ゲーム特化型ブロックチェーン『Oasys』のゲーム全部見てみた。
まえがき
日本発のゲーム特化型ブロックチェーンとして注目を集める「Oasys(オアシス)」。
以下のようなビッグニュースがどんどん発表され、話題に事欠きません。
バンダイナムコ研究所、セガ、グリーなど、日本の大手ゲーム会社が初期バリデータとして参加
セガの人気IP「三国志対戦」のブロックチェーンゲームのローンチを予定
ネイティブトークンOASが日本の暗号資産取引所「bitbank」に上場
渡辺創太氏のAstarと並び、日本で最も有名なブロックチェーンプロジェクトと言えるのではないでしょうか。
ただ、今後の展開が気になる一方で、すでにOasys上で遊べるゲームタイトルが複数あるということは意外と知られてないのではないでしょうか。
今回はそんなOasys上のゲームタイトルについて、どんなゲームがあるのか、総ざらいしてみました。
注:本記事の内容は2023年2月時点のものとなります。
Oasysの基礎知識
まずOasysの概要を簡単にまとめておきます。
2022年2月8日に発足したブロックチェーンプロジェクト
「Blockchain for Games」を掲げる、ゲーム特化型ブロックチェーン
特徴は、高速な処理速度とガス代が無料であること
レイヤー1の「ハブ・レイヤー」とレイヤー2の「バース・レイヤー」からなる二層構造(「Oasysアーキテクチャ」)
コンセンサスアルゴリズムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)
Oasysチェーンの使い方
次にユーザー目線で「Oasysチェーンってどうやって使うの?」というのを見ておきます。
Oasysハブにアクセスして「CONNECT WALLET」をクリック。
それで繋がるか思いきや、イーサメインネットに繋がっちゃいました。。。
なぜだと思い、検索したら以下の記事を発見。
記事に従って、まず「Staking」に行き、
複数のバリデータのStakingがあるのですが、どれでもいいので「Stake」を押すとこんな画面が出てきます。
「Switch to Oasys」を押すと無事、Oasysネットワークの追加・切り替えができました。
Oasys上の「Verse」
ここから本題に入っていきます。Oasys上には複数の「Verse」と呼ばれるレイヤー2ブロックチェーンがあり、それぞれ運営会社が異なります。現状で発表されているVerseは以下の5つです。
MCH Verse(運営:MCH株式会社)
TCG Verse(運営:CryptoGames)
Home Verse(運営:double jump.tokyo)
Chain Verse (運営:ChainGuardians)
Saakuru Verse(運営:AAG)
では、それぞれのVerse上のゲームを見ていきます。
MCH Verse
概要
Oasys上の初のVerseレイヤー。MCH Verse上のゲームは以下で、4タイトルが既にプレイ可能です。
MY CRYPTO HEROES(プレイ可能)
MY CRYPTO SAGA(プレイ可能)
HARBOR BCG(プレイ可能)
CHAIN COLOSSEUM PHOENIX(未ローンチ)
RE.MONSTER(未ローンチ)
ユビホル(プレイ可能)
稼働状況
VerseごとのExplorerがあったので、見てみるとこんな感じ。
比較対象がないので何ともですが、Dailyのトランザクションが50,000近くあって、Wallet addresses(MCH Verseに接続してるウォレット数?)が80,000以上あるというのはブロックチェーンゲームとしてはなかなかなのではないでしょうか。
My Crypto Heroes
いわずと知れた2018年リリースの日本最初期のBCG。2019年8月には世界No.1のユーザー数を持っていたことで有名です。2021年に「MCHCトークン」を導入して、Play to Earnゲームとなりました。
ゲームジャンルとしては、歴史上の偉人を使ったRPGです。ゲームの詳細な内容は以下の記事に詳しいです。
「士農工商」という4つの異なるプレイスタイルが楽しめるタイトルとなっている点が特徴的です。
My Crypto Saga
2021年にリリースされたカードゲーム系タイトルです。開発元はマイクリと同じdouble jump.tokyo。ポーカー×TCGのようなゲーム性となっており、心理戦の要素が強いゲームです。
HARBOR BCG
