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ぺん紹介IV Pilot S20

こんにちは。沙苗です。今日はみんな大好きS20を紹介したいと思います。よろしくお願いします。

S20について

私が持っているのはディープレッドとブラック。

皆さんご存知の通りパイロットS20はパイロットの製図用中心の筆記具のSシリーズから販売されている木軸シャープペンシル及びボールペンです。恐らく2000年辺りの発売でしょう。今でこそ木軸ペンはかなりメジャーな存在になりましたが2000年代初めに、それも製図用シリーズのSシリーズで木軸シャーペンが発売されたのは当時としては衝撃的だったのではないでしょうか。またその軸はただの木ではなく、親の顔より見た、、、では無く親の名より呼び親しんだであろう「樹脂含浸カバ材」が使用されています。(あぁ、何回聞いたんだ、この響きを、、、)樹脂含浸カバ材とは薄くスライスしたカバの木に樹脂を染み込ませてプレスしたものです。発売当初はディープレッドとダークブラウンの2色のみの展開でまた同じ軸色でガイドパイプが短いスタンダードタイプ(廃盤)、ボールペンタイプ(現行)があります。2020年にはシャープペンシルのみでブラック、ブラウン、マホガニーの新色が追加されました。言うまでも無く、S20の人気増加によるものでしょう。軸色は恐らくダークブラウンが人気なのかなと思います。逆に私がよく店頭で残っているのを見るのはディープレッドです。個人的にはディープレッドが最も好みなのですけどね。価格は税込2200円です。今月の価格改定でSシリーズの数字と値段が一致しているものがさらに減りましたね。

幻のS20スタンダード。口金、ノック部が異なる。(WayBackMachineより)

S20との出会い

ここで私のSシリーズ遍歴をご紹介したいと思います。順に言うと、S3(文具に興味を持つ前から既に持っていたもの)、S10、S5、S20、S3(文具に興味を持ってから初めて買ったもの)です。実を言うとS30は持っていないのですねぇ。S30は製図用シャーペンじゃねぇからSシリーズじゃぁねぇわぁ!!といった考えから抜かした訳では無くただ持っていないだけです。最近S30の廃盤(生産中止?)が騒がれていて購入も検討しているのですが。(これで本当に廃盤になったら廃盤文具市場では値上がりしそうですね。)つまり実質的に現時点で最後に購入したSシリーズであり比較的使用歴も短いです。何故最後に購入する事になったかと言うとそれは私もあまり意識した事が無いので返答しかねる、、、とは言えないので考えましたが私がもともと見た目的に魅力を感じていなかったのとSシリーズ内では少々値が張るからでしょう。(あくまで"考えて"出た考察に過ぎないため推測形になるのは致し方ないのです。)しかし、今私の手元にS20がある、という事は先程考えた私がS20を最後まで購入に至らなかった理由が覆った、という事があったはずです。まず、値段が張る、という点では2200円という値段はお財布に余裕ができれば比較的ダメージを少なくして払う事ができる絶妙な値段であるためクリア、次に見た目に魅力を感じなかった、という点に関してはこれはもう魅力を感じるようになった、と言うしかありませんね。"木軸"という所に何と無く拒絶感を抱いていたのですがそれは全くそんな事はありませんでした。なんせあくまで製図用シャープなので当時の私が考えていた木軸の「拒絶感」と製図用シャープの「スタイリッシュさ」の組み合わせは断然製図用シャープのスタイリッシュさが勝るでしょう。

S20でも洗練された後部の雰囲気は健在。

さらにS20は文具界隈では「良いシャーペン」の代名詞と言える程の評判でそこも少し気になったのです。(しかし逆にS20を持っていなくて文具好きと言えるのか?と問われたらそんな事は無いと私は答えると思います。〇〇好きに基準なんぞ存在しないのです。)という事でS20の購入に至りました。と言いたい所ですが実は私の所有している2本の内1本のブラックは私が購入したものでは無く頂いたものです。それがディープレッドのものを買う1週間程前に頂いたので私の初めて所有したS20は頂き物なのです。当時はS20を頂けるなんて思いもしなかったのでとても嬉しかったです。そんな訳で後日ディープレッドを購入し(ブラックのものを頂く前からS20の購入の検討はあったため初志貫徹という事で2本目となるがディープレッドも購入した)、私のS20は2本体制となった訳です。

観察してみる

詳しく見ていきます。

ディープレッド。ブラックよりも木目が際立って美しい。
ブラック。パッと見では木軸には見えないかもしれないがそれもそれで格好良い。

まず見た目から。
これまでのSシリーズでは材質的に表現が難しかったであろう流線形がS20では特に際立っていて美しいです。製図用シャープに流線形という組み合わせは恐らくかなり珍しく、有名所で言うとSシリーズぐらいしか無いでしょう。全体的な雰囲気もそれによってSシリーズ独特のスタイリッシュな雰囲気とS20特有の暗めで落ち着いたまるで高級筆記具の様な2つの雰囲気を同時に持ち備えています。この相反する2つの雰囲気を持ち備えている筆記具もこれまた少なく私はほとんど思いつきませんでした。(同じくパイロットのオートマックE500もハイスペックな未来的な感じとパイロットの伝統的な万年筆らしい雰囲気の2つがあると思いますがオートマックE500に関しては後者の方が大きい気がします。)

