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[Vol.2] シードVCの投資基準 ~創業期のスタートアップ・起業検討者がVCから資金調達をするには~

※この記事はSamurai Incubateが管理するMediumで配信したものをバックナンバーとして転載しております

【2020年3月5日 オンラインイベントレポート】
前回に続いて、今回も先日実施したオンラインイベントの様子をお届けしたいと思います。
みなさんからいただいた以下の質問に答える形で、イベントは進んでいきました!

シード段階のハンズオン支援では、組織化されていないフェーズのため、アドバイスが難しい局面もあるが、具体的にどういったことを行なっているか?

白川)創業期の数千万くらいの資金調達だと5人〜10人のチームはいきなり作れないんですよね。そういう時には、フリーランスの専門家の方々のネットワークを紹介することで、スポットでジョインしてもらえる人材を確保してもらえるよう意識しています。

坪田)VCの中にはAWSなどを安価で使える特典もあったりしますよね。

萩谷)B向けのソリューションの場合は、クライアントの紹介も重要だと考えています。VCには事業会社とのリレーションが結構あったりしますので、そこは支援できます。結局、次のファイナンスに直結するような支援が最も大事だとも考えています。

佐藤)我々は、アクセラレーターのプログラムやメンタリングの支援を通じて、フォーカスを与えることを意識しています。創業直後のスタートアップには1,2人しか人がいないところがほとんどで、そんな状況下で重たいタスクを複数抱えていたりします。その中で、タスクやKPIの優先順位づけを手伝うことでより素早く仮説検証を進められるようにしています。

冨田)確かにVCの方々はたくさんのスタートアップを客観的に見てきているので、今何をすべきかが明確に分かることがありますもんね。

佐藤)例えばプロダクトを作り切る前に、ニーズの検証をお勧めしていて、検証方法の設計もお手伝いしています。場合によっては一緒にヒアリング同行して検証することもあります。また、事業が進捗すれば、プロダクト開発やマーケティングの専門家によるより具体的な施策実行の支援や、VCの皆さんを集めたDemoDay等次回ファイナンスに向けた支援もしています。

リード投資家になるかどうかについてはどう考えているか?

白川)我々は基本的にはリードでご一緒させてくださいと言っています。ファンドが小さくチームも小さいので、たくさんの会社さんに関わらせていただくとお手伝いができないときがあります。ですので、集中してご一緒させて頂くためにもリードでお願いしています。ただ、リードでなく出資するケースもあります。直近でいうと、総額3千万円資金調達したい企業に対し、VC3社で1千万ずつ出資しましょうというご提案をして、実際にそうなりました。そういうケースはみんなで応援した方が伸びるタイミングの会社さんや、その後の資金調達も考えると複数社で応援するのが良さそうな事業を展開している会社さんに多いです。

坪田)ハンズオンの方針は各社異なるじゃないですか。3社で1千万ずつだと、どこが主導して支援するのかをどうやって決めてるんですか?

白川)出資する前に、投資家陣も雰囲気を合わせたりします。「このタイミングではこの方が連絡した方がいいかも」みたいに、なんとなく役割分担をしていて、それぞれが思い思いのことを言いすぎないように注意しています。

冨田)起業家の方々は、投資家に言われたことをどこまで鵜呑みにしてどこまで実行したらいいのかを悩むこともあると思います。また、少しでも押し返してしまうと投資の話が白紙に戻ってしまうのではないかという不安を抱えている起業家も多くいますが、そういった方の不安を払拭するにはどうすればいいでしょうか?

白川)起業家の仲間がいるといいと思います。

冨田)(もしエンジェル投資家がいれば)既存の株主に聞くのもいいと思います。

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(写真)実はこんな状態でオンライン配信していました!

PMFの達成の是非はどう判断したらいいのか?

PMF(プロダクトマーケットフィット/Product Market Fitとは自社のプロダクトやサービスが、あるマーケットに適合している状態のこと)

萩谷)C向けとB向けでだいぶ違うとは思いますが、私の感覚だと「人に勧めたくなるかどうか」が結構大きいと思います。C向けの場合だと、SNSでバズったり口コミが自然に出ている状態であれば、PMFが達成できている兆しかなと私は思っています。ですので、投資先のプロダクトも私はめちゃくちゃtwitterで検索しています。B向けの場合はSNSにはあまり出てこないと思うので、獲得のリードタイムやアクティブユーザーになっているのか、チャーンレートを見ています。

坪田)toCの中でも「これを使ったら痩せる!」みたいなコンプレックス商材は、ユーザーがあまり人に勧めないと思いますが、そういうものはどうやって見ていますか?

萩谷)その場合は難しいですね。匿名性のあるSNSには書き込まれることが多いと思うので、そういうところを見ますね。ただ、あくまでも獲得コストが安いかどうかなど、実際の事業の数値を見ながらのパターンが基本です。

冨田)toBの場合は、営業力で顧客獲得や継続率を高める手法が効果的な側面もあると思いますが、そういったプロダクトがPMFを達成したかどうかはどこで判断されていますか?

