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絵柄と物語がマッチ。心の内を投影した絵画は、残酷な現実を写し取りつつも、悲しく美しい。「幻覚ピカソ」。

「幻覚ピカソ」 古屋兎丸

PAKU★☆☆☆☆ POKU☆☆☆☆☆ BLACK★★☆☆☆

絵が得意な高校生が主人公。心の闇を抱えた人々の、その心を投影した絵画を描くことができる。主人公がその絵画の世界へダイブし、解決することで、その心の呪縛から解放される。

世界設定だけを書いてしまえば、「特に真新しいこともない世界観」だと思います。しかし、この作品の素晴らしいところは、作者の絵柄にあるのではないでしょうか。見る人によっては、「うまい」と言うでしょうし、「下手」という人もいるでしょう。独特な絵柄をしています。その独特な絵柄から描き出される「絵画」は、思わずハッとするほど美しいです。この絵柄でないと、この昨日は成立しなかったのではないでしょうか。

そして、主人公を取り巻く登場人物たちも、必然性の中できちんと配置されています。こう言った作品に珍しく、きちんとストーリがあり、納得の完結を迎えています。

一話完結型のエピソードも、基本的にハッピーエンドで、全体のストーリも幸せな終わり方なので、BLACK度は低いです。ただ、絵柄が独特で全体的に、薄寒い風が流れていることには間違いありません。とにかく、奇才な作家さんです。

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真昂 風
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