◯◯警察
*2021年9月22日初出。
このところ、「気をつけて!」というメッセージを立て続けにいただきまして、何ごとかなと思ったら、「着物警察」について、でした。
ネットをざわつかせたこの「着物警察」、ごく一般的な和装をしていたTwitter投稿者が、ある日急に見も知らぬ女性にトイレに連れ込まれ、着付けについてあれやこれや説教された挙句、「直してあげるから」と言われて、そんな場所で帯まで解かされ、でもなんとか振り切って自力で着直し逃げた、というストーリー。
もうね、これ、ホラーです。
あんな狭い個室で見ず知らずの年上女性に着付けを全否定されながら装身を解かされ(服を脱がされるというとその恐怖が伝わりますね)るなんて、ホラー以外の何ものでもありません。
よく頑張りましたね。
投稿者にはそうお伝えしたいです。
私自身は「警察」にお世話になったのは一度きり。スーパーで買い物していたら、急にぐいっとお太鼓をねじられました。
「曲がってたから直しとったよ。」
えー、そんなドヤ顔で言われても…。
その時は怒るより、呆れる方が先でした。私よりずいぶん年長の方でしたが、他人の衣服というより、身体そのもの、もっと言うなら精神性を象徴するようなものに土足で立ち入るような仕儀が平気でできてしまうことにびっくりしました。
「…直しとったよ」の後にはお礼と称賛を期待する微表情が浮かんでいましたが、ここでそれを口にすると、今後もまたこういうことをなさるのだろうなあと思ったので、軽く会釈するのみでその場を去りました。ハラワタ煮えくり返ったのは帰宅してからでした(鈍感力!笑笑)。
多分その方もふだんは常識的な方なのでしょう。でもたまたま(大好物の)着物を着たド素人を見つけてしまい、ついつい自らの見識の高さを示したくなった、というところでしょうか。
これも承認欲求。かなり歪んでますけど。
自分の得意ジャンルに関して、人はなぜかマウントをとりたがります。「私の方が上なのよ!」、なぜかそう言いたくなるみたいです。
この「着物警察」にしても、他人の着付けにとやかく言って嫌われるより、そんなに自信があるならさっさと自装して着こなしを楽しんだ方がよほど楽しいし、承認欲求が真っ直ぐに満たされると思うのですけどね。
結局、着物によらず「◯◯警察」といわれる人々は、この歪んだ承認欲求を抱えた人たちなんですよね。だから何でもしていいかっていうともちろんそれは違います。でもそういう思考の人なんだとわかると、ちょっとだけこちらにアドバンテージができますね。余裕って大事。
「ちょっと、帯曲がってるわよ!」
「ええ、それが何か?」
こんな風に返せたら無敵です。笑笑。
*サムネ、長襦袢の襟合わせが明らかにおかしい。長い和装歴の中で、なぜかこの日、急に間違えてしまいました。逮捕されなくて良かった。