ネットワークビジネスの春は「消費者相談センターめぐり」です。
人の異動や移動が多い春。
ネットワークビジネス運営会社も慌ただしい季節を迎えます。
ある程度の規模の会社なら、消費者からの相談を受けたり、会員活動に違反している人を指導する部門を設けています。
「お客様相談室」とか「コンプライアンス促進室」とかネーミングは各社異なりますが、やっていることはほぼ同じ。簡単に言うと「クレーム対応」です。
お客様相談室の春は、一年を通して一番慌ただしい季節を迎えます。
◆消費者相談センターは絶対的存在
お客様相談室のスタッフは、この時期、各地点の消費者相談センターを訪問するという大イベントに取り組んでいます。
ネットワークビジネス会社のお客様相談室のスタッフにとって消費者相談センターは、絶対に敵に回したくない相手です。
なぜならば各地にある消費者相談センターに苦情がたまると、
→消費者庁に報告され監視対象となる。
→監視されている中、問題行動があると、業務改善命令に
→最悪の場合、業務停止命令を受ける
ことになるからです。
消費者庁の監視を受ける前に、小さな問題の芽はつぶしておきたいという思いがありますから、ネットワークビジネス会社はいつも消費者相談センターの顔色をうかがっています。
向こうから「苦情が届いてますよ、あなたたち、どういう商売をしているんですか?」と言われる前に、
「私どもの会員さまの活動で、何か問題は寄せられていないでしょうか。あれば即刻対応いたします」
という先手を打ちたい。
その姿勢をしめすべく、定期訪問をおこなっているのです。
◆苦情受付の最前線から得る、今すべき対応情報
消費者相談センターも春は人事異動があり、顔ぶれが変わることが多いです。
年度初めですし、「どうかひとつ、お手柔らかに」と顔見世のあいさつをするの最適な季節といわけですね。
もちろん、訪問してご挨拶をしたからといって、消費者相談センターが甘い裁量をつけてくれるようになる…ということは一切ありません。
何かいい情報を特別にリークしてくれるということも皆無です。
それこそ公的機関が特定企業を贔屓にしたら大問題ですから。
ただし、消費者相談センターの目的は「消費者が安心して生活できる環境を保つこと」ですから、そのための情報はある程度開示してくれます。
例えば「最近、どんな感じですかね?」と聞くと
「この頃は若い人からの相談が増えていますね。今、ちょっとキャンプがブームでしょう?SNSで知り合った人に誘われてキャンプに言ったら勧誘だった、というような。バーベキューなどでお酒を飲ませてから勧誘するという手口も増えていますね。飲酒して、自分で車をすぐには運転して帰ることができない状況に持ち込むことを計算しているという悪質なケースもあります」
というような返事が返ってくるわけです。
これは言外に「あなたのところの会員ではないにしろ、しっかり指導しておいてくださいよ。ブラインド勧誘、強引な勧誘、追い詰め勧誘ですからね。若い人への指導を早急に徹底してください」という「匂わせ」です。
◆Win&Win&Winとなるために。
消費者相談センターは、ネットワークビジネス運営企業にとって鬼より怖い存在です。
ある意味、目の上のたんこぶです。
けれど、きちんと筋を通して真摯な姿勢を見せれば、得られるメリットもたくさんあります。
前記の場合、ネットワークビジネス会社は即、若い人向けのコンプライアンス勉強会を開いて、指導を徹底します。
そうすることで、運営会社は特商法違反の芽を摘み取ることができ、「業務改善命令」へのリスクも減らせるわけです。
消費者相談センターにとっても「不利益を被る消費者」を減らすことができるので、いい話です。
しかも、消費者相談センターというところはお役所ですから、寄せられた苦情をレポートにまとめて公示したり、WEBに載せるまでに時間がと~ってもかかります。
それより早く情報を拡散し、消費者を守ることができるため、彼らにとってもメリットは大きいというわけです。
春の消費者相談センター巡りは、やややっかいであるものの、ネットワークビジネス運営会社にとって欠かせないイベントです。