株式会社Aquariumy Studioが制作した放置系ブロックチェーンゲーム。後悔する時間を設定すると、自動で冒険が進み、財宝や海図などを獲得できます。また、ゲーム内ではトークンの引き換え券を獲得でき、以前は独自通貨$HBGへの引換券でしたが、MCH Verseに参画したことで$OASの引換券も獲得できます。
ゲーム内容については、以前DeFitterジョンさん(@fitter_de)が動画で取り上げています。
ユビホル
2020年にリリースされたポイ活アプリ。画面上に表示される「星」や「鉱石」をタップすることでポイント獲得ができる。アプリで貯めたポイントは、暗号資産の他、Amazonギフト券などと交換可能。
運営は暗号資産のウォレットアプリなどを提供しているトークンポケット株式会社。
以前は報酬となる暗号資産は$ETHでしたが、MCH Verse参画後、$OASも報酬として配布されています。
Chain Colosseum Phoenix
ターン制のコマンドバトル型のRPG。プレイヤーは敵モンスターに合わせてヒーローNFTを選択し、適切にコマンドを選択して戦闘勝利を目指します。
特徴として、ヒーローNFTには60日の寿命が設定されており、寿命が来るとヒーローは戦闘不能になり、別のヒーローを消費することで復活できます。また、ヒーローはケガなどのステータス異常を負うこともあり、この回復にはアイテムNFTが必要です。この寿命はNFTのインフレを抑制するためのシステムとして設計されています。
ゲームは未ローンチで、ロードマップでは2023年Q2にオフィシャルローンチとされています。ローンチに先立ち、Zaif INOでNFTを販売しており、セールの状況は以下のような感じです。
Re.Monster
ユーザーが保有するNFTからMonster NFTを生み出し、育成・バトルをして遊ぶゲーム。開発元はT2WEB.Inc、現在未ローンチで、2023年度下半期に正式ローンチ予定。まだ詳しい情報が出ておらず、詳細は不明だが、雰囲気的には”Web3版のモンスターファーム”的なゲームになりそうな予感。
Chain Colosseum Phoenix同様、Zaif INOでNFT販売を行っている。セール実績は以下。
TCG Verse
概要
CryptoGames社が運営するトレーディングカードゲームに特化したバース。2タイトルが既にプレイ可能となっています。
CRYPTO SPELLS(プレイ可能)
NFT WARS(プレイ可能)
THE NEMOTS(未ローンチ)
SCHEMES OF INK(未ローンチ)
KYRIE&TERRA(未ローンチ)
稼働状況
こちらはMCH Verseとは違ってDailyのトランザクション数が見れず、代わりにMarket Capになってます。Wallet addressesはMCH Verseの20分の1くらいですね。
CryptoSpells
CryptoGames社が開発したブロックチェーンゲームとしては日本最古のトレーディングカードゲーム系タイトルです。ゲームシステムとしてはハースストーンやシャドウバースに似ています。
また、「ユーザーが主役の非中央集権的なゲーム」を目指し、DAO的なゲームガバナンスが行われていることも特徴です。具体的には、プロデューサーの信任投票やゲームの運営方針は、CryptoSpellsのアセットを保有するユーザーの投票によって決定がなされています。
NFT Wars
CryptoGames社が開発した、様々なNFTを共通のゲームで使用できるようにしたトレーディングカードゲーム系タイトルです。
「全てのNFTで遊べる世界をつくる」をコンセプトに掲げており、実際、複数のプロジェクトのNFTに対応しています。
NFTプロジェクト側の視点だと、NFT Warsによって、手軽にゲームのユーティリティを付与することができます。さらに、ゲームを通じてユーザーが獲得するPlay to Earn報酬の一部が、ゲームプレイに使用されたNFTプロジェクトのオーナー・クリエイターアドレスに還元される点が大きなメリットとなっています。
The Nemots
米The Nemots LLC社が開発するトレーディングカードゲーム。ゲームシステムはAxie InfinityやSlay the Spireに似ています。
明確なローンチ時期はまだ発表されていない模様。
シュールやキャラクター、世界観設定がウリの一つになっています。
ゲームローンチはされていませんが、グッズの販売は非常に充実しています。
