【読書メモ】Die with Zero ゼロで死ね

この本は「人生における真の豊かさとは何か」というテーマを掘り下げた作品です。人生を豊かにするためには「経験」を優先すべきだと説いています。その中で著者であるビル・パーキンス(Bill Perkins)が出張するのは「死ぬときに、ゼロであることが理想である」という挑戦的な考え方です。

冒頭にアリとキリギリスのイソップ童話が出てくる。キリギリスは遊んで暮らして飢え死にしアリは働いてしっかりと未来に向けて貯めていたから
生き延びたという話である。「アリは幸せだったのだろうか?」

そして、著者はこのように語ります。
「私たちは皆、生きなければいけないが、生きる以上のことを望んでいます。本当に生きるのです。この本で私が焦点を当てているのは、ただ生き残るだけではなく、繁栄することです。」
「We all have to survive, but we all want to do much more than survive: we want to really live. So thats what I focus on in this book; thriving, not just surviving.

この本を通して感じたこと:

お金の使い方と人生の満足感
パーキンスの理論の核となるのは、お金をただ貯めるだけでなく、それをいかに使うかが人生の満足感に大きく影響するという点です。多くの人が退職後のためにお金を貯め込み、必要以上に倹約する傾向があります。しかし、著者は「自分が健康で、冒険心や体力がある若い頃こそ、経験に投資すべきだ」と強調します。歳を重ねるにつれ、体力や健康が衰え、楽しめることが限られてしまうため、若い頃に得た経験の価値は計り知れません。

経験に価値を見出す
パーキンスが特に強調するのは、物質的な富よりも「経験の価値」です。経験は単なる瞬間的な楽しみで終わるのではなく、人生全体を通じてその記憶が喜びをもたらします。例えば、若い頃に世界を旅することは、歳をとってからもその記憶を思い出すことで満足感を得ることができます。お金で買えるものは消費されますが、経験は一生続く財産であり、それが人生の豊かさを決定するのだというパーキンスの主張は、現代社会の消費主義的な価値観に対する反論でもあります。

タイムバケットの考え方
また、本書で紹介される「タイムバケット」という概念は非常に興味深いです。人生をいくつかの期間に分け、それぞれの期間で何を達成し、どのような経験をしたいのかを計画することを促します。これにより、年齢やライフステージに応じた理想的な経験を積むことができ、後悔の少ない人生を送ることができるとされています。将来のために我慢するのではなく、今この瞬間にどのような経験が最も価値があるのかを考え、行動することが求められます。


結論
「Die with Zero」は、現代の社会において強く根付いている「蓄財」に対する新しい視点を提供しています。人生の目的はただ単にお金を稼ぎ、老後のために備えることではなく、健康で元気なうちに多くの価値ある経験を積み、自分の時間を最大限に生かすことにあると説いています。この本は、限りある人生をどう生きるか、そしてその中でどのようにお金と時間を使うべきかを改めて考えさせられる一冊です。
「Your Life is the Sum of Your Experiences」
「あなたの人生はあなたの経験の総和です」


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