように。
自分の能力や強みを生かして、1人で生きていくことができるように、親は子を育てます。
いつか、1人でこの社会で生きていく日が、子供にはやってきます。
だからこそ、「周囲と仲良く、協力して」ということを子供に伝えます。
子供には子供の、人間関係が生まれていき、親はいづれその世界からは離脱していく。
それが人間の「自立」だからです。
ですが、
「犬」はお家に来てから息を引き取るその時まで、「自立」することはありません。
その犬の帰属する社会は「家族」と「家庭」であり、
隣の家の柴犬と協力して事業を起こすことは決してありません。
どころか、「犬」という生き物の性質としては、たとえ姿かたちが同じ「犬」に属するとしても、自分の「仲間とテリトリー」はあくまで人間であり、家庭。
ですので、出会い頭に「友達」になる可能性よりは「敵」である可能性の方が高いのです。
それが、犬に対して経験値が少ない犬であればなおさら、「犬は敵」にまわる可能性が高くなります。
ですので、
私は「イヌの友達」の「イヌ友」は必須ではない。
という答えに至っています。
ただし
「犬同士の遊びは禁止」「犬同士遊ばせない」ということではなく、
犬同士の相性が合い、お互い合意の上で、遊びがスタートするようであれば、それは飼主さん同士のコントロールのもとで、推奨されるべきことでもあると思います。
単純に、犬同士が楽しそうに、一生懸命遊んでいる姿を見るのは、
「お友達ができて良かった」と嬉しくなるし、
ストレスやエネルギーの発散にも良いと思います。
ですが、
そこにこだわりすぎなくても、犬にとっては、あなたが一番。
あなたの家族が一番大事。
ですから、「イヌ友ができない」としても、嘆かないでください。
相性が合う、楽しく遊ぶ犬がいればそれに濾したことは無いですが、
それが叶わないとしても、
あなたが犬の最良の友でいればよいのです。
大丈夫、犬は「犬の友達がいない、俺は孤独やー!」とは言いません。
もし、そう言っているように思えるなら、それはあなたの罪悪感か、
子供への投影かもしれません。
次回は、②「イヌ友」=「犬の飼い主さん同士の友達」についてお話していこうと思います。
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