Schemes of ink
インドのKirana Gamesが開発するブロックチェーンカードゲーム。
『Chroma: Bloom And Blight』という、Steamで頒布されていたF2Pゲームにブロックチェーンゲーム要素を付け加える形で開発されています。
まだ公開されている情報が少なく、詳細に関しては不明です。
Kyrie & Terra(キリエ&テーラ)
タイを拠点とするCenter to Secondsが開発するブロックチェーンゲーム。
プレイヤーは「選ばれし王」として異世界に転生、「セレスティア」と呼ばれる美少女キャラクターを従え、世界を冒険する、という世界観になっています。
いわゆる「異世界転生もの」のストーリーをブロックチェーンゲームに落とし込んでいる点がユニークなタイトルです。
ゲーム内容やストーリーについての詳細は以下の記事に詳しく紹介されています。
2023年1月にα版のテストプレイが行われていましたが、正式ローンチはまだのようです。
Home Verse
概要
double jump.tokyoが運用するバース。7タイトルが発表されており、現在(2023年2月時点)で2タイトルプレイ可能となっています。
BRAVE FRONTIER HEROES(プレイ可能)
Alkenome Monsters(未ローンチ)
Dime Time(未ローンチ)
SheepFarm in Meta-land(未ローンチ)
Yomi Gardens(未ローンチ)
三国志大戦ブロックチェーンゲーム(仮)(未ローンチ)
Degend the Kingdom(プレイ可能)
稼働状況
まだゲームが本格稼働していないので当然ですが、あまりトランザクション数は多くありません。
BRAVE FRONTIER HEROES
double jump.tokyoが開発する、人気スマホ向けRPG「ブレイブフロンティア」の世界観×「マイクリプトヒーローズ」のシステムが融合したブロックチェーンゲーム。
「ブレイブフロンティア」のキャラクターがNFTとなってゲームに登場し、プレイヤーは召喚師としてキャラクターを召喚し、バトルを行います。
現状の稼ぎ方はNFTをマーケットプレイスで販売するのみですが、2023年中には独自のFT(ファンジブル・トークン)が導入され、ゲーム経済圏がアップデートされる予定です。
Alkenome Monsters
double jump.frog Inc.が開発する、「ソーシャルコミットメント」という機能を取り込んだ新しいタイプのMove to Earnゲームです。歩いて集めたダイスを使って双六をしながら、AIアートも組み合わせて独自のモンスターを育てていく内容になっています。
「ソーシャルコミットメント」については、双六ゲームで獲得した暗号資産($FRG)をロックし、SNSで何らかのコミット目標(1カ月でxxkm歩く等)を設定することで利用できます。コミットメントを達成することで、ロック解除とともに、売買不可能な状態でミントされる装備アイテムが、強化されて売買可能なNFTとなります。
これらの機能も含めた、トークノミクスの詳細は以下の記事で詳しく解説されています。
2022年12月に行われたGenesis BlueというNFTのパブリックセールは即完売しており、高い注目度が伺えます。ゲーム自体は2023年3月にクローズドβ版が始まるようです。
Dime Time
realblox Inc.が開発する「Focus & Play」サービス。
タイマーを設定して、その間集中することができれば報酬を受け取る、という仕組み。まだ詳細が明らかになっていませんが、ゲームという言い方をしていないので「トークノミクスを利用した習慣化サービス」といった感じでしょうか。
SheepFarm in Meta-land
Nightingale Interactiveが開発する、牧草地を購入し、牧場を経営、羊を育ててお金を稼ぐ牧場シミュレーションゲームです。現在、Klaytn networkで既にオープンβがリリースされており、今後OasysのHome Verseでも配信される予定です。
Yomi Gardens
Yomi Gamesが開発する農業シミュレーションゲーム。詳細は不明ですが、植物から魔法の治癒ポーションを生成し、仲間とともにYomiと呼ばれる世界の謎を解き明かしていくゲーム、とされています。
三国志大戦ブロックチェーンゲーム(仮)
