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【掌編小説】タバコ吸い島


雲の中を泳ぐようにして島が進んでいた。人工島に斥力装置をとりつけ、同時に大きなプロペラを回して進む浮遊島というやつである。島は非常に小ぶりなものであった、が。

浮遊島というものは限られた人間しか持てないものだ。それこそ一部の富を所有した人間のみが持つものだ。

ぷかあ、とドーナツ型の雲がうかんだ。

島に建てられた家の中に一人の男がいた。その男が家の中でタバコを吸っていたのである。家族も、使用人といったものもおらず、本当に一人である。少なくとも浮遊島を持つほどの人間ならば、使用人の一人や二人はいてもおかしくないはずだが。

「うん、静かだ」

男は誰かに聞かせるような口ぶりで言葉を発したが、それでもそこには男一人しかいないのである。

「やっと思いっきりタバコが吸えるよ」

男は続けざまに会話をするように言葉をつむいだ。

「ずっと我慢していたのになあ、タバコ。なのに結局膵臓ガンで余命4か月か、なんか馬鹿みたいだな」

言葉と同時にぽとりとタバコの灰がおちた。

「せめてこの家は俺の代わりにずっとタバコを吸っててほしいもんだよ。高度5キロメートル、だいたいこのあたりを進んでいけばちょうどいいぐらいに雲の中を進んでいけるかな」

やがて男はいなくなった。だがその家は雲の中を進み続けた。男の望みをうけついで。
いつの日か、その島はタバコ吸い島と呼ばれるようになった。

★★★

久しぶりにAI画像出力。『Dream by WOMBO』を使用しました。

絵は『imple Design V2』を使用。
呪文はこんな感じ。
『空に浮かんでいる大きな島、背景には大きな雲が浮かんでいる。』

『imple Design V2』だと文芸系の本のイラストのような絵が出力されてくるので、ちょっと曖昧な指示でもそれなりに出力してくれます。

別のフィルターだといまいちだったのですが、このフィルターだとそれなりに出力できました。なんというかもうちょっとラピュタっぽくなるかなあとか思ってましたが、違うタイプに出力されました。

で、なんかこの絵見てたら話が浮かんできたのでさっさか書いたらこんな感じに。基本私は文字だと掌編しか書けませんし、短くまとめました。

このタバコ吸いの男はなんとなく私の『【掌編】タバコ』の登場人物の40代男引きずってますね。だからといって、たとえば世界線の違う同一人物とかでもない感じ。あきらかに別人です。

タバコ吸い島はなんとなく、『のび太の大魔境』のヘビースモーカーズ・フォレストから連想したところがあります。あと人工島の斥力装置は某漫画を読み返してたらなんか影響うけました。

久々掌編の新作書けてうれしいです。先に絵を作るのもありな書き方ですね。

気が向きましたらお茶おごってやるか~的にサポートしていただけたら有り難いです。創作の燃料にはなります。