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MACH!DA解説 第2節 FC東京戦
みなさん、こんにちは。今回もMACH!DA解説を執筆いたしました。
試合当日のことを思い出しながら、読んでいただけると嬉しいです。
試合データ
スターティングメンバー
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今回のシステムは広島戦と同じく3-4-2-1で、FC東京戦でも同じミラーゲームとなった。町田は前節、菊池が負傷し今回はベンチ外となってしまい、中央のCBには、昌子が入っている。
(試合中はRCB ドレシェヴィッチ CB岡村 LCB 昌子)
FC東京は、今シーズンからシステムは3-4-2-1を使っている。昨シーズンは4-2-3-1でトップ下を置いた布陣であったが、監督が松橋監督に変わり、システムも変えてきた。松橋監督がFC東京をどう調理し、試合に挑んでくるのか非常に楽しみな試合であった。松橋監督といえば、前所属チームはアルビレックス新潟。町田が苦戦したチームの一つで、4-3-3でパスサッカーを展開してきた。
今年のFC東京はどのように、戦ってくるのだろうか。個人的には、昨シーズン攻撃の中心であった荒木が抜けた穴をどう埋めてくるのか、埋めるのではなく、違う物に変えていくのか楽しみである。
試合スタッツ
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ボール支配率は両チーム五分五分といったところだろうか。町田の戦術的に、ここまでボール支配率が高いのは珍しい。基本的に相手をいなして、崩すというよりロングボールを蹴って、一気にラインを上げる戦術をとるので、ボール支配率は自然と低くなってくる。
得点の流れ
82分 西村(町田)
FC東京の戦術
FC東京のビルドアップは、GKの野澤も参加し、3バックの中心の森重が少し右にズレる。そして、中盤のボランチが少し降り、町田の相馬・西村・前・白崎を引き付け、中川・俵積田をフリーで受けさせる。サイドチェンジはあまりしない印象を受けた。同サイドによる崩しを狙っている。また中盤につなぐ意識があるので、そこを町田も潰しにいく場面が多く見られた。しかし激しいプレスがかかるため、中盤でのビルドアップは失敗することが多かった。
守備戦術は基本的に前からプレスをハメに行かず、ミドルブロックを形成し、ミドルサードからプレスが激しくなる。中盤で奪うことができれば、町田は3人で広大な後ろのスペースを、守ることになる。ハイラインを維持したい町田からすれば、嫌な戦術である。またこの守備の利点として、少ない運動量で相手のビルドアップを妨げることができる。実際マルセロヒアンが、ドレシェヴィッチにプレスをかけ、望月にボールが渡ると、俵積田が一気にプレスをかけていた。この時、望月の選択肢としては1.外にクリアする 2.谷まで戻す の2つである。外にクリアすれば町田としてはスローインのためディフェンスラインを下げることになり、谷まで戻せばそこをマルセロヒアンが(望月→谷)のパスコースをインターセプトしてくるに違いない。どちらをとっても不利な選択肢である。
試合のポイント
FC東京のキーパーによるビルドアップ
町田はあまり使わない、キーパーを含めたビルドアップ。FC東京のビルドアップは、町田にとって非常に危険であった。以下の図を見てほしい。
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野澤がボールを持った時、森重と土肥はパスをもらえるように横に広がる。それに西村とオ・セフンがマークをする。しかしこの時、小泉が中盤から降りて来たことにより、セフンは土肥と小泉を見なくてはいけない。それに気づいた白崎は小泉をマークするため前に上がる。前線のラインが上がったため中盤の高がフリーとなり、高がパスをもらいにいく、それに気づいた前が対応。この時、望月は中に入っており長友はフリー状態。この後、長友は裏に抜け出しパスをもらう。
キーパーを含めたビルドアップでは11対10の構造となる。すなわち、どこかでフリーになる選手がいるということ。この場合、長友がフリーとなってしまっており、望月の対応も遅れてしまっていた。
