見出し画像

エコバッグ(コットン素材)はエコなのか?

こんにちは、早苗です^^
みなさまご承知のとおり、2020年7月より日本でレジ袋有料化が始まりました(ちなみにイギリスでは2015年から有料化スタート)。
レジ袋有料化の目的は、便利ではあるが様々な問題も伴う(海洋プラスチックゴミ、温暖化など)プラスチックと賢く付き合っていくために、まずは普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考え、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることと述べています(経済産業省, 2021)。

プラスチックがだめならと紙袋を代わりに配布したり、コットン素材のエコバッグを販売している店が最近増えてきたように感じます。
今回はコットンバッグは本当に環境にやさしいのかについて私が調べた内容と考えを綴っていきます。

コットンバッグは環境に優しくない
調べた末、"コットンバッグは環境に優しくない"と私は判断しました。その理由は、コットンバッグの生産から廃棄にいたるまでの過程にて環境に与える負担がレジ袋や紙袋に比べて大幅に大きいからです。そしてオーガニックコットンのバッグはさらに環境負荷が高いと報告されています。
では、これから調べた内容について共有していきます。

画像1

写真:家にあるコットンバッグを数えてみるとなんと11枚もありました。。

2017年にデンマークで実施された研究にて、どの種類の買い物袋が環境にいいのか、そして通常のレジ袋よりも環境に優しいと言うためには何回再利用するべきかが調査されました。この研究ではライフサイクル・アセスメント(LCA)という評価方法を用いて環境負荷を調べています。環境系の記事や本で最近よく目にするLCA。LCAとは、製品の原材料の採取から、加工、製造、流通、使用そして最終的に廃棄またはリサイクルするまでにかかる環境への影響の可能性を評価する方法です(International Council of Chemical Associations, 2016, 環境影響評価手法開発センター, 2021)。コットンバッグであればコットンを生産し、バッグを捨てるまでの間に水質汚染や大気汚染などどれだけの環境負荷を与える可能性があるか評価することになります。
この研究の結果、1度使って捨てるのであれば通常のレジ袋が一番環境負荷が低いことがわかりました。そしてコットンバッグが通常のレジ袋よりも環境にいい選択と言うためには、通常のコットンバッグは約7,100回、オーガニックコットンバッグは 約20,000回再利用しなければいけないとのこと! ちなみに紙袋は約43回だそうです。つまり、毎日1回使ったとしても通常のコットンバッグは約20年、オーガニックコットンバッグは約54年しないとレジ袋よりも環境にいいとは言えないことに。。
(注:ただし、この研究ではプラスチックがもたらすマイクロプラスチック問題、動物に及ぼす被害などは環境負荷として評価に含まれていないようです)

コットンバッグの環境負荷が大きい理由
プラスチック問題を考慮しない場合、コットンバッグが環境に与える影響はレジ袋よりも紙袋よりも大きそうだというとがわかりました。けれどなぜ、コットンバッグはそんなにも環境に悪影いのでしょうか。
WWF UKによると、主に以下の要因が考えられるようです。

-農業用化学物質(特に農薬)
従来のコットン栽培では農薬、肥料など大量の化学物質を使用します。コットン栽培は全世界の耕作地の3%しか占めていないにもかかわらず、全世界で使用される殺虫剤の4分の1、そして農薬の約11%を使用しています(国際連合欧州経済委員, 2018)。この化学肥料や殺虫剤が土壌の劣化、そして川、湖沼や湿地帯などに流出して生物多様性に被害を与えます。自然環境だけでなく、働く人々の健康被害も引き起こしています(WWF UK, 2021)。

-水の消費
1kgのコットンを収穫するためには平均して約10,000リットルの水が必要と言われています(Guardian, 2015)。例えば、1枚のコットンのシャツを作るには約2,700リットルの水を消費することになり、これは人間1人が2.5年で飲む量に値するそうです(国際連合欧州経済委員, 2018)。

-生息地の農業利用
国際自然保護連合(2016)に、コットン栽培地の拡大によって世界の熱帯・亜熱帯地域における自然生息地の損失、劣化、断片化につながる可能性があると指摘しています。

そしてオーガニックコットンバッグが従来のコットンバッグよりも環境負荷が高いとされているのは、肥料や農薬などの合成化学物質を使用しないため収穫量が少ないからと説明されています。一般的にオーガニックコットンの収穫量は従来のコットンよりも15〜25%少なく、また生産サイクルの中での変動も大きいとのこと(McKinsey & Company, 2020)。よって、同量のコットンを生産するには、従来のコットン栽培よりも多くの資源と土地が必要になります(The Danish Environmental Protection Agency, 2018 p.60-70)。

