マッチ売りの少女と現代3
「マッチ売りの少女」の初版は1848年です。この年は世界史をやったことがある人ならピンとくるはずで、ヨーロッパ中に革命の嵐が吹き荒れたました。「マッチ売りの少女」が書かれた時代はどんなものだったのでしょうか。
マッチ売りの少女の時代背景
フランスでは二月革命で、第二共和制が崩壊、ここで大統領になったのが、後のナポレオン三世。
イタリアではパレルモでの暴動をきっかけに祖国統一運動が広がります。
「マッチ売りの少女」の作者アンデルセンの祖国デンマークも例外ではありません。
デンマーク:三月革命(ドイツ語版)が起こり、憲法が制定される。一方、長年ドイツとの係争地であったシュレースヴィヒ=ホルシュタイン公国におけるドイツ系住民の反乱を契機シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争が起こる(汎ゲルマン主義と汎スカンディナヴィア主義の衝突)。
出典元:「1848年革命」Wikipedia
時は動乱の時代、ただ政治問題の前に経済の問題が生じるのは世の常で、1844年にはアイルランドを中心にヨーロッパのジャガイモに壊滅的打撃を受けを与えた「ジャガイモ飢饉」が起こり、隣国ベルギーを始めとして、ヨーロッパ全土が凶作にみまわれています。一説によるとこの頃は太陽活動の停滞期にあたり、寒冷化が進んだのが原因の一つにあるそうです。
デンマークでは貧しい人々が見捨てられ、その中で社会批判として生まれた童話が「マッチ売りの少女」なのです。
若き日のアンデルセンが死ぬ以外に幸せになる術を持たない貧困層への嘆きと、それに対して無関心を装い続ける社会への嘆きを童話という媒体を通して訴え続けていたことが推察できる。
出典元:「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」Wikipedia
現代の日本にも飢餓は決して無縁ではありません。フードバンクなどを必要とする人々もいます。
所得格差や思いやりのない社会という点でも「マッチ売りの少女」が書かれた時代に通じるものがあるかもしれません。