FC東京の狙いとしては、サイドに開いたCBに、町田の選手を食いつかせ、中央へのパスコース(野澤→高)、またはサイドへのパスコース(野澤→長友)を作ることにあったと思う。
個人的には小泉がセフンの斜め後ろに立ち、白崎をつり出して、高がそこまで落ちないで、白崎の後ろでボールを受けることができれば、長友に裏を抜けるスルーパスを送り、相手の裏に深く入りこむことができ、得点につながっていたと思う。
結果このシーンは、岡村の広いカバーリング能力がFC東京の攻撃を防いだ。
(よくやった岡村)
また今回の町田の守備として、CBは基本的には前に出ない特徴が出ている。マルセロヒアンは前線にとどまる傾向にあるが、中川・俵積田は何度も中盤におりてきて攻撃の起点となる。しかし町田はそれに対してマンマーク気味に守備はしなかった。理由としては前からのプレスで、人数を使ってしまっているため、3CBまで前に出てしまった場合のリスクが、大きすぎるからだと考えられる。マルセロヒアンを一人でマークするのは、至難であるため、安全策をとって3CBは前に出なかったのだろう。
オ・セフンへのロングボールが少なくなる
広島戦のブログでも述べた通り、町田の戦術はオ・セフンを動かすことによって始まる。しかし、最近のオ・セフンの調子は低いように思える。昨シーズン序盤の調子は非常に良く、結果として代表にも選ばれた。しかし、シーズン中盤から空中戦での勝率が低くなってきた。もちろん他チームのオ・セフン対策がハマってきたのはあると思う。だとしても、シーズン終盤からの低調ぶりは今季もまだ続いている。この試合、(谷→オ・セフン)or(昌子・ドレシェヴィッチ→オ・セフン)というパスコースはあまり、通用していない。そのためか、中盤のパスコースを炙り出そうという、町田の思惑が見ていてもわかる。後半35分以降、町田がボールを持ってビルドアップをする時、ロングボールでオ・セフンに当てるのではなく、相手を左右にいなしたり、中山が中盤に入り、相馬が外に流れるというのが多くなった。前半終盤には森重の激しいマークによって、オ・セフンが森重を押し、イエローカードをもらうことにもつながる。
ここからが重要
後半、町田はオ・セフンが機能しない原因を突き止めることになる。
藤尾の投入による転機
後半51分 オ・セフンと藤尾が交代する。前半を踏まえて、ロングボールでトップの選手に当てる策が、最善策ではないことに気づく。藤尾は前線で張るというよりは、サイドにも顔を出し、局所で数的有利を作ろうとする。藤尾に相手が食いつき、藤尾が中盤に戻す。戻して逆サイドに展開する。サイドでは選手と選手が入れ替わり、渦のような動きで、相手のマークをずらしていく。メッシとダニエウ・アウベスのような動きである。町田は慌てて前進するのではなく、何度もやり直し、相手の陣形を、ぐちゃぐちゃにしていくのが印象的だった。ここからペースが町田に傾き、FC東京はカウンターを狙うようになってくる。カウンターを狙うものの、町田には昌子・ドレシェヴィッチ・岡村という、J1でも上位に入るディフェンス陣が、待ち構えているのだ。町田の守備を突破するのは難しいだろう。
試合総括
前半・後半、共に、動きが少ないゲームという印象だった。しかし小さい変化が試合中何度も起きており、個人的には後日試合を、見返している時の方が面白かった。中央ではなく、サイドでズレを作り、得点に繋げる試合となった。また今回、驚いたのは選手達がこのゲームの解を探り、答えとして出していたことであった。相手のシステム上の弱点はどこか、そこを突くために自分達はどう動けばいいのか、選手達はずっと考えていたと思う。
躍動するゲームは面白いが、こういった変化が分かりにくいゲームも、見返すと面白かった。それにしても前 寛之はいい選手であった。(ほっこり)
最後に
今回もご一読いただきありがとうございました。
前節、勝ち点が取れなかった分、今回は是が非でも勝ち点が欲しい試合でした。ゲームの動きがあまりない、試合ではありましたが、こうやってブログを書くために、見返すと色々と発見があるものですね。
次回は東京ヴェルディ戦です。熱い戦いになると思います。次回も勝ちましょう。おやすみなさい~~。