紙袋やビニール袋を代わりに使うべき?
このように生産される過程で環境に大きな影響を与えるコットンバッグ。
しかし、それでは代わりに紙袋やビニール袋をどんどん使用していこうじゃないか、とはいかないようです。なぜならば紙袋、レジ袋もコットンバッグと同じく様々な環境問題の原因となっているからです。

Northen Ireland Assemblyの報告書(2011)によると、紙袋を生産するには木が必要であることはもちろんのこと、その生産過程にてビニール袋生産の約4倍以上もエネルギーを使用します。そして、紙袋の多くは化学薬品を用いて木材チップを高温・高圧で処理する過程があり、この化学薬品が大気汚染(例:酸性雨)や水質汚染を引き起こしています。紙袋はプラスチック袋に比べて、大気汚染物質の発生量が70%増、水質汚染物質の発生量は50倍になると言われいます。また、紙袋はかさばるので輸送時の二酸化炭素排出量はレジ袋よりも多いです(例えば、トラック1台分のビニール袋と同じ枚数の紙袋を運ぶにはトラック7台必要になる)。

次にレジ袋(プラスチック)ですが、大きなポイントはプラスチックは分解するまでに400-1000年もの年月がかかることです(Northen Ireland Assembly, 2011)。自然に入ると何百年もの間残り続けその間に動物の誤食や絡まり、マイクロプラスチックなど様々な問題を引き起こします。自然に入らないように処理すればレジ袋の使用は問題ないと言う声をオンライン上でよく見かけますが、レジ袋を1枚も自然に入らないようにすることは不可能ではないでしょうか。私は2020年11月から3ヶ月間愛媛県の実家(家の目の前は海です)に帰省しました。その際に気づいたことは、ほぼ毎日海に浮いているレジ袋を目にしたことです。レジ袋の使用数が増えるほど、自然に入っていくレジ袋も多いはず。ポイ捨てなどの故意での流入を0にしても、落としたり風で飛ばされたりなどの流入は0にはでききないはずです。

画像4

写真上:愛媛の実家付近の海岸にて。ペットボトル、レジ袋はほぼ毎日海に浮いていました(2021年2月 愛媛にて撮影)

画像3

写真:たくさんのプラスチックが海に浮かんでいます。これから何百年も海に残り続けるのでしょうか。。(2019年9月 広島にて撮影)

エコバッグ(コットン素材)の環境に優しい使い方
コットンバッグ・紙袋・レジ袋はどれも環境に優しいとは言えないことがわかりました。それではどうすればいいのでしょうか?

私がたどり着い着いた答えは、どの素材を選んだとしても
"(できれば今持っているもの)できるだけ長く使い続けていく" 
ということです。

私もこれを機に、今後コットンバッグを含めエコバッグはよほどの理由がない限りは新しいものを購入しないことをここで宣言したいと思います。
素敵なコットンバッグを見つけたらつい欲しくなることがあります。
けれど、そんな時は ”このコットンバッグを最低でも20年間、破れても縫って直し使い続ける自信はあるか” と自分に問いかけたいと思います(だいぶ重たい言葉ですがでも事実それくらい価値のあるもの!)。

そして、企業の方には以下の点を提案させていただきたいと思います。
① コットンバッグは環境負荷が高い。よって、できればコットンバッグの販売はしない。
② 販売する場合は安すぎる価格で販売したり、様々なデザインを用意したりしない。
③ イベントなどでコットンバッグは配布しない。

イベントでコットバッグを無料配布していたら、どんなに環境に優しい活動をしていても大きなマイナスイメージを与えかねません。

画像2

写真:私のお気に入りのイギリス ヴィクトリア&アルバート博物館のコットンバッグ。今持っているコットンバッグたちを長く大事に使っていきます。

画像5

写真:Olleが小学生のときから使っているコットンバッグ。彼は物持ちが非常
によく服も小物も10年以上使っているものばかり。

以上、2回目の投稿はコットンバッグは環境に優しいか、について共有させていただきました。今後もこのように環境問題について調べた末の私の考えを綴っていけたらと思います。

今後コットンバッグが欲しくなった際に、今回のブログ内容を思い出していただけたらとても嬉しく思います^^

END