double jump.tokyoがSEGAからライセンス許諾を受けて開発される、「三国志」をテーマとしたブロックチェーンカードゲーム。詳細が明らかになっていませんが、SEGAの人気タイトル「三国志大戦」のIPを活用したアートワークがゲーム内で楽しめる予定とのこと。
Defend the Kingdom
Defend the Kingdomは、アジア発のNFTプロジェクトであるMonkey Kingdom NFTと連携したモバイルゲームメタバース「KingdomVerse」が提供する、タワーディフェンス型モバイルゲーム。アプリとして提供されており、通常のスマホゲームの感覚で遊ぶことができます。
5人のヒーロー(Monkey Legend Heroes)でチームを組んでゲームを遊び、独自トークンなどの報酬を獲得することができます。
トークンはガバナンストークンの「$KING」とユーティリティトークンの「$Shield」があり、現在は不定期で開催されるイベントのランキングで上位に入ることで$KINGを稼ぐことができます。
Chain Verse
概要
ChainGuardians社が主催するバース。現在、以下の4タイトルがプレイ可能な状態で提供されている。
ChainArena(プレイ可能)
ChainGunnies(プレイ可能)
Voxel Worlds(プレイ可能)
Race4Sky(プレイ可能)
稼働状況
Dailyのトランザクション55(だいたい100以下)、Wallet address数1,041となっており、MCHバースと比べるとだいぶ少なめ。
ChainArena
ChainGuardians社による、アクション要素のある放置系RPG。既存のスマホゲームであるSkull ArenaのゲームシステムとChainGuardiansのIPを使ったゲームとなっています。
以下のようなゲーム画面で、放置しておくと時間の経過によりキャラクターが右に進んでいき、出会った敵キャラを半オートで倒していくことでゲーム内リソースが獲得できます。
ChainGunnies
ChainGuardians社による、FPSホラーサバイバルゲーム。Call of Dutyのゾンビモードのような感じ。Chain Verse上でフリーアクセスパスをミントすることで無料プレイが可能。ただし、ロワイヤルモードをプレイするためにはプレミアムパス(5$)の購入が必要。
Voxel Worlds
Zeus社が開発する、ちょっとリアル寄りのサンドボックスゲーム。ゲーム内でプレイヤーは独自のゲームを創作し、それらをNFTとしてマーケットで販売できるようになる予定。
Race4Sky
高速で走りながら、機体ごとの特殊能力を使ってバトルするレースゲーム。
Saakuru Verse
概要
Web3のインフラ会社であり、MetaOne walletなどのプロダクトを展開するAAGが主催するバース。現在、1タイトルがプレイ可能。
GOGA(プレイ可能)
GOGA
AAGが開発・提供する、「Play to Learn and Earn」をコンセプトとする、英語学習ゲーム。GOGAはGameFiとSocialFiの要素を併せ持っており、ユーザーはGOGA NFTを装備した状態で学習し、他のユーザーと競争して$GOGAを獲得、それをNFTのレベルアップや新しいGOGA NFTのミントに使用する、という流れになっています。
なお、もともとsolanaチェーンで展開されており、それをOasysチェーンでも展開する、という形のようです。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
各バースのゲームを一通り確認してみて、既に複数のゲームが遊べる状態であることに加え、そのコンテンツの幅広さに驚きました。
Oasysチェーンがどのような戦略でコンテンツラインナップを拡充しようとしているかは明らかではありませんが、ここまで出ているものだけでも
有名IPもの:三国志大戦ブロックチェーンゲーム(仮)
X to Earn系:Alkenome Monsters、Dime Time、GOGAなど
人気Web2タイトル活用:Brave Frontier Heros、ChainArenaなど
など、チェーン全体としてゲームを軸としながらも、複数の方向性でコンテンツ幅を拡げようとしているように見えます。
おそらく今後さらなる大型タイトルが発表され、未ローンチタイトルも次々と遊べるようになると思います。Oasysチェーン上から新たなるヒットコンテンツが出てくることを期待しつつ、引き続きウォッチしていきます!