白川)プロダクトによっては、想定しているタイミングでしっかり使われ続けているかどうか毎日利用して欲しい仕組みのサービスだったら、ちゃんと毎日使われてるか、週に一回使って欲しいものだったらちゃんと週に一回使われているかとか、ちゃんと業務のフローの中に入っているかどうかみたいのは結構丁寧めに確認したりします。

坪田)ターゲットとかも切り分けてみたりします。ざっくり継続率35%ですとか例えばあったりすると、こういうセグメントは実は85%位継続率があったりして、こういう層は12%しかないとかあったりするとどこを集中的に獲得すべきか、そういった意味でもPMFって観点だとどういう層に刺さっているのかも大事ですよね。

冨田)確かに。B向けで行くとエンタープライズなのか、もっと面白ビジネスユニットなのかってところで全然違ってきますよね。

投資判断の観点としてチームが大事ということですが、投資してもらわないとチームを組成するお金もないという鶏卵状態になってしまう場合、資金調達前提で採用の声がけをしておくのがいいのか?

萩谷)経営者1人でも投資はすると思います。ただ、例えばAIの画像処理の会社を起こすといった時に全くそれをできる技術を持った人がいなかったら、意思決定できないという話になります。

坪田)シードVCの言うチームってn=1も指す場合もあります。

冨田)土日だけ手伝ってくれる人がいたりだとか、POLのようなスタートアップは、社員は少ないけど学生がめちゃくちゃ多くて手伝っていると言うケースでした。私はその時Salesforce社員でしたが結構お手伝いしてたりとかもしました。だから寧ろ、お金をかけなくても手伝ってくれる人が多いチームなどはすごく好印象です。

このチームで何かやりたいんですという企業か、この事業に取り組みたいんですという企業では、どっちの投資が多いのか?

萩谷)このチームで何かやりたいはあんまりないかなと思います。合わせ技だと思っているので、(経営者チームとマーケット)基本的にはこのチームでこういう事業をやりますという企業に投資をすることが多いです。このチームで何かやりますと言われても、「じゃあ何を解決するんですか?」といった話になってしまいます。解像度は低くともざっくり領域は決まってると良いと思います。

冨田)VCによっては「この事業をやりなよ」と言うところもありますね。最近多いですね。最近スタートアップスタジオが流行っていることもあり、もし東大生などのいいチームがいたら「この事業やりなよ」みたいな感じのパターンもあるので、そういう流れが合うと感じる人たちにとってはスタートアップスタジオもありなのかなと思います。こういうのも起業家側が選べばいいと思うので。

坪田)ざっくりとした領域などがあるといいですね。

資金調達の確度についてはどうでしょうか?投資するよ、となって、やめてしまうことについてはどう考えているか?

坪田)おそらく、初めてお会いした時はいいじゃんとなったが、そのあとに流れてしまったパターンですよね。

冨田)ありますよね。私は着金まで一切気を抜けないなと思います。

坪田)我々は組織だったVCなので、そもそも私1人に投資の決定権はありません。VC側もそういった場合「投資するよ」とは言わないです。意志として「投資したい」ということはありますが。

白川)重い発言だと思っているので途中でやめますとかはしないように心がけてはいますが、スタートアップの立場からすると安心しない、しかも多くあるケースで起業家の人たちはイケると思っていてもそんなに確度高くないよという場合も多くて。そもそもポジティブなバイアスがかかっているので、社内で次にどういうプロセスでどのようにりん議を上げてもらえるのか、それに対してどんなフィードバックがあるのか、どんな論点があるのかというのをちゃんと確認していく。そしてそれを前に進めていく、ということをやった方がいいと思います。VC側としては、途中でやめますというのは信用を著しく損なうので基本やってはいけないと思います。

坪田)VC側に都度聞いた方がいいですよね。起業家はポジティブな人が多いので、VC側が「この事業いいですね」と言ったら、「ああイケるんだ」と過度に期待してしまう人もいます。

冨田)確かにそういう方もいらっしゃいますね。

坪田)けど「いや、そんなに進んでないよ」ということは多くあるので。起業家界隈で集まった時にVCのどこどこさんは出すって言っていたのに出してくれなかったという、実は思い違いだったというのも多々あるケースですね。実際に確かめながら進めた方がいいと思います。

白川)検討プロセスをちゃんと聞くということですね。
冨田:そうですね、それすごく重要だと思います。「投資判断にどれくらい時間かかりますか?」という質問がありますが、これはVCごとに全くかかる時間が違うので、「どれぐらい時間がかかりますか?」というのは各投資家に聞き、そのプロセスも聞く。どの会議に出る必要があって何が必要かは聞くべきです。

本記事Vol.3はこちら

次回が最後です!

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