自らのトラウマを具現化し闘う「トラウマイスター」。戦いを通じてトラウマと戦う…と言えるほど清々しいバトル漫画ではない。暗雲立ち込める暗い暗い物語。

「トラウマイスター」　中山敦支

PAKU★★★★☆　POKU★★★☆☆　BLACK★★★☆☆

自分のトラウマを具現化し使役する「トラウマイスタ」に選ばれたピカソ。そんな彼を選んだのは、大切な人を助けたいスジャータという少女だった。自分の中にあるトラウマを味方につけて、本当の悪を打ち勝つ。

物語の中核は「心の傷」。最後までこの「心の傷」が大きく影響してくる。

また、絵柄がかなり独特で、キャラクターも独特。それが、物語に非常によく彩りを添えて、深い闇のようなものを感じる作風になっている。

どうであれ、トラウマに囚われた人間の心はねじれ、よじれ、狂っていく。その様が作品全体に散りばめられていて、説明のつかない「焦り」を感じる。

全5巻で、「打ち切り？」と思わせる展開ではあるものの、程よい巻数。良い疾走感で物語を進む。