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今月の症例の感想①〜クリプト大動脈瘤〜
日内会誌の記事を噛み砕くマガジン。
今月の症例シリーズの感想を書く。
Cryptococcus neofarmansによる真菌性感染性大動脈瘤
症例のサマリー
糖尿病はないが動脈硬化性疾患の既往がある、60代男性
主訴:腰痛
造影CTで感染性腹部大動脈瘤の診断
血液培養陰性
MEPM+VCMで治療開始
day2 に人工血管置換術
摘出した組織検体から、Cryptococcus neoformans検出
5-FC+L-AMBに変更
L-AMBによる腎障害出現
5-FC+L-AMB 1month→FLCZ 12months
治癒し、2年後まで再発なく経過
この症例では、土壌、動物、鳥類との接触歴はなく、肺や中枢神経の感染巣も認めなかったため、結局Cryptococcus neoformansの侵入経路は明らかにならなかった。
組織培養が陽性にならなければ、疑うことはできなかったということである。
この症例がうまくいった要因は、手術の判断が早期にできたことだろう。
手術に至った根拠は、
抗菌薬投与後も疼痛症状の改善に乏しく、症候性大動脈瘤として手術加療の方針とした。
とサラッと書いてあるが、、、
仮に、原因微生物に対して抗菌薬が当たっていたとして、
抗菌薬投与開始翌日に痛みが消えること、あるんか…?
症例の考察
考察部分は、
Cryptococcus neoformansの症例報告がPubmedで4例しかなく稀である
感染リスクと経路
血液培養は陰性になりやすい
クリプトコッカス抗原も陰性のことがある(そもそも疑ってないと測定しないが)
組織検体の培養陽性で診断がついた報告ばかり
などが書かれていた。
結論は、
血液培養で同定できない場合は、感染巣の検体培養を行うべき
外科治療と抗真菌薬投与、他の合併症検索が必要
であった。
サンの感想
個人的には、考察がちょっと面白みに欠けるな〜(サンの興味領域と違ったな〜)という印象である。
組織培養が陽性になって抗真菌薬に切り替えられたのは棚ぼたなんだから、手術をするかの判断基準やそのタイミングについて書いてほしかったな〜
ガイドラインがあるわけではないので、この症例ではどう判断したかを書いてほしかった。
手術せず保存加療だけだと死亡率高いから、できるなら手術した方がいいとは思うが、一般的には、手術自体のリスクとも天秤にかける必要がある。
この症例では手術自体のリスクはどれくらいだったのか、とか知りたい。
年齢だけ見ると、そこまで高齢というわけではないが、慢性心不全もあったようだし…。脳梗塞既往があるが、身体機能はどれくらい保たれていた方なのだろうか。
ステントグラフトの選択肢は検討されたのか、とかも知りたい。
みんなも知りたくなったよね?
ということで、
ググるとJHNの感染性大動脈瘤のスライドがhitしたので、貼っておく。
このスライド秀逸なので、ぜひ見てあげてほしい。
うまくいかなかったケースの方が、読んでいてグッとくるなと思うんだけど、どう?
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