ブラックは特にそのデザインが際立つ。
中央の銀リングから両方向へ絞られるつくりが特徴的。

また、S20の木目は樹脂含浸カバ材のためか木目"風"の模様がハッキリしていて美しいです。(いや、使っているのは木ではあるから"風"ではないのかもしれない。)特に軸色が薄めのものは分かりやすいです。その特殊な製法から木材を「重ねた」感じが多少あると思いきや全くそんな事はありません。木材をそのまま切り落とした様にとてもきれいな仕上げとなっています。

口金の裏側の所は多少「重ねた」感があるかなと思ったが全くそんな事は無かった。むしろ
より本物の木らしい位。
S20は曲線のボディだから木目が木目らしい模様になっている。

金型に関してはS10と同じものを使っているのかと思いましたがグリップ部分が固く接着されていて分かりません。もしかしたら違うかもです。S20のグリップを取り外してS10のグリップを取り付ける改造がありますがグリップの互換性があるという事は金型も共通化されているのでしょうか。しかしそれならば逆にS10にS20のグリップを付ける改造もありそうですが私は見た事は無いです。(H-208xみたいな)
S20はコスト的な意味なのか(S30には木に印刷されているため技術的な問題では無さそう。)木材にはロゴは記されておらずグリップと軸の間にある銀色のリングに印刷されています。そのロゴが剥がれやすいのは有名で私のも少しだけ擦れています。

例の剝げやすいロゴ部分
裏側の「JAPAN」も同様に剥がれやすい

さらに軸も長く使う事により経年変化を楽しめるペンでもあります。つまり勉強をS20ですれば、勉強をする程経年変化を楽しむ事ができる、という事です。裏を返せば綺麗なS20を使っている人がいればその人はあまり勉強をしていない、という事が分かるのです!だから周りで新品同様なS20を使っている友達がいたら「全然勉強してないじゃーん!」と軽く煽ってあげましょう。(というのはネタでその人がS20を購入したばかりか文具好きでちょくちょく使うペンを変える人だったらそんな事は一概には言えませんので今のは嘘です。すみません。)
次は書き味について見ていきます。
コツコツとした安定な筆記感である、というのは言うまでも無く、完璧な書き味とはこの事だ!と思えてしまう程良質な書き心地です。逆に言えば特徴的な書き味では無いかもしれません。がこの完璧な書き味こそS20ならではの特徴であるともいえるでしょう。いや、それにしても本当に言う事が無いのです。この書き味が少なくとも好みでは無い人なんているのでしょうか。と言いつつも少しばかりは気になる所、というか恣意と言えばここが気になるかな位ですが気になる所もあります。それがグリップ部です。他のSシリーズと比べてグリップが先に絞られる形状であるが故私の感覚的には結構細く感じてしまいます。私はどちらかと言うと太めのペンが好みですので少し気になりました。さらにこれを言ってしまえばS20の存在自体を否定する事と同等の事となりかねないので多少ばかり言うのははばかれますが木軸のグリップは少し滑り易い気がします。そもそも私が経年変化をする程使っていないので言える筋合いは無いかもしれませんが少なくとも購入してから少ししか経っていない間は滑り易さが気になる人もいるかと思います。特に手が乾燥する冬場なんかは私は結構滑りました。

おまけ

S10の記事にも載せた、私の勝手な想像のバリエーションも載せておきます。

S20の銀色部分が黒色に塗られたものです。これもこれで格好良いかなと思います。値段としては2200円なのでしょうか。2750円位なのでしょうか。同じ製品で色によって値段が異なる場合ってパイロットでは珍しい気がします。廃番ですがクラッチポイントあたりは当てはまるかもしれません。

おまけ2

私はS20をホルダー化する程の技術と財力を持ち備えていないので大規模な改造はできませんが着せ替え程度の改造(改造、、、とも言えないかもしれないが)をしています。

パッと見S20スタンダードに見えなくも、、、
ない。

口金を光沢のあるS3かS5のものに変え、ノック部は互換性のある光沢のあるものに変え(私はパイロットの名称不明の製図用シャープのものを使用している。H-22xあたりに似ている。)、クリップも取っています。これだけで結構イメージも変わり、若干廃番文具らしい風貌へと化します。ドローイングシャープなんかと似ていると私は感じました。クリップなどを取ってみるだけでS20のみならず筆記具のイメージはかなり変わるので是非試してみて下さい。とくにS20はシンプルで美しい流線形の形になるのでクリップを取ってみる価値はあると思います。

おわりに

今日はパイロットのS20のご紹介でした。書き味に関しては本当に最適過ぎるバランスが保たれたペンで、是非一度は使ってみて欲しいペンです。では、また会いましょう。さようなら。
まだ続く暑さに負けぬようお過ごし下さい。

新手の京言葉。「もっと勉強に励め。」の意。
先程の"S20綺麗なら勉強していない理論"が通るならば
こんな事もあるのかもしれない。笑