はじめに
マルクスは、資本主義の終焉を予言した。しかし、現実には、そのような事は起こらなかった。資本主義を基本としながらも所得再分配や公共投資といった社会主義的要素を取り入れた混合経済を各国が採用し、それが機能していたからと考えられる。ソ連の崩壊を資本主義の勝利、社会主義の敗北と解釈する人々もいた。純粋な資本主義経済の下では経済格差が拡大していくが、国がお金の力を制御すればよいというわけだ。
しかし、現在、再び資本主義に対する疑問の声が高まりつつある。経済格差は拡大を続け、気候変動問題は深刻化するばかり。資本主義が曲がり角に立たされている事は疑いようもない。この原因は、グローバル経済の進展にあると考えられる。グローバル経済の影響で混合経済は軌道修正を迫られた。お金は投資家を優遇する国に集まりやすい。各種規制が緩いところに工場等が集まりやすい。国際競争力維持のため投資家優遇、規制撤廃が進む。国ができることがどんどん限られているのだ。このままでは、経済格差はさらに拡大し、気候変動の問題が解決するはずもない。皮肉な事に、資本主義経済は、その最終形態ともいえるグローバル化を達成したがために終焉を迎えようとしているのである。
どのようにして経済格差や気候変動に立ち向かえばよいのだろうか。グローバル経済に1国で立ち向かう事は不可能だ。たとえば、ある国だけが格差縮小のため投資に対する課税を強化すれば、その国からお金が逃げてしまう。ヒト、モノ、カネがグローバルに移動する現在、ある国だけ混合経済的な政策をとろうとしてもうまくいかない。国際協調が必要なのだ。既に国際協調の動きはある。しかし、その歩みは遅い。国際協調を加速させなければならない。そのために、我々、ひとりひとりは何をなすべきであろうか。一部の人はデモに参加する等のコストがかかる活動をするだろう。しかし、大多数の人は、いろいろな制約をかかえ大きく動く事ができない。そこで、本稿では、「ささやかな事」を提案したい。誰もが気軽に一瞬で出来ることだ。「ささやかな事」でも多くの人たちが行うなら大きな力となる。最初は少数しか参加しないだろう。でも、少しずつ輪が広がっていけばよい。現状のままでは悪くなる一方だ。人類の未来は「今」を生きる我々の手にゆだねられている。
皆で「ささやかな事」を成し遂げ、人類の未来に「ひかり」をともそうではないか。
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